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10億分の1mという、ナノの世界のテクノロジーが進化し、小さな世界での物質の構造やはたらきがわかってくると、今まで、これは物質、これは生物とはっきり分けられたものが、どこからどこまでが生命体で、どこからどこまで物質なのか、あやふやになってくる。現代はそんな時代なのかもしれない。

自分自身で無機的な物質を集めて、複雑な有機的な組織や構造をつくり出す事を自己組織化という。生物はDNAという設計図を用いて自己組織化をする代表的な存在だ。生物でなくても、自然に自己組織化するものがあり、盛んに研究が行われている、超分子や自己組織化単分子膜などがその例である。

カーボン(炭素)ナノチューブは、1991年、飯島澄男氏(名城大学教授)によって発見され、次世代ナノ材料の有力候補とされている。HBCナノチューブは、2004年、相田卓三・東京大学教授をリーダーとする科学技術振興機構のプロジェクトチームが自己組織化を利用して作り出した。第2の炭素ナノチューブとして注目されている。

今回、理化学研究所の大型放射光施設SPring-8のシンクロトロン放射光を利用して構造を調べた結果、詳細な分子構造配列の解明に成功した。そこに現れたのは生命の根元であるDNAの2重ラセン構造によく似た姿であった。グラファイト状分子が2分子で対をつくり、らせん状にチューブを作り上げていた。

この第2のカーボンナノチューブ、HBCナノチューブの構造解明は、その電子・光電子・磁気特性などさまざまな機能を利用した、新型電界効果トランジスタや新型太陽電池などの実現につながる大きな一歩である。

それにしても、このような複雑な分子の構造解析がきてしまう、SPring-8のシンクロトロン放射光解析装置もすごいが、生物とはいえない、第2のカーボンナノチューブが、生物の根元といえるDNAと同じ構造をとることに何ともいえない不思議な感じを受ける。

HBCナノチューブとは何か?
炭素原子が蜂の巣状に結合したシート(グラフェンシート)が積み重なってできた物質をグラファイト(黒鉛)という。グラファイトは、面内は金属的、面間は半導体的な電気特性を持つ。グラフェンシートが巻き上がってできた円筒状の物質をカーボンナノチューブと呼ぶ。カーボンナノチューブは、巻き方によって金属的にも半導体的にもなりうる。また、グラフェンシートから13個のベンゼン環を切り抜いてできる分子をヘキサペリヘキサベンゾコロネン(HBC)と呼ぶ。HBCは本来絶縁性であるが、電子を引き抜くことにより半導体的な特性を示すようになる。(出典:理化学研究所)

参考HP 理化学研究所プレスリリース
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 http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2008/080620/index.html

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第2の炭素ナノチューブの構造解明


独特の構造を持ち、その電子・光電子・磁気特性などさまざまな機能を利用した次世代ナノ材料として期待が大きいヘキサペリヘキサベンゾコロネン(HBC)ナノチューブの詳細な構造と、この構造体ができる仕組みを科学技術振興機構、理化学研究所、高輝度光科学研究センターの研究グループが解明した。

HBCナノチューブは、相田卓三・東京大学教授をリーダーとする科学技術振興機構のプロジェクトチームが4年前に作り出した。HBCというのは炭素が蜂の巣状につながった平面的構造(13個のベンゼン環から成る)をしており、有機半導体材料として知られている。相田教授らは、このHBC分子に2本の疎水性の鎖とベンゼン環を経由した2本の親水性の鎖を左右非対称に取り付けてつくった膜をつくり、この膜が円筒状に巻き上がることによって、1本のHBCナノチューブが形成されることを発見した。

今回、理化学研究所の大型放射光施設SPring-8のシンクロトロン放射光を利用して詳細な構造を調べた結果、HBCに結合した2つのベンゼン環は、HBC平面に対して約27度回転していることが分かった。このねじれの向きのために膜が単なる円筒状でなく、らせん状に巻き上がって、ちょうどDNAの2重らせん構造をほうふつさせるような構造(チューブ)になることが明らかになった。

カーボン(炭素)ナノチューブは、1991年、飯島澄男氏(名城大学教授)によって発見され、世界的に大きな関心を呼んでいる次世代ナノ材料の有力候補。HBCナノチューブも、独特の電子・光電子・磁気特性を持ち得ることから、第2の炭素ナノチューブとして注目されている。カーボンナノチューブに比べ、同一の構造・特性のものを定量的に作製することが容易で、さらに、それらが自己組織化という自然現象に従い、一様なチューブを構築できるという特徴を持つ。

今回の成果について、研究チームは、電界効果トランジスタや太陽電池、さらにはナノサイズのコイルなどの実現に向けて大きな第1歩だ、と言っている。( サイエンスポータル 2008年6月23日 )
 

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