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よい鉄の作り方
製鉄所では鉄をつくる。鉄鉱石から鉄をつくるにはどうするのだろうか?  

簡単にいえば、鉄鉱石に含まれる様々な酸化鉄から酸素を除去して鉄を残す、還元反応を行う。アルミニウムやチタンをつくるばあいに比べて、化学的に小さなエネルギー量で反応が進むことが、これだけ鉄を普及させる要因になった。しかし、この工程には比較的高い温度(千数百度)を長時間保持することが必要なため、古代文化における製鉄技術の有無は、その文化の技術水準の指標の1つとすることができる。

鉄をつくるのに何度まで高温にするのだろうか?
鉄を溶かし、純鉄にするためには1536℃以上の高温が必要である。それ以下の温度では構造や性質の違う鉄になる。鉄911℃以下ではフェライト、911–1392℃はオーステナイト、1392–1536℃はデルタフェライトと呼ばれる。

それにしても1536℃もの高温どうやって測るのだろうか?

現在、製鉄所で使われる、高温度計には「熱電対」と「バイロメーター」がある。

熱電対とは何か?
異なる材料の2本の金属線を接続して1つの回路(熱電対)をつくり、ふたつの接点に温度差を与えると、回路に電圧が発生する現象がおきる。この現象は、1821年にドイツの物理学者トーマス・ゼーベックによって発見され、ゼーベック効果と呼ぶ。金属の反対側を導線でつなげば電流が発生する。この電流の大きさで温度を測ることができる。
 
起電力は、組み合わせる金属の種類と両接点の温度差には依存するものの、構成するふたつの金属の形状と大きさには関係しないため、この現象を利用した多くの温度検出端が開発され。一般にこの現象を利用した温度検出端を熱電対という。 

よく使われるのは、白金と白金ロジウム合金を使うもので、1500℃くらいまで測れる。タングステンとその合金のような融点の高い金属の熱電対を使えば、2500℃位の高い温度も測定できる。

問題点としては、熱が熱電対を伝わって逃げるので、指示温度は実際の温度よりも低くなるので、測定温度を補正する必要がある。また、白金族は触媒作用があるので、熱電対の表面をフッ化カルシウムなどで薄く皮膜する。また製鉄所では高温のため、熱電対はすぐに溶けてしまうため、連続測定には適していない。

このため使われるようになったのが、バイロメーターである。

バイロメーターとは何か?
バイロメーターとは、光高温度計ともいう。物質を熱すると光を放つ。その光の色は温度が低いときは赤っぽく、高くなると青くなり、もっと高くなると白く輝く。
この光の性質により温度を測ることができる。

 

パイロメーターは、光学装置と検出器からなり、光学装置で熱放射を検出器のある焦点に集める。熱放射を感知し測定する非接触装置であり、物体の表面温度を測定するのに用いられる。熱電対のように接触させる必要がないため、溶けずに、しかも連続して温度を測定できる。
 

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