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スプライト(Sprite)」というとどうしても、炭酸飲料を思い出す。しかし辞書で調べるともとの意味は、自然界にすむ「妖精」。「妖精」は時おり姿を現して私たちを楽しませてくれる。

最近注目されているのは、空の発光現象としての「スプライト」である。発光現象というとまず思い出すのは雷(カミナリ)であるが、「スプライト」は、落雷のとき上空で発光する現象で、これまでは雲の上の現象なので観測されなかった。

1989年に米国の物理学者が偶然ビデオで撮影したことでようやく存在が確認された。飛行機のパイロットなどには、上空の不思議な稲妻として知られてはいた。パッと現れてすぐに消える姿からスプライト(妖精)と名付けられた。

「スプライト」の落雷色は赤色で、高度約50〜80kmの中間圏で発光する。鉛直方向の大きさは20km程度、水平方向の大きさは数km〜70km程度である。さらに85〜90kmの熱圏では「エルブス」という発光現象がほぼ同時に起きることがわかってきた。

ふつうというと、雲の中の氷の粒が雲中の対流等によりぶつかり合い摩擦を生じ、それによって静電気が発生して、溜りに溜まった電荷がその状態解消のために、地面・水面及び地上物に対して電荷の放出(放電)を行う。

この際の電圧は200万〜10億ボルト、電流は1千〜20万アンペアにも達する。プラズマが発生するほどの熱(ジュール熱)が主な被害を発生させる要因である。この熱によって発生する水蒸気爆発や、送電設備の損傷により発生する停電に伴う被害が起きる。

これだけの巨大エネルギーなので、まわりにも影響が起きないわけがない。「スプライト」「エルブス」は落雷の余波でおきる2次的な放電現象だと思われる。現在、国際宇宙ステーション(ISS)の日本の有人宇宙施設「きぼう」から、謎の巨大発光現象「スプライト」を追跡する計画が進行中である。

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建設が進む日本の有人宇宙施設「きぼう」を利用して、地球上空で起きる謎の巨大発光現象「スプライト」を宇宙から追跡する計画が動き出す。今夏から機器などの開発に着手し、11年に観測を始める予定だ。大阪大学工学研究科の河崎善一郎教授(大気電気学)の研究室などが計画を進めている。

スプライトとは、高度約40〜100キロほどの上空で起きる、ニンジンやクラゲのような形をした巨大な発光現象。横幅も50キロほどに広がる。地上に大きな雷が落ちた時に、雷雲の上空で生まれ、千分の1秒から0.1秒ほどの短い時間だけ赤く光る。89年に米国の物理学者が偶然ビデオで撮影したことで存在が確認され、パッと現れてすぐに消える姿からスプライト(妖精)と名付けられた。

雷のような放電が雲の上に向けて発生しうることは理論的には予測されていた。飛行機のパイロットなどにも不思議な稲妻として知られてはいたが、雲の上の現象なので地上からの観測は難しかった。放電現象の一種とされるが観測例が少なく、発生頻度や仕組みなどがわかっていない。

国際宇宙ステーション(ISS)で整備が進む「きぼう」は、来春に飛行予定のスペースシャトルが運ぶ船外実験プラットホームを取り付けると完成する。そこに、発光を感知するフォトメーターや超短波の電磁波を受信するVHFアンテナ、ビデオカメラといった観測機器を備え付け、スプライトの発生を宇宙から見張る計画だ。

計画は、北海道大学や東北大学、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などと協力して進める。代表を務める大阪大学工学研究科の牛尾知雄准教授は「スプライトがどうやって生まれているのか、メカニズムの解明に迫りたい」と話す。( asahi.com 2008年6月17日)

スプライト(Sprite)とは何か?


スプライトは、アメリカのFranzらが1989年に夜間ビデオカメラの較正をしていた時に偶然に撮影してしまった発光現象である。その色 (red) と妖精 (sprite) のようにひょっこり姿を現すことから、「レッドスプライト」と呼ばれるようになった。 しかし、理論としてはチャールズ・ウィルソンが提唱していたが当時はカメラも高性能ではなく、たとえ目撃しても目の錯覚だといわれていた。

Franzらの発見後、様々な科学者により盛んに研究され、実像が明らかになりつつある。色は赤色で、高度約50〜80kmで発光し、鉛直方向の大きさは20km程度、水平方向の大きさは数km〜70km程度である。スペクトル解析によると、窒素分子のfirst positive bandが支配的であることから、窒素分子がその発光に寄与していることが分かった。

エルブス(Elves)とは ?


東北大学の研究グループは1995年に米国コロラド州で行われたSPRITES'95観測に参加し、多チャンネルの高速フォトメータと高感度CCDカメラを用いてスプライトの観測を行いました。このとき、雷放電に伴い高度85-90 kmで発光するスプライトとは別の発光現象を世界で初めて発見しました!

エルブスは、雷放電の直後(1 msec以内)に高度85-90 kmにおいて発光し、通常スプライトに先行して発生する現象です。“ドーナツ”状の円盤が水平方向に100-300 kmほど急速に拡がっていくことなどから、これまでに考えられているメカニズムとしては、雷放電により励起された電磁パルス(EMP: ElectroMagnetic Pulse)が高度85-90 kmの電子にエネルギーを与え、その電子と衝突した中性大気が発光すると考えられています。エルブスを発生させる雷放電は、非常に大きなピーク電流値をもっていることと(60 kA以上)、雷放電の極性によらないことが近年の観測から分かっています。

参考HP 東北大学スプライト研究グループ
 → http://pat.geophys.tohoku.ac.jp/~thermo/sprites/indexj.htm

 

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