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今度は日本「シアン化化合物」
中国産の食品問題では、メタミドホスやジクロルボス、メラミン、パラチオン、パラチオンメチル、ホレートなどさまざまな化学物質が問題になった。

日本も負けてはいない、クロロピクリン、メタミドホス、アフラトキシン、硫化水素、ベンゼンなど、やはりさまざまな化学物質が最近問題になっている。

そして今回、伊藤ハムの工場の地下水から、環境基準値を超えるシアン化合物が検出され、食品が汚染されたことが発覚。製品を回収する事件が起きた。

回収される商品は幅広い。自社製品だけでなく、日本生協連や、ユーコープ事業連合のほか、東急ストア、バリューローソン、サミット、オーケー、CGCグループを全国展開するシジシージャパン(以上東京)、コストコホールセールジャパン(川崎市)、とりせん(群馬県館林市)、ベイシア(前橋市)のスーパー各社に委託され製品をつくっている。

環境基準値を超えるとはいえ、検出されたシアンは微量で、食べたとしても健康への心配はないようだが、食の安心がゆらいでいる。今日はシアン化合物について学ぼう。

遅れた報告 発覚は1ヶ月前
問題になったのは報告が遅れたことだ。伊藤ハムによると、9月24日に最初の検査の結果が分かり、異常値だったことを把握しながら、公表までに約1カ月を要した。迅速な対応をしていれば、問題のある商品が大量に出回ることはなかったはず。

工場内の3カ所の井戸のうち1カ所に最初の検査が行われたのは9月18日。3カ月に1回行われる定期検査だった。その結果が出たのは9月24日で、基準値を超えるシアン化物イオンなどが検出されていた。

ところが、10月7日に1年に1度の定期検査が行われることから、水質検査をする機械のメンテナンスの担当者は「本社への報告はその結果を待ってから」と判断。同工場の中川修工場長へ報告が行われたのは、7日の検査結果として基準値を超えるシアン化物イオンなどが再度検出された10月15日だった。

今回問題になったシアン化合物とは何だろう?

シアン化合物とは何か?
シアン化合物とは化合物のうち、シアン化物イオン (−CN) をアニオンとして持つ塩を指す呼称。代表例としてはシアン化ナトリウム (NaCN)、シアン化カリウム (KCN) など。シアン化合物は、一般に人体に有毒であり、致死量が、極めて少ない。

シアン化合物はある種のバクテリア、菌類、藻類によりつくられ、食物や植物の中にはシアン化物を含むものがある。例えばリンゴの種やアーモンドに微量ではあるが含まれている。アジサイや青梅にも含まれていて食中毒などで問題になった。

例えば青梅に含まれるシアン化合物はシアン化水素である。シアン化水素は殺虫剤のほか、化学兵器(毒ガス)として使用された。その毒性の発揮は、シトクロムをはじめとする生体内のヘム鉄の Fe3+ に配位し、細胞内呼吸を阻害することによる。

つまりヒトがこの物質を摂取すると、呼吸によって肺から血液中に入り、シアンがヘモグロビンと結びつく。このことにより酸素不足になり、窒息させる。また、体内の重要臓器を細胞内低酸素により壊死させることで個体死に至る。

火災によりアクリル製品等が熱分解し、シアン化水素が発生して中毒することがある。一酸化炭素とともに火災時の中毒原因となっている。 デパート等の火災に際し、落ち着いて避難中の人が突然倒れた事例がある。(長崎屋火災)

どうして今回地下水に混入したのだろう?

シアン化合物がなぜ地下水に?
青酸化合物、特にそのアルカリ塩は電気メッキ、冶金、写真、金属製品加工、化学工業上広く用いられる。また過去に殺虫剤のほか、化学兵器(毒ガス)として使用されたこともある。

かつてはホロコーストの際にガス室で使用された。この時にはツィクロンBという殺虫剤が流用された。中毒死には270ppm〜5000ppm(0.5%)で十分である。なお日本でも同時期にサイロームという同種の製品が存在し、ミカン農家などで使われた。人に対する毒性が強いため、殺虫用途での使用はかつてより減っているが、現在でも、輸入食品の薫蒸に使用されている。

日本軍が対戦車兵器として液化青酸270g入りのビン「一式手投丸缶」(ちゃ剤、ちび弾とも呼ばれた)を製造した。戦車にぶつけて割ると、装甲の隙間から中に入り込み、乗員を中毒させるのが目的であった。日本で時々、遺棄されたこの兵器が地中から発見されている。この毒性に着目したオウム真理教がテロ未遂事件を起こしている。(新宿駅青酸ガス事件)

関連するニュース
自主回収が13品目61万個に拡大 伊藤ハム地下水汚染


伊藤ハムは26日、地下水からシアン化合物が検出された東京工場(千葉県柏市)で、日本生活協同組合連合会(日本生協連)など九業者から委託を受けて製造した他社ブランドのウインナー13品目、計61万袋が新たに自主回収の対象になると発表した。

伊藤ハムが25日に回収を発表した自社製品と同時期(9月18日〜10月15日)に製造したもので、回収は生協連など販売側の責任で行われるという。伊藤ハム製品と他社ブランドを合わせ、回収対象は26品目の計約328万袋になった。

9都県に流通していた日本生協連のほか、生協系のユーコープ事業連合(横浜市)もホームページ上で「コープあらびきポークウインナー」「コープ細挽きポークウインナー」など3製品を回収すると発表した。伊藤ハムは「得意先の専用商品なので」と残る7業者の名前を明らかにしていない。(産経ニュース 2008.10.26 )

 

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