
5大栄養素
5大栄養素というと何だろう?
正解は、炭水化物、脂肪、タンパク質、ビタミン、無機質(ミネラル)である。これに食物繊維を加えて、6大栄養素ということもある。最近では3大栄養素よりも、これらの栄養素のバランスが大切である。
さて、この中の脂肪であるが、脂肪酸とグリセリンでできている。脂肪酸の中には人が体内でつくることができずに、食物として摂らねばならない、必須脂肪酸がある。それは何だろう?
正解はリノール酸、γ-リノレン酸、アラキドン酸などの n-6脂肪酸(ω-6)と、α-リノレン酸、エイコサペンタエン酸 (EPA)、ドコサヘキサエン酸 (DHA)などの n-3脂肪酸(ω-3)である。これらの脂肪酸を多価不飽和脂肪酸という。
必須脂肪酸
では、これらの脂肪酸、1日にどれくらい必要なのだろう?
日本の1999年の報告では、全カロリー中に、リノール酸を2.4%、αリノレン酸を0.5〜1.0%、EPAとDHAの合計で0.5%が必要だとされた。つまり、合計では全カロリーの3〜4%である。
「日本人の食事摂取基準(2005年版)」で成人では、n-6系脂肪酸は1日に7〜12グラム以上、n-3系脂肪酸は、1日に2.0〜2.9グラム以上と示されている。
EPAやDHAがサプリメントとして、よく話題になるのは、これら必須脂肪酸は、多くの代謝過程ではたらいているため、不足したり、種類のバランスが悪かったりすると、体調を崩す原因になるからである。
アラキドン酸で頭がよくなる?
今回、東北大の大隅典子教授らは必須脂肪酸の1つ「アラキドン酸(ARA)」が脳の神経細胞の生成を促すことを、動物実験で突き止めた。
全脂肪酸中に4%のアラキドン酸を含む餌を与えた母ラットの母乳を、生後直後の子ラットに飲ませると、神経細胞の生成数は、アラキドン酸なしの場合に比べ30%増えた。生まれつき神経生成が少ないラットに同じ餌を与えると、それまで見られた不要な音に反応しやすい状態が改善した。
これらのことから「脳の発生期にアラキドン酸を含む適切な栄養を取れば、心の病や神経失調などを予防できる可能性がある」という。
さて、こんなにすごい働きのある、必須脂肪酸「アラキドン酸」とは何だろう?
アラキドン酸とは何か?
アラキドン酸(ARA)は、不飽和脂肪酸のひとつ。4つの二重結合を含む20個の炭素鎖からなるカルボン酸で、n-6脂肪酸に分類される(ω-6脂肪酸ともいう)。
アラギドン酸は、細胞膜中のリン脂質として存在し、なかでも脳に多く含まれることから、神経細胞の形成に必要だと考えられている。
アラキドン酸はほとんどの哺乳類にとって必須脂肪酸であると考えられている。アラキドン酸はリノール酸を原料として体内で合成されるが、種によってはこの機能が十分でないため必要な量を生産することかできないか、あるいは全く生産する機能を持たない。
アラキドン酸は植物にはほとんど含まれないため、自ら十分な量を生産できない動物(ネコなど)は他の動物の捕食によって摂取する必要がある。
アラキドン酸はどんな食品に含まれているか?
アラキドン酸(ARA)を含む食品には次のようなものがある。数値は可食部100 gあたりに含まれるアラキドン酸の量である。
豚レバー 300 mg、牛レバー 170 mg、鶏卵全卵生 150 mg、鶏もも(皮つき) 78 mg、豚もも脂身つき 57 mg
文部科学省「五訂増補 日本食品標準成分表 脂肪酸成分表」より
アラキドン酸を多く含むのは肉類(とくにレバー)や卵など。脳の健康を考えるなら、魚だけでなく肉類もしっかり食べる必要がありそうだ。
ところでアラキドン酸の一部がエタノールアミンという化合物と結合すると、アナンダマイドという物質に変化するといわれている。脳内でアナンダマイドが作られると、不安や恐れが軽減し、至福感・多幸感を感じることが知られている。
「肉を食べると元気が出る」「幸せな気分になる」というのは、こんなところにも理由があるのかもしれない。歳をとったからといってお肉を敬遠してばかりいるのはもったい話だ。
関連するニュース
アラキドン酸:卵・海藻含有の栄養素、心の病予防効果? 東北大など、動物で発見
「脳発生期に栄養を」
卵や海藻に多く含まれる栄養素「アラキドン酸」が脳の神経細胞の生成を促すことを、東北大などが動物実験で突き止めた。神経細胞の生成の減少が精神疾患に関係するとの説があり、食品が疾患の予防や治療に役立つ可能性を示した成果という。7日付の米科学誌プロス・ワンに発表した。
アラキドン酸は脳の発生に重要な役割を担う脂肪酸の一種。全脂肪酸中に4%のアラキドン酸を含む餌を与えた母ラットの母乳を、生後直後の子ラットに飲ませると、神経細胞の生成数は、アラキドン酸なしの場合に比べ30%増えた。生まれつき神経生成が少ないラットに同じ餌を与えると、それまで見られた不要な音に反応しやすい状態が改善した。
この状態は統合失調症患者らに見られる。アラキドン酸は体内で合成できず、大隅典子・東北大教授(神経発生学)は「脳の発生期に適切な栄養を取れば、心の病を予防できる可能性がある」と話す。(毎日新聞 2009年4月8日)
参考HP Wikipedia「必須脂肪酸」「アラキドン酸」・SUNTORY健康情報レポート
「脳のエイジングケアで脚光を浴びるアラキドン酸」
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コメント
コメント一覧 (1)
1、アラキドン酸を多く含むものは卵、肉、牛乳、アラキドン酸をに代謝される血糖値を上げる炭水化物<br>
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や、オメガ6脂肪を含む食材は食パン、フライドポテト、ドレッシングなど。<br>
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2、 体内の過剰なアラキドン酸<br>
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3、 5−LOXを増大( がん細胞の増殖、侵入、転移を助けます。)<br>
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代謝<br>
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4、 5−HETEを増大(がん細胞を死ななくさせます。)<br>
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代謝<br>
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5、 ロイコトリエンを増大(血管、管節、心臓などを攻撃する炎症性物質です。)