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去年(2007年)の北極海の海氷面積は最小となり、2005年の最小記録を塗り替えた。今年はどうだったのだろうか?

今年は2007年ほどではないが、9月16日に観測史上2番目の小ささにまで減少した。この結果は氷が回復したのではなく、予想以上に地球温暖化が進んでいることを示している。

2007年にそれまでの海氷面積の記録をつくったのは、融解を促進する特別な気象条件もそろっていた。2007年の夏は大気循環のパターンが異常で、シベリア東部の北に暖かい南風が吹き込み、それが融解を促した。

そのような特別な事情のない2008年にもこれほどの融解が起きたことは、実際の記録以上に衝撃的な事態としてとらえられている。米コロラド大によると、数年かけて形成された分厚い多年氷が減り、薄い1年氷が増えたため、体積では観測史上最小だった可能性があるという。
 
北極海の海氷の減少は、単なる地球温暖化の一現象にとどまらない。海氷はその白さで太陽光線を反射するため、地球を冷却する効果がある。海氷が減少すればその分だけ海洋があらわになり、暗い色合いの海洋は太陽の熱を吸収する。その結果、ますます地球温暖化を加速することになる。

北極の海氷が異常に少ない状況は、日本など周辺諸国の天候に影響することが懸念される。一方、今夏はノルウェー海からシベリア北方を経てベーリング海に至る北極海(北東)航路と、反対側のカナダ北方を経由する北西航路が、初めて同時に数週間開通した。毎年夏の間は、欧州から日中韓などへの海上輸送が便利になる可能性がある。

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北極海の海氷量、過去最小か=衛星観測で9月半ばに記録


北極海の海氷面積が今年9月半ば、衛星観測が始まった1979年以来、2番目に小さくなってから、秋の始まりとともに増加に転じたことが、日米欧の研究機関の観測で確認された。米コロラド大によると、数年かけて形成された分厚い多年氷が減り、薄い1年氷が増えたため、体積では観測史上最小だった可能性があるという。

二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの増加による気温と海水温の上昇が原因と考えられる。海氷が異常に少ない状況が来夏以降も続き、日本など周辺諸国の天候に影響することが懸念される。

一方、欧州宇宙機関(ESA)によると、今夏はノルウェー海からシベリア北方を経てベーリング海に至る北極海(北東)航路と、反対側のカナダ北方を経由する北西航路が、初めて同時に数週間開通した。毎年夏に安定して開通するようになると、欧州から日中韓などへの海上輸送が便利になる可能性がある。(2008/10/04 時事通信社)

参考HP 北極海海氷モニターweb
 →
 http://www.ijis.iarc.uaf.edu/cgi-bin/seaice-monitor.cgi?lang=j
ナショナルジオグラフィックニュース「北極の氷、史上2番目の融解」
 →
 http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=59287556
海洋開発機構 →  http://www.jamstec.go.jp/

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