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ついに全化学物質を監視下へ
環境省が「化学物質審査規制法(化審法)」を改正する。「化審法」で、現在監視対象となっている約1100種から、工業製品などに含まれるすべての化学物質約20000種について大幅に拡大する。改正案は次の通常国会に提出される。

この背景には現在進行形で起きている、さまざまな食品への汚染物質混入問題がある。

最近話題になった食品汚染物質をあげてみるとシアン化合物、トルエン、キシレン、ナフタレン、ベンゼン、パラジクロロベンゼン、メタミドホスやジクロルボス、メラミン、パラチオン、パラチオンメチル、アフラトキシンなどなど多数あるが、このうち「化審法」の対象となっているのは約半分しかない。

現行の法律では、安全基準をカバーできていないことが明らかになった。それにしても約20000種もある化学物質、いったいどのように規制していくのだろうか?

企業に報告義務・国はリスク評価
改正案では、一定量以上の化学物質を製造・輸入する企業に対し、物質の使用量や用途を国に届け出る義務を課す。その中から国はリスクが高いものを「優先評価化学物質」に指定して公表し、リスク評価することになる。

欧州連合(EU)が2007年から運用を始めた化学物質管理規則「REACH」では、年間1トン以上の化学物質を製造・輸入する企業は自社でリスク評価することが義務づけられている。市場に出回るすべての化学物質を対象に確実にリスク評価ができるというメリットがある。

リスク評価まで企業に課す欧州型では、企業のコストが増える割には国民のメリットは変わらないとし、日本では国がリスク評価する予定。いずれにしても化学物質のリスク評価はこれまで1600種しか終わっていないという。20000種というとさらに大変な時間と労力がかかる。

今回の法改正で正体不明だった化学物質の危険性がハッキリ分かるのはよいことだが、単に危険性を評価し、管理を呼びかけるだけで、食品に混入される危険性がなくなるわけではない。

「化学物質審査規制法」とは?
化学物質審査規制法(化審法)とは新たに製造・輸入される化学物質について難分解性、生物濃縮性(蓄積性)、人や動植物への有害性を事前審査するとともに、環境を経由して人の健康または動植物の生息・生育に影響を及ぼすおそれがある化学物質の製造、輸入及び使用を規制する仕組みが定められている。

この法律は1973年に制定され、その後1986年と2003年に大幅な法改正が行われた。これまでに、約1600種の化学物質が調べられ、そのうち約1100種類の化学物質が規制の対象となっている。

参考HP 化審法データベース(J-Check)
 →
  http://www.safe.nite.go.jp/jcheck/Top.do

「化学審査規制法」の歴史


この法律ができたきっかけは、1968年に起こったカネミ油症事件のポリ塩化ビフェニル(PCB)による健康被害事件である。カネミ油症事件が起こるまで、人への健康被害の防止は、直接、化学物質と接触して被害を及ぼすような毒劇物の製造・使用等の規制や排出ガス・排出水等の規制によっておこなわれてきた。

ところが、この事件は、従来規制対象になっていなかった安定で分解しにくい物質が、長期間にわたって人体に残留してじわじわと健康に被害を及ぼしたことで、これまでの化学物質の安全性に関する考え方を根本的に覆すものだった。

その後、1986年に従来の特定化学物質を第一種特定化学物質に改編するとともに、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンによる地下水汚染問題を契機に、高濃縮性ではないが難分解性、長期毒性のある化学物質を第二種特定化学物質に新たに指定し、規制をおこなうことになった。また、高濃縮性ではないが難分解性、長期毒性のおそれの疑いのある化学物質も指定化学物質(現:第二種監視化学物質)に指定し、必要な措置が講じられることになった。

1999年には、中央省庁再編がおこなわれ、厚生省が厚生労働省へ、通産省が経済産業省へ再編されるとともに、業務の見直しがおこなわれ、環境省も共同で業務をおこなうこととなった。

しかし、ここまでの化審法は、環境を経由した人の健康被害の防止のみを目的としており、一般環境中の動植物への影響を考えていなかった。また、OECDからも、日本の化学物質管理政策に対して「生態系保全」の考え方を導入するように勧告がなされた。

2003年に法律を改正し、動植物への影響に着目した制度の導入(第三種監視化学物質の指定・措置)や環境中の放出可能性に着目した制度(中間物等の申出・確認)の見直しなどが行われ、現在に至っている。

国際的な規制強化の潮流にあわせ、2010年には企業に対して、すべての化学物質の製造・輸入量、用途を年1回報告するよう義務づけする方向で見直しが進められている。EUのREACH制度の日本版といえる規制になる見通しである。(出典:Wikipedia)

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環境省:化学物質全2万種を監視 法改正へ


環境省は、工業製品などに含まれるすべての化学物質について、製造や輸入、使用などの届け出義務を課し、監視の対象とする方針を固めた。化学物質は約2万種あるとされ、現在監視対象としている約1000種から大幅に拡大する。23日にある経済産業、厚生労働との3省合同委員会の合意を得て、「化学物質審査規制法(化審法)」改正案を次の通常国会に提出する。

現在の化審法は、指定した化学物質延べ1120種について、製造、輸入、使用に関する国への届け出を義務付け、企業が被害情報を得た場合も報告するよう定めている。新たな化学物質を作り出す場合には、安全性についての試験を企業自ら実施することも求めている。

しかし、化学物質は国内でも約2万種あるとされ、幅広く監視する動きが各国で進んでいる。今回の法改正はその流れに対応したもので、改正後は新規、既存問わず、すべての化学物質を対象とする。

改正案では、一定量以上の化学物質を製造・輸入する企業に対しては、その量や使用目的などを定期的に国に報告するよう義務付ける。国は報告を通じて実態を把握し、環境中に一定量以上排出されながら安全性が確認できていない物質を「優先評価化学物質」に指定し公表。安全性を優先的に調べる。

一方、現行法では、PCB(ポリ塩化ビフェニール)のように人や生態系に対して長期間の悪影響があり毒性も高い16種類を指定して使用を認めていないが、改正法では、同等の毒性を持つ新しい化学物質が出てきた場合、「代替品がないなどの理由で使用が許容される用途」に限って使用・流通を容認する代わりに、関係業者に厳しい管理を義務付ける。(asahi.com 2008年10月24日)
 

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