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7月22日、神奈川県藤沢市で、「偽装生コン」が使用された事件が報道された。同じ事件について8月24日、TBSテレビ番組「噂の東京マガジン」の「噂の現場」でくわしく取り上げていた。

近所で起きた事件だったので、興味はあったが内容がよくわからなかった。それが「噂の現場」では、問題点をクローズアップしていてわかりやすくなっていた。

偽装生コンクリート」とは、コンクリートに建築基準法で認められていない「熔融スラグ」という物質を使い、その結果、コンクリート表面の一部が剥がれ落ちる「ポップアウト」という現象が起きている。...ということであった。

事件発覚後もさまざまな場所で、「偽装生コン」が使用されていることがわかり問題になっている。具体的には鎌倉の大仏トンネル、湘南港(藤沢市江の島)の船あげ場スロープ、入居済みの民間分譲マンションや中学校新築の工事など、神奈川県内の196ヵ所に納入されているという。

熔融スラグ」というと、ゴミを燃やした時に出る焼却灰を高温で溶かして固めた物質で、産業廃棄物を使用するのはよい事に思える。しかし、これを砂利の替わりこ生コンに入れることは、J I S規格外。柱などの主要構造物に使うことが認められておらず、建築基準法に違反しているのだ。

また、この「溶融スラグ」に含まれる重金属を問題視し、建物などへの使用に警鐘を鳴らす国会議員や専門家もいる。その一例として、去年5月、東京湾・中央防波堤埋立地でつくられている「溶融スラグ」からは、基準値の96倍の鉛が検出されたという。

東京マガジンの「噂の現場」では、こういう社会の問題点を取り上げてくれるのがよい。ただし、報道が正確でないという批判もあるので鵜呑みにせず、各自で調べてほしい。私も記事を書くのに少なくとも3ヶ所の情報ソースで確認して、書くようにしている。
(参考記事 2008年7月22日 読売新聞「溶融スラグ混入」)
(参考HP 噂の東京マガジン 噂の東京マガジンは第2のあるある?

溶融スラグとは何か?


溶融スラグは、ごみの焼却灰を1200〜1300度以上の高温で溶かし、冷却してできるガラス状の粒。砂の代替品として、道路の路盤材などへの再利用が進むが、不純物を含むため品質が安定しにくいことを理由に、建築基準法では、一定の強度が必要な建物の柱やはりへの使用は認めていない。

溶融・固化することにより容積が減少し、最終処分場の延命を図ることができる他、高熱でダイオキシンや揮発性の重金属が無害化されるというメリットがある。このため1998年に厚生労働省は『新設の一般廃棄物焼却場には溶融固化設備を併設する事が望ましい』との通知を出し、自治体の設備が増加した。

コストの面から、水砕し細骨状にして生コンクリートに混入することが多い。しかし溶融スラグを混ぜた生コンクリートはJIS規格を満たしておらず、このコンクリートを使用した建築物ではポップアウト(コンクリート表面の剥離現象)が発生するなど、安全上の問題が指摘されている。

ポップアウトはなぜ起きる?


コンクリートの表面部分が、コンクリート内部の膨張圧により、部分的に飛び出
すように剥がれてくる現象をポップアウトという。内部の膨張には、すき間に水が入って凍る場合や内部の化学成分が反応する場合、内部の鉄筋がさびる場合などがある。

1.凍結融解作用によるポップアウト
凍結融解作用による劣化は、コンクリート中の水分が凍結する際の膨張圧および
それに伴う水の移動圧によって生ずる。また、こうした凍結時の膨張圧だけでなく、凍結融解時の膨張・収縮が、骨材とセメントペースト、コンクリートの表層部と内層部など、部分的に異なることによっても生ずる。

一般に、コンクリートは凍結によって膨張変形するが、その凍結が融解した場合
でも、塑性変形と組織の破壊により変形が原形まで復元しないため、コンクリート
内部に膨張が残留する。膨張が残留すると吸水が大きくなり、新たな水の供給があ
ると、次の凍結融解作用によってさらに大きな残留膨張を生ずる。凍結融解の繰返
しにより積み重ねられた残留膨張の圧力が原因となって、ポップアウトやひび割れ
などの損傷が生ずる。

骨材中に粘土塊があり、コンクリートミキサ内では崩壊しない程度の強さがあれ
ば、硬化コンクリート中に塊状で存在し、この塊が表面近くにあると、凍結融解ま
たは乾湿繰り返し作用を受けポップアウトを生ずる原因となる。

2.反応性骨材によるポップアウト
骨材の材質そのものが不良な場合に生ずる劣化は、コンクリートの施工後、かな
り材齢が経過した後に生ずることが多い。骨材の材質に原因がある場合として、ア
ルカリ骨材反応と不良骨材の混入によるポップアウト現象がある。

アルカリ骨材反応は、骨材そのものがコンクリート中のアルカリ成分と反応して、
その際の体積膨張によりコンクリートを劣化させる現象である。この反応を起こす
有害な骨材としては、安山岩、凝灰岩、石英安山岩、石英祖面岩、たんぱく岩、け
い酸質苦土質石灰岩、隠微晶質流紋岩およびこれらの鉱物を含む岩石がある。

また、骨材の一部に水と反応する骨材、あるいは人工の不良物が混入していると、それらの反応または作用による体積膨張により、コンクリート表面に部分的な剥離現象を生ずる。

酸化物は有害なシリカ鉱物を除けば、C a O 、M g O 、F eO が問題となる。C aO は水和してCa(OH)2 となり膨張するが、天然骨材に存在することはない。しかし、焼成軽量骨材や転炉スラグには含まれるので注意が必要である。M gO も水和してMg(OH)2となり膨張するが、天然骨材に含まれることはほとんどなく、ドロマイトクリンカーや煉瓦屑の混入によってポップアウトを生ずる。F eO はスラグ類に存在しており、FeO を含有する粘土鉱物が酸化されやすいことにより、膨張してポップアウトを生ずる。

硫化物鉱物は、硫化鉄鉱、白鉄鉱、磁硫鉄鉱として骨材中に存在する。これらの
鉱物が空気に接触すると、酸化して硫酸を生成すると同時に、セメント中の石灰と
反応して石膏となる。石膏とセメントのアルミン酸石灰塩との反応により、エトリ
ンガイトを生成し、コンクリートは膨張する。また、石膏は、無水石膏または2 水石膏として天然骨材中に、無水石膏として軽量骨材中に存在する。これらの石膏からもエトリンガイトが生成され、膨張の原因となる。石膏だけでなく、明バン石および鉄明バン石を含む骨材もエトリンガイトを生成するので注意が必要である。

3.鉄筋の発錆によるポップアウト
コンクリート中に埋込まれた鉄筋が錆びないのは、コンクリートが強アルカリ性
を有しているためである。しかし、コンクリートが炭酸ガスなどの作用により中性
化すると、鉄筋が腐食しやすくなる。特に、中性化したコンクリート中に炭酸が生
ずると鉄筋の腐食は急速に進むといわれている。鉄筋がある程度腐食すると、錆の
進行に伴う体積膨張により、かぶりコンクリート部に、鉄筋に沿ったひび割れやポ
ップアウトが発生する。これらの現象が生ずると、鉄筋の腐食が急速に進行し、構
造物の耐久性を損なう恐れがある。
(出典:住友大阪セメント
 

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大森 隆史
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