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京都大学山中教授らのグループが作成した「iPS万能細胞」は、難病治療や再生医療、新薬創成など幅広い分野での応用が期待されているが、具体的にどんなことが可能なのだろうか?

最近のニュースから、「iPS万能細胞」の持つ可能性についてまとめてみたい。

細胞移植・再生医療の分野


人間の体は、200種類以上、合計、60兆個の細胞からできているが、病気や怪我では、細胞の機能が損なわれることがある。このとき、外から元気な細胞を補う、すなわち移植することにより回復が期待できるものが多くある。

例えば、パーキンソン病は、脳の中で、特別な種類の神経細胞の機能がそこなわれることにより、スムーズに動くことができなくなる病気だが、神経細胞を移植することにより、症状が回復することが知られている。

またインスリンというホルモンをつくる膵臓の細胞が損なわれると、血液の糖濃度が上昇し、糖尿病になる。しかし、インスリンをつくる細胞を移植することにより病気の進行を抑えることができる。

また、交通事故やスポーツによる怪我で、脊髄が損傷すると、下半身や上半身の麻痺が起こりますが、損傷が発生して、10日目くらいの時期に、神経系の細胞を移植することにより、麻痺の程度が軽くなることが、動物を使った実験により示されている。

このときに活躍するのが、「iPS万能細胞」。これまでは他人の細胞を使うことによる拒否反応や、ES細胞などを使うと倫理的な問題があったが、自分の細胞がもとになる「iPS万能細胞」ならばこれらの問題は解決できる。

また細胞をシート状に培養する技術が最近開発され、角膜、そして重い心臓病への応用が始まっている。この細胞に自分の細胞でつくった「iPS万能細胞」を使えば、拒絶反応がないし、治療の効果が上がることが期待されている。

新薬開発・難病治療の分野


iPS細胞の利用方法は、細胞移植療法だけにとどまらない。医学研究や薬の開発においても大きく期待されている。

新薬候補の化合物から有効物質を絞り込む「スクリーニング」での同細胞の活用が有効とされている。ヒトに直接、薬効を確かめることは難しいので前段階として、iPS細胞を使うことで安全性、効率性が飛躍的に上がる。

また、患者由来の「疾病ヒトiPS細胞」も作り出せるため、その患者がなぜ病気になったかという原因の解明、その患者に効果のある薬の探索、さらに、その患者におこる副作用の予見などに役立つと期待されている。

また遺伝子に問題がある場合は、問題となる遺伝子の発見や、遺伝子にあったオーダーメイド治療に役立つ創薬プロセスの安全性と効率性を大きく高めることが期待されている。

関連するニュース
京大、難病患者の皮膚でiPS細胞作成へ 倫理委が承認


京都大は5日、難病患者の皮膚などから万能細胞(iPS細胞)をつくる研究について、医の倫理委員会の承認を得たと発表した。つくられる万能細胞は難病の性質を受け継いでいるため、原因解明や治療法の開発に役立つ。

申請していたのは、京都大の中畑龍俊教授(発達小児科学)らのグループ。先天性免疫不全症や1型糖尿病、先天性筋ジストロフィー症など小児科や整形外科、内分泌内科、神経内科など七つの領域の難治性の病気を対象にする。患者の同意を得た後に、提供された細胞を使ってiPS細胞をつくる作業に入る。

国内では慶応大で先月、神経の難病患者からiPS細胞をつくる計画が承認されている。( asahi.com 2008年6月5日 )

参考HP NHK解説委員室ブログ「視点・論点」
「ヒトiPS細胞の可能性と課題」 (2007.12.07)
 →
 http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/6068.html
iPS細胞めぐり産業界と初の懇話会 京都大(MSN産経 2008.4.17 23:21
 → http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/080417/acd0804172318012-n1.htm
京都大学山中研究室 
 →
 http://www.frontier.kyoto-u.ac.jp/rc02/index-j.html

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