衝撃映像

 NHKの解体新ショーが、終わってしまった。定期的に私たちの体のことを、わかりやすく説明している番組であった。お笑い芸人が出ているので、おふざけで学ぶのはちょっと...とあまり見ていなかったのだが、なかなかどうして最新の情報をわかりやすく伝えていた。

その中で2009年1月9日放送の「魚といっしょに泳ぎ続けたい!」の中で衝撃的で印象に残った映像がある。なんと水中でマウスが呼吸して、生きているのだ。

「まさか!」と目を疑ったが事実であった。 しかし、よく聞くと水の中ではなくパーフルオロカーボンという液体の中であった。この液体、酸素や二酸化炭素をよく溶かすので、肺の中に入っても空気のように酸素と二酸化炭素の交換ができるのだそうだ。



 液体呼吸

 1960年代半ば、ニューヨーク州立大学の生理学者キルストラは、食塩水に高圧下で酸素を多く溶かしこみ、マウスの肺の中に入れて呼吸できるかどうかをためした。

その結果、マウスは液体中で呼吸することができ、18時間生き残るたが、二酸化炭素が十分に排出できなかったため、二酸化炭素中毒に陥った。

 1966年、レランド・クラーク とゴランは、食塩水の代わりに、酸素や二酸化炭素がよく溶ける、フルオロカーボン類を使って実験を行った。

 その結果、ほとんどの動物は数週間生き残ったが、その後肺への損傷のため死亡した。なぜ肺に損傷が起きたのかはよくわからなかった。

 パーフルオロカーボンは空気よりも密度・粘度が高いため、呼吸するのにより多くの筋力が必要となる。肺を動かす代わりに肺の中を液体が循環するように装置に工夫を重ねて実験を行った。

 1990年代初頭に行われた実験では、パーフルオロカーボン中でイヌは約2時間生存し、実験後、若干低酸素状態になるが、数日中に正常に戻った。検査したところ、軽い浮腫やいくらかの出血はあったが、初期の実験で見られた肺への損傷は見られなくなった。


 温室効果

 フルオロカーボン (fluorocarbon) とは、フロンガスの一種である。炭素-ハロゲン結合を持つ有機化合物をフロンというが、ハロゲンがフッ素の場合の有機化合物の総称をフルオロカーボンという。

 化学反応がおきにくく、温度を変化させても安定である。炭化水素の水素原子を全てフッ素原子で置き換えたものはパーフルオロカーボンと呼ばれる。冷蔵庫やエアコンの冷媒や、精密電子部品の洗浄剤などに用いられる。

フロンというとオゾン層破壊の原因であるが、フルオロカーボンにはオゾン層破壊効果はない。オゾン層を破壊するのは塩素を含むフロンで、クロロフルオロカーボンがその一例だ。

 しかし、フロンには温室効果がある。しかも二酸化炭素の温室効果を「1」とした場合、フルオロカーボンの1つであるトリフルオロメタンでは「11,700」つまり温室効果は11,700倍もあるのだ。ちなみにメタンは「21」つまり21倍である。


 実用段階

 2009年現在、動物実験だけでなく、人への応用も可能になっている。パーフルオロカーボンのような液体を通して、肺で呼吸する方法を「液体呼吸」という。

 しかし、現在「液体呼吸」が使われるのは、未熟児の治療や、火事などによる重度の肺の負傷の治療などに使われるのが主である。

 1996年ニューヨーク州立大学のコリン・リーチらによる研究では、13人の呼吸窮迫症候群を持ち人工呼吸器がつけられている未熟児に対して試験が行われた。この乳児たちは肺が表面張力によってつぶれるのを防ぐ界面活性物質を生成することができないため死の危険にさらされていた。

 また、肺を膨らませる人工呼吸器では、重く恒久的な肺への損傷を受ける危険もあった。そこで、肺をパーフルブロンで満たすことによって肺胞を広げ、呼吸を可能にする試みがなされた。より低い圧力で肺が膨らまされ、より効率的に、低い負荷で肺を通した血液中への酸素の取り込み・二酸化炭素の放出が起こり、この試みは成功した。

 液体呼吸は医療行為以外には、将来、深海への潜水や宇宙旅行にも応用できる可能性があるとされる。 


参考HP Wikipedia「フロン」「パーフルオロカーボン」「温室効果ガス」「オゾン層破壊」「液体呼吸」


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