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今年もアメリカでは竜巻(トルネード)の発生が多い。年間の発生数は日本の14件に対してアメリカでは800件、竜巻の寿命は日本の数分から30分位に対してアメリカでは数時間に及ぶものもある。また、竜巻の規模も大きく、最大風速の推定は日本で約100m/s、アメリカでは156m/s、竜巻による死者も日本の年間平均0.5人に対し、アメリカでは約100人もいる。

アメリカの竜巻
発生地域としては、テキサス、オクラホマ、カンザスなどロッキーの東、アパラチア山脈の西での発生が多い。なぜこの地域では竜巻は起こるのであろうか?

これは次のようなアメリカの地勢が影響していると考えられる。北米大陸はロッキー山脈が南北に走っているため、その東側の大平原においては、対流圏上層では寒気が入りやすく、下層ではメキシコ湾からの熱帯気団が入りやすくなっている。

このため、日本全域よりも広い地域にわたって大気の状態が著しく不安定になりやすく、竜巻の規模も日本と大きく違ってくる。
 
スーパーセル
こうして大気の不安定な状態ができると「スーパーセル(Supercell)」と呼ばれる発達した積乱雲が生じる。スーパーセルの中心部や周辺部には、上昇気流の部分と下降気流の部分がある。

竜巻発生のメカニズムははっきりと解明されていないが、巨大な積乱雲「スーパーセル」の中では複雑な気流が生み出され、何らかの理由で上昇気流が特に強くなったところで発生すると考えられている。

今年は日本でも広い範囲で大気の不安定な状態が起き、各地で集中豪雨・突風による被害が起きている。

ガストフロント・ダウンバースト
7月27日には福井県敦賀市で、突風でイベント用のテントが飛ばされ、1人が死亡している。7月28日は水難事故が起きた神戸市の事件では局地的に1時間に100mmに達する猛烈な豪雨となった。7月29日にはサッカーの壮行試合が行われていた東京・新宿の国立競技場も豪雨に見舞われた。

この27日〜29日にかけては、ちょうど米国中部の竜巻が発生するような大気の不安定な状態だった。日本の上空には7月としては強い氷点下6℃以下の寒気が流れ込んでいて、日本の下層(上空約1000〜1500m)には台風8号の影響で、暖かく湿った空気があった。

上空の寒気は重いため下降気流となり、下層の湿った暖気は軽く上昇気流になる。両者が混ざり合って大気が不安定になり、集中豪雨や突風などが発生したと考えられる。この時期は例年、太平洋高気圧の張り出しで北からの寒気は南下しにくい。しかし気象庁の村中明・主任予報官は「今年は太平洋高気圧張り出しが弱く寒気が入り込みやすい」と分析する。

この結果できたのが、「スーパーセル」という巨大積乱雲。そしてこのとき起きた突風が「ガストフロント」という局地的な低気圧によるものである。また、「スーパーセル」は強い下降気流「ダウンバースト」を伴うことから、ダウンバーストの可能性も指摘されている。

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突風:ガストフロント発生の可能性…福井の10人死傷事故


福井県敦賀市のイベント会場で27日、大型テントが突風に飛ばされ10人が死傷した事故は、積乱雲の発達に伴って生ずる「ガストフロント」と呼ばれる現象が原因だった可能性が高いことが福井地方気象台の現地調査で分かった。一方、福井県警敦賀署は28日朝から実況見分を始め、テントの設置方法に問題がなかったかなどを調べている。

「ガストフロント」は、積乱雲から噴出した冷たい下降気流が地表付近で水平に広がり暖かい空気と衝突して前線を作り、突風を引き起こす現象。気象台は27日、調査官4人を現地に派遣して調査し、風向きがほぼ一定であることや、気温の急降下と気圧の急上昇が観測されたことなどから判断した。

一方で、積乱雲からの激しい下降気流が直接地面に吹きつけ、さらに強い突風となる「ダウンバースト」の可能性もあるという。竜巻の可能性はないとみられる。(毎日新聞 7月28日)
 

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