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花火の季節がやってきた。東京では隅田川花火大会が26日夜行われた。暑い夏の夜に、約90万8000人(主催者発表)の見物客が、空に打ち上げられた約2万発の彩りを楽しんだ。

ここ神奈川県では8月1日(金) 第23回神奈川新聞花火大会 8000発(みなとみらい)、 第58回湘南ひらつか花火大会 3000発。8月2日(土)第19回小田原酒匂川花火大会 5000発などが予定されている。

暑い夜に花火を見上げるのは真夏の夜の風物詩であるが、今年の暑さはどうだろうか?東京の最高気温は7月27日の32.9℃から、33.4℃、33.0℃、31.6℃、30.7℃、31.5℃とついに19日連続の真夏日を記録している。この猛暑の原因は何だろう?

一方北方では、寒気の入りやすい状態も続いており、先日神戸市で集中豪雨や福井県敦賀市っで突風の被害が起きた。北海道や仙台などでは涼しい夏である。温暖化が進み北極海の海氷が減少すれば、東アジアに寒気が入り込みやすくなるとの研究もある。

独立行政法人海洋研究開発機構地球環境フロンティア研究センターでは、遠く離れたインド洋の海上で、「ダイポールモード現象(IOD)」を今年も予測した。同時にインド洋東部赤道域に設置したインド洋小型トライトンブイの観測データにより、今年のIOD現象が既に始まっていることを明らかにした。

ダイポールモード現象が起きると、西日本を中心に降水量が少なく猛暑になるという。3年連続出現すれば、観測史上初めてのことだ。ダイポールモード現象(IOD)とは何だろう?

ダイポールモード現象とは?


インド洋熱帯域において東部で海水温が低くなり、西部で海水温が高くなる気象現象。それに伴って起こる風や気候の変化を含むこともある。

外部の気候因子よってインド洋で南東貿易風が強化されると、東側にあった高温の海水は西側へ移動させられ、また東側では深海からの湧昇や海面から蒸発が盛んになるために海水温が低下する。

そのため、インド洋の西側にあるアフリカ大陸東岸では海水温の上昇により蒸発が盛んになり降水量が増加する。逆にインド洋の東側にあるインドネシアでは蒸発が抑えられるので降水量が減少する。このためダイポールモード現象は多雨による洪水、乾燥に伴う山火事といった異常気象を引き起こす原因となる。

またこの現象はテレコネクションによってアジア各地の気候に影響を及ぼしているとされる。フィリピンから中国南部、インドシナ半島からインド北部にかけては降水量が増加するとされる。さらにその北側にある日本では降水量が減少し猛暑となるとされる。

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インド洋周辺で今年も異常気象発生か
世界各地に大雨、干ばつ、猛暑などを引き起こす原因になるといわれるインド洋ダイポールモード現象がことしも発生する兆しを海洋研究開発機構がつかみ、公表した。

この現象は、インド洋東部(ジャワ島沖)では海水温が下降し、インド洋西部(アフリカ東方沖)では上昇する。通常5-6月に発生、10月ごろに最盛期になり、12月には減衰する。太平洋熱帯域のエルニーニョ現象とよく似ている。

同機構が東部インド洋に設置したブイによる海水温観測の結果、5月下旬から低温化の傾向が現れ始めているのが分かった。また、人工衛星などで観測した海面水温と降水量の分布は、インド洋熱帯域の東部での低温傾向と降水量の減少傾向を示し、中部から西部にかけては逆に高温傾向と降水量の増加を示していた。

インド洋ダイポールモード現象は、昨年、一昨年にも発生しており、いずれも海洋研究開発機構が発生予測に成功している。一昨年は、アフリカ東部沿岸諸国で洪水が多発し、百万人以上が避難せざるを得ない被害が出ており、オーストラリアでは一昨年、昨年と2年連続の干ばつが起きている。また、日本を含む東アジア域の猛暑の一因となっていることが示唆されている。

通常、ダイポールモード現象が起きると翌年は海水温が下降した海域で上昇し、上昇した海域で下降する逆の現象が見られる。一昨年、昨年に続き3年連続でダイポールモード現象が発生するのは1950年代以降の観測史上初めて。この夏には、インドや東部アフリカで大雨、逆にインドネシア西部では少雨などが予測されることから、事前の対策が必要と海洋研究開発機構は言っている。
(サイエンスポータル編集ニュース 2008年7月16日)

参考HP 海洋開発機構プレスリリース
 →
  http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20080714/
 

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