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2002年、ノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊氏がニュートリノを観測したカミオカンデ(現在はスーパーカミオカンデ)。東京大の神岡宇宙素粒子研究施設は岐阜県飛騨市神岡町にある。ここに来年度から観測を開始する「XMASS」の建設予定地があり、8月27日報道関係者に公開された。

XMASS」は未知の粒子「暗黒物質」(ダークマター)を検出する測定機器で、実験施設(縦20m×横15m×高さ15m)は地下1000mにある。宇宙に漂う物質の80%を占める「暗黒物質」は光や電磁波を出さず、性質がベールに包まれている。暗黒物質をとらえることで宇宙の構造や素粒子の解明が期待できる。

暗黒物質とは何か?
暗黒物質(dark matter)とは、宇宙にある星間物質のうち自力で光っていないか光を反射しないために光学的には観測できない物質のことである。「ダークマター」とも呼ばれる。光や電磁波は出さないが、質量のあることはわかっている。

アンドロメダ銀河の暗黒物質
その事実を最初に証明したのは1970年代初頭、アンドロメダ銀河を観測していたアメリカの天文学者ヴェラ・ルービンである。銀河が回ると外側の天体は内側の天体よりゆっくり回ると考えられていた。しかし予想に反し、外側の天体も速く回っていた。その原因を探ると目に見えている天体以外に、目に見えない質量を持った物質が銀河の中に存在することがわかった。

光も出さず、電磁波も出さないので「暗黒物質」と名付けられた。

銀河の泡構造
1986年、宇宙の巨大構造が見つかった。ハーバード大学スミソニアン天文物理学センターのグループは、1100個の銀河を観測することで、銀河がまるでたくさんのシャボン玉がくっついたような不思議で美しい分布をしていることを見つけた。泡の膜を銀河がつくり、泡の中には銀河がない。これを銀河の「泡構造」と呼んでいる。

このような銀河の泡構造はどのように生まれたのだろうか。宇宙誕生当時、ほぼ均一であった宇宙が、137億年前わずかにエネルギーの不均一(ゆらぎ)なところができると、物質が集まり重力が強くなったところにダークマターも集まった。さらにダークマターが重力源になることで、物質が集まって次々に銀河ができた。このようにダークマターと銀河の分布は、ほぼ一致すると考えられている。

暗黒物質の空間分布
2007年1月、日米欧の国際チームが、世界で初めて宇宙空間に広がる「暗黒物質」の立体的な構造を発表した。暗黒物質は光や電磁波は出さないので直接観察できない。いったいどうやって観測したのだろう?

暗黒物質は直接観測できないが、存在するとその質量により光が曲げられる。もし暗黒物質が存在すると背後にある銀河などの形が歪んで見える。これを重力レンズ効果という。銀河の形の歪みから重力レンズ効果の度合いを調べ、そこから暗黒物質の3次元的空間分布を測定できる。

暗黒物質の巨大リング
2007年5月、米ジョンズ・ホプキンズ大学の研究チームがこれを利用して、ハッブル宇宙望遠鏡で暗黒物質の巨大なリング構造を確認したという。10億〜20億年前に2つの銀河団が衝突した痕跡で直径が約260万光年(銀河系の26倍)、衝突によりいったん中心部に集まった暗黒物質が、その後徐々に環状に広がっていったものとされる。

検出器「XMASS」
これまでのところ、暗黒物質の正体はわかっていない。それを探るのが「スーパーカミオカンデ」の1000倍の検出能力がある「XMASS」という検出器。何とこの中には、1t(トン)もの液体キセノンで満たされている。いったいどうやって暗黒物質を確かめるというのだろうか?

2009年夏から始まる、観測が楽しみである。

関連するニュース
暗黒物質:探索実験用地下空洞を公開 岐阜・飛騨


東京大の神岡宇宙素粒子研究施設(岐阜県飛騨市神岡町)で、来年度から観測を開始する未知の粒子「暗黒物質」(ダークマター)の探索実験用地下空洞が27日、報道関係者に公開された。宇宙に漂う物質の8割を占めるとされる暗黒物質は光や電磁波を出さず、性質がベールに包まれている。

地下空洞は高さ15メートル、奥行き21メートル、幅15メートルで、旧神岡鉱山の地下1000メートルにある。今後、約800トンの純水タンクを設置し、ニュートリノを観測した「スーパーカミオカンデ」の1000倍の検出能力がある暗黒物質の検出器「XMASS」(直径約80センチ、約5億円)をタンクの中に沈める。2009年夏からの観測開始を目指す。

施設長の鈴木洋一郎教授(58)=宇宙素粒子物理学=は「暗黒物質をとらえることで宇宙の構造や素粒子の解明が期待できる。欧米に先駆けて研究を成功させたい」と意欲をみせた。(毎日新聞 2008年8月28日)

暗黒物質の候補


具体的に何が暗黒物質として宇宙の質量の大半を占めているかであるが、後述するように複数の候補が挙がっている。

素粒子論からの候補:ニュートリノ、ニュートラリーノ、アキシオン、シャドーマター

天体物理学からの候補:ブラックホール、白色矮星・中性子星、褐色矮星、惑星、MACHO(出典:Wikipedia)

参考HP Wikipedia「暗黒物質」
東京大学宇宙線研究所 神岡宇宙素粒子研究施設「XMASS」
 → http://www-sk.icrr.u-tokyo.ac.jp/xmass/index.html
Nikon/光と人の物語「宇宙と光」
 →
 http://www.nikon.co.jp/main/jpn/feelnikon/discovery/light/index.htm
 

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