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8月に入りガソリンがまた値上げする。新日本石油など石油元売り各社の大半が1日、ガソリンの卸価格を引き上げた。各地のガソリンスタンドでは、レギュラーガソリンの小売価格を1リットル当たり180円台後半まで引き上げる動きが相次いでいる。業界関係者によると、全国平均の小売価格は180円台半ばまで上昇するとの見方が多く、最高値を更新するのは必至だ。

石油はあと何年で枯渇する?
こうして石油の価格が上がるのは、地球上の資源は有限であり、近い将来なくなることが予想されていることが背景にある。石油についてはあと40年〜65年すれば枯渇するとされている。しかし、本当にそうだろうか?不思議なことがある。例えば1970年の可採年数は約35年であったが、2005年に石油は枯渇しなかった。また一度枯れた油井がしばらく放置すると、再び原油産出が可能となることがある。これはどういうわけだろうか?

石油無機成因論
まだ、少数意見であるが化石燃料といわれる石油が、化石ではなく現在進行形でつくられているのではないかという説がある。これを無機成因論という。無機成因論では地球内部には膨大な量の炭素が存在するのが自然であり、一部分は炭化水素の形で存在している。炭化水素は岩石よりも軽いので、地表へと染み出してくる。

また火山ガスの主成分は水蒸気や二酸化炭素である。先日地中で二酸化炭素をメタンに変えるメタン生成菌についての話題を提供したが、メタンは地中の圧力で他の炭化水素に変化するとも考えられる。

天動説を信じた人はどうしても地上の環境でしか物事を考えない。ところが宇宙に出てみると太陽を中心に惑星が回っていることがわかった。最近は地中の深い部分を探査することが可能になった。そこから取った堆積物を調べると未知の微生物がたくさんいることがわかってきた。

今回、海洋研究開発機構の地下生命圏研究グループは、ドイツのブレーメン大学と共同で、世界各地の海底堆積物内にこれまでは数が少ないと考えられてきたアーキア(古細菌)が大量に生息していることを発見した。これらの微生物にはいったいどんな働きがあるのだろうか?

アーキアとは何か?
アーキアとは古細菌(こさいきん)のこと。生物の分類の一つで、文字通り過去の地球のあらゆる環境を生きのびてきた古い歴史を持つ細菌である。現在は地中や海中の深い所や熱水のある所に生きのびてきた姿を見ることができる。一般にメタン菌・高度好塩菌・好熱好酸菌・超好熱菌などの生物を含む。

生物のなかまを細胞の特徴で分けると、大きく3つに分けられる。1つは真正細菌(バクテリア)であり、1つは真核生物(ユーカリア)である(多くの動植物)。そして3つめがこの古細菌(アーキア)である。具体的には真正細菌が持たないsn-グリセロール-1-リン酸のイソプレノイドエーテルを含んだ細胞膜を持つ原核生物のことである。

ほとんどは極限環境微生物として知られているが、様々な実験データから通常の環境にも分布することがわかった。海洋中では1 ml中におおよそ10万個の古細菌が存在し、細胞数当たりでは微生物の最大20%、またはそれ以上の古細菌が存在すると考えられている。

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深海底下に広がるアーキアワールドを発見
〜世界各地の海底堆積物から大量のアーキア(古細菌)を検出〜


独立行政法人海洋研究開発機構(理事長 加藤康宏)高知コア研究所地下生命圏研究グループの稲垣史生グループリーダーと諸野祐樹研究員は、ドイツのブレーメン大学と共同で、世界各地の海底堆積物内にこれまでは数が少ないと考えられてきたアーキア(古細菌)が大量に生息していることを発見しました。

地球深部探査船「ちきゅう」によって青森県八戸沖で掘削された試料や統合国際深海掘削計画(IODP:Integrated Ocean Drilling Program)等で採取された世界各地の海底堆積物から極性脂質やDNAを抽出し、その構造と抽出量の分析によって明らかにされたものです。

地球表面の7割を占める海洋底下に、生命を構成する三つのドメインの一つであるアーキアが優占的に生息していることを示した世界で初めての研究報告で、地球の生命進化や環境適応、海底下に広がる未知の生命圏の理解に大きく貢献するものです。この成果は7月20日付けの英国科学雑誌ネイチャー(オンライン版)に掲載されます。(2008年7月22日 独立行政法人海洋研究開発機構)

参考HP Wikipedia「古細菌」「石油」
海洋研究開発機構プレスリリース 
 → 
http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20080718/index.html 
アイラブサイエンス「二酸化炭素を回収・貯蔵・再利用せよ!」
 → 
http://blog.goo.ne.jp/liberty7jp/d/20080723

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