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蘇る凍結細胞
2008年11月、理化学研究所は16年間、凍結保存していた、死体マウスから、クローンマウスを誕生させることに成功した。チームによれば、凍結死体からクローン動物を作ったのは世界初で、永久凍土から発掘されるマンモスなどの絶滅動物を復活させることも夢ではなくなった。

2009年1月、岐阜県畜産研究所と近畿大の研究チームは、死後13年間凍結されていた牛の生きた細胞からクローン牛を作ることに成功した。長期凍結保存した細胞による哺乳類のクローン作成は、理化学研究所がマウス(16年間冷凍)で成功している。牛でも可能なことを示し、死んだ名馬や名牛の復活につながる成果として注目されている。

21年前のヒト細胞が蘇る
現代の科学技術では、このように細胞を何年間も凍結保存していて、細胞自体破壊されていても、核さえ取り出せればクローンとして蘇らせることが可能になっている。それでは人間の細胞はどうなのだろうか?

2009年4月15日、米ノースカロライナ州の不妊治療施設「シャーロット生殖内分泌アソシエイツ」は、21年間、凍結保存した精子を使った、体外受精による出産に成功した。この施設は出産にこぎつけた精子の凍結保存期間としては「世界最長記録」だそうだ。 21年間も冷凍凍結した細胞でも受精するのは凄いことである。

顕微受精とは?
さすがに21年間も凍結された精子では、運動能力も落ちてしまっているので、精子の中のDNAを直接、卵に注入する「顕微授精」という方法をとった。

顕微授精は、最近確立した技術で、顕微鏡下で卵子に精子を人為的に授ける操作である。顕微授精には、いくつかの方法があるが、現在では、卵細胞質内精子注入法(ICSI)と同じ意味で用いられることが多い。

顕微授精技術は、ウニやカエルで1960 年代から研究報告が出されているが、哺乳動物の顕微授精を最初に報告したのは、Uehara とYanagimachi(1976)である。彼らは、ヒト精子およびハムスター精子をハムスター卵子に注入して前核形成を確認した。

その後、ウサギ(Iritani et al., 1989)、ウシ(Goto et al., 1990)、ヒト(Palermo et al., 1992)、マウス(Kimura et al., 1995)、サル(Hewiton et al., 1998)、ハムスター(Yamauchi et al., 2002)などで産子の報告が
得られている。
 
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21年前の凍結精子で体外受精・出産 米で「世界記録」


米ノースカロライナ州の不妊治療施設「シャーロット生殖内分泌アソシエイツ」は、21年前に保存された凍結精子を使った体外受精による出産に成功した、と発表した。この施設は出産にこぎつけた精子の凍結保存期間としては「世界最長記録」としている。

発表によると、出産したのはメロディー・ビブリスさん(33)。夫のクリスさん(39)は13歳のときに白血病とわかり、化学療法で不妊になる可能性があるため16歳だった1987年に精子を凍結保存した。2008年5月、夫婦は体外受精を決断し、今年3月4日に長女ステラちゃんが生まれた。クリスさんの白血病はここ20年ほど、症状がほぼ消えた「寛解」状態という。

白血病やがんの治療の前に男性患者の精子を凍結保存することは日本でも行われている。ただ、今回の体外受精に使われた顕微授精技術は、クリスさんが精子の凍結保存をした時点では実現していなかったという。 (asahi.com 2009年4月15日) 

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