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2007年8月に打ち上げられたNASAの探査機「フェニックス」が、米国東部時間25日午後7時53分(日本時間26日午前8時53分ごろ)に火星に無事着陸した。

火星軟着陸は難しく、これまで探査機13機のうち5機しか成功していない。フェニックスが成功すれば、2004年の火星探査車(スピリット、オポチュニティー)着陸以来、4年ぶりとなる。

着陸の成功を受けて、NASAのマイケル・グリフィン長官は、エアバッグなしで火星着陸に成功したのは1976年のバイキング2号以来であることに触れ、「ジェット推進による32年ぶり3度目の軟着陸(逆噴射で減速しながら衝撃を和らげながら行う着陸)成功に立ち会うことができ、これ以上の喜びはない」と語った。

着陸したのは、火星の北極に近い北緯68度付近の平原。地球ならアラスカ北部に当たる高緯度地方。この地点を選んだのは、地表に大量の氷があることがわかっていること、また、高緯度なので紫外線の影響が少ないことなどがその理由。

「フェニックス」は先端にスコップがついた長さ約2メートル余りのロボットアームを伸ばして50cmの深さまで、土のサンプルを採り、氷や有機物の存在を直接確かめる。

現在の火星は寒く、表面に地球型生命に不可欠な液体の水は存在しない。しかし、過去に液体の水が存在したことを示唆する化合物や地形が見つかっており、温暖だったころには海や川があったと考えられている。約3カ月間火星で活動し、氷や生命の痕跡である有機物の発見を目指す。

バイキングによる生命探査


火星の生命探査を行ったのは初めてではない。1976年7月20日にバイキング1号が火星に軟着陸。9月3日にはバイキング2号が軟着陸に成功。火星周回軌道からの写真撮影、温度分布測定、大気中の水測定、着陸船による土壌分析、生命探査、気象観測、大気成分分析等が行われた。

バイキング探査機の特徴は生命探査。生命あるいはその痕跡を検出するため、以下の3種類の装置を使用した実験が行われた。結果は、生命の存在の痕跡どころか、有機物も検出できなかった。なぜだろう?

1.有機物検出実験
火星の土を加熱し、気体となって出てきた物質をガスクロマトグラフで分離し、質量分析を行った。
2.代謝活性実験
火星の土に栄養液をかけ、発生した気体を分析した。
3.光合成能の実験
火星の土に二酸化炭素と一酸化炭素を混ぜ、光を照射した。土の中に生成した可能性のある有機物の検出を行った。

この実験では2つの問題点が指摘されている。まず試料採取の問題。試料として火星の表面土壌を使用したが、火星の表面は強い紫外線や放射線によって有機物すら分解されてしまう。生命が発見されるとすれば地下数m以下の深いところであろうと考えられる。

次に分析方法の問題。代謝実験では地球生命に有効な栄養液を与えたが、これが火星生命にとっても有効かどうか不明。また、かつて生存した生命の痕跡に対しては代謝実験、光合成実験では検出できない...などの問題があった。

参考HP JAXA これまでの火星探査
 → 
http://moon.jaxa.jp/ja/mars/explorers.html


関連するニュース
米火星探査機、軟着陸に成功 氷・生命の痕跡探しへ


米航空宇宙局(NASA)の火星探査機フェニックスが米太平洋時間25日夕(日本時間26日朝)、火星の北極に近い北緯68度付近の平原に軟着陸した。約3カ月間火星で活動し、氷や生命の痕跡である有機物の発見を目指す。 
 
エアバッグに包まれ、地面で弾む方式ではなく、有人探査にも応用できるガス噴射による軟着陸は76年のバイキング1、2号以来、32年ぶりで、極域への着陸は初めて。 昨年8月に打ち上げられ、約6億8千万キロの旅をしてきた。着陸約7分前、火星の大気圏に時速2万1千キロで突入し、パラシュートを開き、ガス噴射で時速8キロまで減速して軟着陸した。

着陸を知らせる信号が、管制室があるNASAジェット推進研究所(JPL)に届いたのは米太平洋時間25日午後4時53分。火星から地球まで電波が届くのに15分かかるため、実際の着陸は午後4時38分だが、管制室は大歓声に包まれた。

フェニックスは最深50センチほど地面を掘って土を採り、氷が含まれているかどうかを確かめる。氷や有機物が見つかれば、かつて火星に液体の水があり、地球型生命が存在していた可能性が高まることになる。 ( asahi.com 2008年05月26日 )

 

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