
3Rとは何か?
リサイクル(recycle)とは、本来は製品化された物を再資源化し、新たな製品の原料として利用することである。最近、同一種の製品に再循環できないタイプの再生利用や、電化製品や古着などの中古販売についても広くリサイクルと呼ばれることが多い。
リサイクルの他にリデュース(reduce)、リユース(reuse)と共に3Rと呼ばれる。リデュースとは無駄を省き減量すること、リユースとは再使用すること。例えば節水、節電などはリデュースである。例えば中古車などはリユースである。
さてプラスチックは軽くて、加工しやすいということで、あっという間に広がった。もちろん回収してリサイクルもされる。しかし、弾性率が低く構造用材料としては適していなかった。
繊維強化プラスチック
そこで、炭素繊維のように弾性率の高い材料との複合材料として、軽量で強度の高い材料が作られるようになった。強化材は炭素繊維(CFRP)の他、ガラス繊維を用いる場合(GFRP)もある。このように繊維を入れて強化したプラスチックを繊維強化プラスチックとよぶ。
このように、繊維を入れて、丈夫になったプラスチックは、安価・軽量で耐久性がよいことから、小型船舶の船体や、自動車・鉄道車両の内外装、ユニットバスや浄化槽などの住宅設備機器で大きな地位を占めている。しかし、異種材料が混合した状態で成型されていることから、これまでリサイクルが難しい事が欠点であった。
繊維強化プラスチックのリサイクル
今回、NEDO技術開発機構の産業技術研究助成事業(予算規模:約50億円)の一環として、静岡大学工学部物質工学科の岡島 いづみ助教は、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)をリサイクルするための基盤技術を開発した。
その方法は何と、超臨界流体を使う方法。超臨界流体というと今まで、香り成分の抽出やクリーニングで使われてきた。方法は二酸化炭素を使い、高温・高圧状態にする。すると、二酸化炭素が液体と気体の中間の状態になるこれが超臨界流体で、香り成分がこれによく溶けたり、衣類の汚れがよく落ちたりする。
超臨界流体
今回の超臨界流体は、二酸化炭素の代わりに、アルコールを使う。このアルコールにプラスチックを溶かし、分離する。
これにより、炭素強化プラスチック(CFRP)は分解して、炭素繊維とプラスチック部分に分離・回収できる。そして更に、回収後はプラスチック部分は樹脂として再利用する。
今後、実用化を目指し、さらに実験を繰り返し、民間企業との意見交換や共同開発を行っていく予定である。
繊維強化プラスチックの種類
ガラス繊維強化プラスチック (GFRP) 比較的安価で、電波透過性に優れる。
ガラス長繊維強化プラスチック(GMT) 強度に優れ、自動車部品などに使用される。
炭素繊維強化プラスチック (CFRP) アルミニウム合金の後継材料として使用される。
ボロン繊維強化プラスチック (BFRP) 強度、対弾丸性が大きく、軍事兵器などによく使用される。
アラミド繊維強化プラスチック (AFRP, KFRP) アラミド繊維(ケブラー)による強化で耐衝撃性に優れる。
ポリエチレン繊維強化プラスチック (DFRP) ポリエチレン繊維(ダイニーマ)による強化プラスチックで高強度、熱伝導性にも優れる。
ザイロン強化プラスチック(ZFRP) ザイロンによる強化できわめて高い強度と難燃性がある。
参考HP Wikipredia「繊維強化プラスチック」「超臨界流体」
NEDO技術開発機構「炭素強化プラスチック(CFRP)のリサイクル技術を開発」
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