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新腎がん治療薬で急性肺障害・2人死亡
12月19日、腎がんの治療薬「ネクサバール錠」を服用した、約2000人のうち、4人が急性肺障害を起こし、うち2人が死亡していたと厚生労働省が発表した。

厚労省は同日、製造・販売元のバイエル薬品(大阪市)に対し、使用上の注意の「重大な副作用」に急性肺障害などを追記し、注意喚起するよう指導した。

死亡したのは50代と70代の男性で、いずれも投与から1〜2カ月後、間質性肺炎が疑われる肺障害になった。厚労省は服用との因果関係は「否定できない」としている。

急性肺障害の副作用は、国内の治験(臨床試験)では起きておらず、海外の添付文書にも記載がないため、これまで使用上の注意で触れられていなかった。ただし現時点での肺障害が起きる率は、他の腎がんの抗がん剤と同じ程度という。

腎がん治療薬「ネクサバール錠」とは?
ネクサバール錠」は4月に日本で初めて承認された、腎細胞がん用の抗がん剤。世界62カ国で販売されている。手術で治療できない患者に使われる。ドイツのバイエルヘルスケアとオニキス・ファーマシューティカルが共同開発した経口マルチキナーゼ阻害剤。腫瘍細胞増殖と腫瘍血管新生の両方を阻害することで、癌の成長を抑制する。

腫瘍細胞増殖の阻害
人間の体は何十兆もの細胞からできている。正常細胞では遺伝子の働きによって、細胞周囲の状況に応じて細胞が増えたり、逆に増えすぎないように制御機能が働いたりする。しかし、がん細胞は、遺伝子に異常がおこることで、この制御機能がみだれ、増え続けてしまい、周囲の正常な組織まで破壊してしまう。ネクサバール錠は、がん細胞が増える原因となる信号の伝達を遮断して、がん細胞の増殖を抑制する。

腫瘍血管新生の阻害
がん細胞は周りの血管から酸素や栄養を得るため、新しい血管を作るように働きかけ、がん細胞につなげようとする。このことを血管新生とよび、これががん細胞の増殖促進、がんの成長促進の要因となる。

ネクサバール錠は、この血管新生を阻害することによって、がん細胞の増殖を抑制する。同剤は各癌腫に対して開発が進められており、腎細胞癌への適応は世界70カ国以上、肝細胞癌は30カ国以上で承認されている。肝細胞癌については、国内では2007年9月に製造販売承認申請が行われ、2008年1月に優先審査品目に指定されている。

腎細胞がんとは?
腎細胞がんは、腎臓に発生する悪性腫瘍のひとつであり、尿細管上皮細胞ががん化したものである。腎細胞がんは男性5.6/100,000人、女性4.1/100,000人の確率で見られる。20歳までに見られることは稀で、小児科腎腫瘍では2%を占めるのみである。40歳以降、特に60代から70代にかけて好発する。von Hippel-Lindau病などの遺伝病との関係も示唆されているが定かではない。

喫煙は本症の主要な危険因子であり,30%増大させる。その他に肥満(特に女性)、カドミウム、一部の解熱鎮痛薬の長期使用(アセトアミノフェン、フェナセチン)なども本症の危険因子である。本症は転移が多いことで有名な悪性腫瘍であり、特に肺転移、骨転移、肝転移を起こしやすい。

「ネクサバール錠」使用上の注意にある副作用


「ネクサバール錠」服用時には、以下のような副作用があらわれることが報告されていますが、これらの症状の多くはネクサバール錠の服用を減量または中止したり、お薬で治療することができますので、医師、看護師、薬剤師にご相談下さい。
頻度は高くありませんがこのような副作用の報告があります。

出血(消化管出血、気道出血、脳出血、口腔内出血、鼻出血、爪床出血、血腫)、
心筋虚血・心筋梗塞、肝機能障害・黄疸、呼吸器障害(呼吸困難、咳、声の変化など)
 
「出血」について
口腔内、鼻、胃腸などの粘膜から軽度の出血がみられることがあります。
また、ネクサバール錠の作用機序(血管新生の阻害)から、傷口が治りにくくなる(「創傷治癒遅延」といいます)ことが考えられます。

「心臓虚血・心筋梗塞」について
ネクサバール錠の服用中には動脈や静脈の中に血のかたまり(血栓)ができたり、血栓により血管がふさがったり(塞栓)して心臓虚血・心筋梗塞などがみられることがあります。
胸が締めつけられるような感じや、胸の痛みがあらわれたら、すぐに医師、看護師、薬剤師に連絡しましょう。

「呼吸器障害(呼吸器困難・咳・声の変化など)」について
ネクサバール錠の服用により、呼吸困難、咳、声の変化などがあらわれることがあります。

上記のような症状がみられたら、医師の診察を受けましょう。
息苦しいなどの呼吸困難がみられたら、すぐに医師、看護師、薬剤師に連絡しましょう。(出典:バイエル薬品株式会社)

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ネクサバール錠:腎がん治療薬で4人急性肺障害、うち2人死亡


厚生労働省は19日、腎がんの治療薬「ネクサバール錠」(一般名・ソラフェニブトシル酸塩)を服用した約2000人のうち、4人が急性肺障害を起こし、うち2人が死亡していたと発表した。厚労省は同日、製造・販売元のバイエル薬品(大阪市)に対し、使用上の注意の「重大な副作用」に急性肺障害などを追記し、注意喚起するよう指導した。

厚労省によると、ネクサバールは4月に日本で初めて承認された腎細胞がん用の抗がん剤。バイエルヘルスケア社(ドイツ)などが開発、世界62カ国で販売されている。手術で治療できない患者に使われる。死亡したのは50代と70代の男性で、いずれも投与から1〜2カ月後、間質性肺炎が疑われる肺障害になった。厚労省は服用との因果関係は「否定できない」としている。(毎日新聞 2008年12月20日)

参考HP ネクサバール総合情報サイト → http://www.nexavar.jp/patient/index.html
 

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