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「オワンクラゲ」の緑色蛍光遺伝子
今年のノーベル化学賞を受賞した下村脩氏の研究は興味深いものであった。受賞理由は「緑色蛍光タンパク質(GFP)の発見とその応用」であり、光るクラゲに興味を持ちそのしくみを解明した成果だった。まだまだ光る生物は多く存在し、その謎の多くは解明されていない。これからも楽しみな研究分野である。

この研究がノーベル賞に選ばれたのは、このクラゲの持つ「緑色蛍光タンパク質(GFP)」をつくる遺伝子が解明され、さまざまな生物の細胞の遺伝子に組込み、応用されて、遺伝子組換え技術を発展させる基礎となったからである。

世界で唯一死なない生物?
クラゲというとさまざまな種類があるが、1994年ごろ、イタリアのレッチェ大学でクラゲの研究をしていたボエロ博士は、驚くべき発見をした。学生が水槽に入れておいたクラゲの世話を忘れ、長時間ほったらかしにしたことがあり、全滅してしまったと思って中をのぞいてみると、クラゲの死体は見あたらず、生まれたばかりの姿になってよみがえっていたのだ。

クラゲの名は「ベニクラゲ」その後、国立海洋研究所のピライノ博士が研究を受け継ぎ、5年間で4000体ものベニクラゲの観察を繰り返し、そのすべてが若返ることを確認した。ベニクラゲは成長しても体長が1センチにも満たないため観察が非常に困難で、ポリプから離れた後、海の中でどのように生きているかほとんどわかっていなかった。
 
「ベニクラゲ」の不老不死遺伝子
ベニクラゲは年老いて寿命になると、体がゆっくり変化する。まず触手が縮みはじめ、口の部分がすぼんで全身の筋肉が収縮し、やがて丸いさなぎのような状態になる。さなぎの中では新しい細胞がつくられ、そこからストロン『走根(そうこん)』と呼ばれる細い根のようなものがすごい勢いで伸びる。ストロンは岩にへばりつき、そこから幹が立ち上がり枝が生えて、再びポリプとなってよみがえったという。

人で考えると老人がいきなり、赤ちゃんにもどったかのようなものだ。「ベニクラゲ」の遺伝子が不老不死という能力を獲得したのなら、人間の遺伝子にもその可能性がある。

若返りとか不老不死とかは決して魔法や夢物語ではなく、現実にありうることかもしれない。たかがクラゲの事じゃないかというかもしれないが、生命は共通のDNAという物質の中に「遺伝子」を持っており、オワンクラゲの発光「遺伝子」が他の生物のDNAに組込まれたように、不老不死の遺伝子が解明されれば、他の生物にも応用可能である。

もし、人が永遠の生命を手に入れたら?
神でもないのにそんなことが許されるのだろうか?これには倫理的な問題がある。ところで、脳の神経細胞は一度つくられたら分裂しない。たとえ細胞を若返らせる遺伝子であっても神経細胞は再生しないので、体の細胞だけが若返ることになる。そうなると体は元気なまま、脳が寿命を迎え脳死する可能性がある。これは理想的な「ピンピンコロリ」ではないだろうか?

不老不死」が今の時点で、実現するかどうか何ともいえないが、とてもおもしろいし、研究する価値は十分ある。現在、「ベニクラゲ」は長崎ペンギン水族館などで見ることができる。京都大の久保田信准教授(無脊椎動物学)は、「ベニクラゲ」の不思議を宣伝するために歌をつくり、CDを出したそうだ。

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「不老不死」若返るクラゲ 水族館で人気者


若返りを繰り返す不思議な生き物が、人気者になりつつある。温帯から亜熱帯の海にいるベニクラゲ。多くの中高年が水族館でうらやましそうにながめる。魅力を広めようと自作の歌をCDにした研究者もいる。下村脩さんのノーベル化学賞で注目されたオワンクラゲに続いてブレークするか。

長崎ペンギン水族館(長崎市)で今月、ベニクラゲが初めて登場した。9月末に北海道の漁師が捕獲。透明の釣り鐘に赤い球が包まれているような形だ。1センチ弱の20匹が上下にゆらゆら動いている。

紹介文は「不老不死のクラゲ」とある。子どもはピンと来ないようだが、大人たちは足を止め、感慨深げに見つめる。長崎県佐世保市の女性(75)は「いいわね。うらやましい」と話した。初老の女性は「何度も人生を繰り返すって、大変そう」。

日本では全域の沿岸や浅い海に生息する。京都大の久保田信准教授(無脊椎(せきつい)動物学)によると、他のクラゲは死ぬと溶けるが、ベニクラゲは口や胃、生殖器官のある赤い部分が残る。その後、海中の栄養分を吸収して細い枝状の「ポリプ」を伸ばし、半透明の若い体を再び作り上げる。

驚異の特徴はこの十数年で明らかになった。通常の生物は細胞分裂のたびに染色体が少しずつ短くなる。これが「老化」とされる。しかし、ベニクラゲは染色体の長さを戻す能力があるのだという。

長崎ペンギン水族館の飼育員、幸塚久典さんは「永久に展示するつもりです」。

世界最多の約40種のクラゲを飼育する山形県鶴岡市立加茂水族館はいま、オワンクラゲ人気にわいている。でも、村上龍男館長は「ベニクラゲにも固定ファンは少なくない」。若返る様子を観察しようと、自宅で飼う人もいるという。

山口県下関市の海響館でも今月上旬から、ベニクラゲの展示を始めた。「不老不死と言うけれど、環境やえさなど条件を整えて飼育するのは難しい」と担当者は話す。

久保田准教授は「人類の夢である不老不死のメカニズムが隠されているかも。永遠の命を望んだ秦の始皇帝が生きていたら大喜びして研究に注目したはず」。魅力を歌で紹介したくて5曲を作詞し、教室や講演先で歌う。「生命(いのち)…永遠に」はバラード、「ぼくの名前は、ベニクラゲ」はテレビヒーローの主題歌風だ。CDも出し、インターネット(http://www.benikurage.com/)で聞ける。 (asahi.com 2008年10月26日)

参考HP ベニクラゲ研究室 → http://www2u.biglobe.ne.jp/~moozoo41/index.html 

 

神秘のベニクラゲと海洋生物の歌―“不老不死の夢”を歌う
久保田 信
不老不死研究会

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