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中国の砂漠化は日本にとっても大問題
地球温暖化のため、各地で砂漠化が進んでいる。中国でも砂漠化は進んでいて、乾燥した砂漠から舞い上がる黄砂は、毎年3月〜5月にかけ日本にもやってくる。砂漠化を何とかしたいというのは、その土地の人たちだけでなく、日本にとっても重大な問題である。

今回、樹脂繊維メーカーの東レが、中国などで進む砂漠化を食い止めようと、緑地化の技術を開発し、実証試験に成功した。チューブ状の樹脂で地面を押さえて砂の移動を防ぎ、草木のタネを根付かせる手法。

試験場所は中国の内モンゴル自治区の中南部。樹脂で作った直径約10センチのチューブを数メートル間隔で格子状に並べ、砂が風で動かないようにして植物が自生しやすくする。07年春に2カ所、計2万平方メートルに置くと、半年後には設置面積の10%に若芽が。今は20%以上で生えている。

この樹脂の素材は「ポリ乳酸」。トウモロコシなどの植物から出来ており、いずれは水や二酸化炭素に分解される。メンテナンスがいらず、回収する手間もかからない。砂漠の緑地化は植林が一般的だが、より安価で、作業時間も短くて済むという。 (asahi.com 2008年11月21日より)

ポリ乳酸「生分解性」よりも安定性?
ポリ乳酸は環境中の水分により加水分解を受け低分子化され、微生物などにより最終的には二酸化炭素と水にまで分解される。こうした性質を持つ「生分解性プラスチック」の中でも、「ポリ乳酸」は最も研究・実用化が進んでいる高分子である。

土中や水中では数年は安定だが、堆肥の中では、約1週間で分解される。農業用に、マルチシートやハウス用のフィルムとして、ホビー分野では屋外用BB弾(通称バイオ弾)として実用化されているほか、繊維製品、光ディスク、包装用フィルム、レジ袋などに応用研究・試験が進んでいる。

誤解してはならないのはポリ乳酸が通常の環境で直ちに生分解を始めるわけではない。上述のように堆肥の中等の特に微生物が豊富な環境でなければ、一般の合成樹脂と同様にほぼ安定である。従って、家電の外装の素材(ラジオ・携帯電話ほか)としても、利用実績がある。

ポリ乳酸「カーボンニュートラル」は本当?
ポリ乳酸は植物起源の素材から合成できるバイオプラスチックの一つである。ブドウ糖(グルコース)・砂糖(スクロース)などに乳酸菌を作用させると、その発酵作用により乳酸が得られる。原料となる糖類はジャガイモやトウモロコシなどから得られるデンプンに酵素(アミラーゼなど)を作用させる、あるいはサトウキビなどから抽出することにより大量に得られる。

ポリ乳酸は微生物によって最終的に二酸化炭素へ分解されて大気中に放出されるが、植物は大気中の二酸化炭素を吸収してデンプンを合成しているため、トータルで見て地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の量を増やすことがない。こうした性質は「カーボンニュートラルである」といわれ、現在注目を集めている。

ただしポリ乳酸の合成の際にもある程度のエネルギーを必要とし、石油など化石燃料を必要とする。このためポリ乳酸を真の意味でカーボンニュートラルと呼んでよいかは若干の議論があり、カーボンニュートラルを考慮してもポリスチレンに比べて排出される二酸化炭素が多いとの見方も存在する。(参考:Wikipedia)

 

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