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原因の多様化する腰痛
腰痛は80%の人が経験するという。しかし、腰痛の85%は原因が分かっていない。私も例外ではなかった。数年前謎の痛みが腰から下腹部にあり、内科、泌尿器科、外科と見てもらったが原因が分からなかった。最後に整形外科の先生に見てもらってやっとわかった。

「これは坐骨神経痛ですね」「椎間板が年齢とともに減ってくるんですよ」それからは先生にいわれて、腹筋や背筋を毎日続けるようになった。それで痛みは一応おさまった。しかし最近、また腰まわりが不安である。血流が悪くなるとすぐ下腹部や腰のあたりに鈍い痛みや違和感を感じる。その原因は?よくわからない。

2008年10月5日にNHKで放映された「病の起源 第3集 腰痛 〜それは二足歩行の宿命か?〜」という番組は腰痛についてわかりやすく説明してくれた。わかったことは4つ。それは腰痛は二本足の宿命ではないということ、無理な姿勢が腰痛を引き起こすこと、ストレスでも腰痛が起きること、心因性腰痛というのがあること...である。このうち“心因性”というのが初め理解できなかったが、何回も見返すうちにしだいにわかるようになった。

腰痛の85%は原因がわからない?
腰痛というと物理的なものだと思っていた。だから、はじめに腰痛は無理な姿勢が原因という説明はよく分かった。シリアのユーフラテス川というと古代文明が栄えたことで有名である。ここのアブ・フレイラという遺跡から、13000年前の162体の人骨が発見された。そのほとんどの背骨の一部が変形していた。なぜか?

それまで狩猟を行っていた人類は、この時期農耕を始めた。人々は家族のために、穀物を石でひいて、粉にしパンを焼いた。最近の研究で、この時の前かがみの姿勢は腰に強い負荷をかけることが分かった。これが背骨に変形をもたらしたのだ。

実験してみた。姿勢が変わると、腰(椎間板)にはどのくらい力が加わるものなのか?
実験者の腰(椎間板)に圧力センサーを取り付け測定した。72kgの人がまっすぐに立っているとセンサーは66kgの負荷が腰にかかった。つぎに前かがみの姿勢で測定してみた。その結果は何と235kgに達した。なぜだろう?

体重72kgの人の背中に235kgの力?はじめ測定値が間違っていると思った。しかしそれは間違えではなかった。その力の元は何と筋肉だった。私たちの体は無理な姿勢をすると背筋が働き、その力で椎間板には想像以上の負荷がかかっていたのだ。

ところが「腰痛の原因が無理な姿勢による、腰への負荷である」とハッキリ分かるものは腰痛のわずか15%に過ぎないという。これにはコメンテーターの「柄本明」さんも驚いていた。

ストレス性腰痛
その他の腰痛とは一体なんだろう?それがストレスによるものや心因性による腰痛である。

そこで番組では実験を行った。流れてくる荷物を単に左右に分けるだけの作業と、荷札の住所を見て左右を判断する作業を比較してみた。すると何も考えずに左右に分けるよりも、見て判断するというストレスを加えた方が、+70kgも多くの負荷が腰にかかることをセンサーは示したのだ。これにも驚かされた。

実験が示したことは、ストレスが体に緊張を起こし、それにより背筋が腰にはたらくという模式図が描けるのでなんとか理解はできた。ところが“心因性”の腰痛となると、すぐに理解できなかった。心の負担だけで腰が痛くなるなんて、それはあまりにも弱すぎるのではないのか?そんなに人はもろくはないだろう。多分多くの人がそう思ったのではないだろうか?

心因性腰痛
「Wの悲劇」などで有名なミステリー作家の夏樹静子さん。腰にミシミシとした原因不明の腰痛に悩まされていた。私と同じように内科・外科・気功・整体...さまざまな先生の所を訪問したが原因が分からない。最後に友人によい先生がいるといわれて訪問したのが心療内科の先生だった。それによる診断は「心因性腰痛」「まさか、どうして心の負担が腰に影響するのですか」夏樹さんもそう聞いた。

聞くと夏樹さんは、この時ミステリー以外の作品(純文学・伝記)に挑戦していたそうだ。医師はすぐに書くのをやめるよう指示。夏木さんは1年間筆を断つことを決意した。すると不思議なことに痛みはウソのように引いていくのであった。まさか作家が、いくらミステリーが本業とは言え、純文学の文章を書くのを負担に思っていたとは!われわれ凡人にはわからない。

それにしても、ストレスや心因の増える現代社会。こうした目に見えない要因で体の筋肉に過度の緊張が起き、背筋の力が椎間板に働き腰痛を引き起こすことがあるというのはショックであった。この正体不明の腰痛から逃れる方法はないのだろうか?

腰痛の対策はとにかく歩くこと
ニューヨーク大学の整形外科では、腰痛患者に歩くことを勧めていた。歩くことは血行を促進し、椎間板を刺激し強くする。歩くことは脳の全体を活性化させ、ストレスや心因から解放してくれる。私も適度な運動が必要だと改めて認識した。

タンザニアで狩猟採集を続けているハザ族がいる。彼らは獲物を求めて1日に平均25km歩く。二足歩行を毎日続ける彼らに「腰痛のある人はいませんか?」と聞くと“0”であった。「何もしないのに腰が痛くなる、あなた達は病気じゃないか」そう言ったタンザニアの人の言葉が忘れられない。

「腰痛」の原因は「二本足歩行の宿命」ではなかった。私たちはストレスや心の問題により、自ら「腰痛」を引き起こすことを知った。歩くことが「腰痛」には良いそうだ。私たちが「腰痛」から解放される日は来るのだろうか?

参考HP NHK「病の起源 第3集 腰痛 〜それは二足歩行の宿命か?〜」  
 → 
  http://www.nhk.or.jp/special/onair/081005.html


腰痛とは何か?


腰痛とは、腰に痛みを感じる状態を指す一般的な語句。 その原因は様々である。 多くは急性腰痛症にまとめられる疾患であり、対症療法以外治療法はない。

腰痛の種類
腰痛には筋肉由来の緊張性腰痛と、鈍い痛みを伴う慢性腰痛がある。

筋肉を原因とした緊張性腰痛(筋筋膜性腰痛)は長時間同じ姿勢を続けるなど、過度なストレスを強いられ筋肉が緊張することで引き起こされる腰痛である。筋肉などにストレスが掛けられることで、常に交感神経が優勢になり活発化し緊張を強いられた結果、余計な他の筋肉などに力が入る。すると崩れたバランスを調節しようと腰の筋肉に負担が大きくなり、腰痛が発生する。

慢性型腰痛は、腰に日常的に継続した鈍い痛みのあるものである。尿路結石による痛みを腰痛と勘違いすることがある。(出典:Wikipedia)
 

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