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「iPS細胞」とは何か?
「iPS細胞」とは何だろう?

そう「iPS細胞」は遺伝子組換えによってつくった人工万能細胞である。万能細胞とは、体の中のあらゆる組織の細胞になる能力を持った細胞である。

2006年8月、京都大学の山中伸弥教授がマウスの遺伝子を4つ(Oct3/4、Sox2、c-Myc、Klf4)を組換えることで、万能性を持たせることに成功した。

さらに、2007年11月、山中教授のチームは、人間の大人の皮膚にこの4種類の遺伝子を導入して、「iPS細胞」を生成する技術を開発した。

「iPS細胞」の問題点とは何か?
しかし、このiPS細胞には問題があった。1つは4つの遺伝子のうち、c-Mycが発がん性のある遺伝子であること、もう一つは遺伝子を組み込むのに「ウイルス」を使ったことで、発がん性が疑われている。

これらの問題に対しては、2007年12月1日、山中教授らは、がん遺伝子でもあるMyc以外の3因子により、大人のマウスおよび成人皮膚細胞からiPS細胞の樹立に成功した。

また2008年10月には、ウイルスを使わずにプラスミドを使ってiPS細胞を作ることに、マウスの細胞を使った実験で成功している。

ただ、これらの成果も、ヒトの皮膚細胞2万個からできるiPS細胞はわずか1〜3株であり、効率の低さも問題があった。

タンパク質を使って効率向上
タカラバイオは2009年2月1日、タンパク質を使って、iPS細胞を従来より10〜30倍、効率よく作る手法を開発した。

iPS細胞の作成では、ウイルスを使って遺伝子を細胞に運ぶことが多い。同社はこのウイルスに、同社が開発した組み換えたんぱく質「レトロネクチン」を加えた。レトロネクチンは、運ばれた遺伝子が細胞内に入る効率を高める働きがあり、既に遺伝子治療で実用化されている。

その結果、ヒトの皮膚細胞2万個からiPS細胞10〜30株を作ることに成功した。従来の「ポリブレン法」では1〜3株だった。同社はこの手法を特許出願した。

タンパク質だけで「iPS細胞」?
この方法では、タンパク質を使うことで、遺伝子を取り込みやすくすることが、新しい手法だった。しかし、考えてみれば遺伝子はタンパク質をつくるためのものである。遺伝子の代わりにできるタンパク質を最初から細胞に与えたらどうなるか?

そう考えたのが、米スクリプス研究所のシェン・ディン准教授と、独マックスプランク分子医薬研究所のハンス・シェラー教授らのチーム。

米独チームはまず、大腸菌を使ってiPS細胞に必要な4遺伝子から、それぞれたんぱく質を作成。このたんぱく質にアミノ酸の一種のアルギニンを11個つなぎ、細胞膜を透過しやすい性質を持つように改造、ウイルスを使わずにマウスの胎児の細胞内に入れた。

コロンブスの卵「piPS細胞」
その結果、たんぱく質が細胞核に入り、iPS細胞ができた。心臓、肝臓、生殖細胞などへの分化も確認。4つのたんぱく質は細胞の核に入って48時間後まで存在するものの、その後は自然に消滅するため、がん化の心配が少ないという。

まさにコロンブスの卵のような素晴らしいアイデア!ウイルスを使って遺伝子を入れるから、細胞はがん化する。目的のタンパク質を細胞に吸収させれば「ウイルスなど必要ない」というわけだ。チームはたんぱく質(プロテイン)の頭文字を取り、「piPS細胞」と命名した。

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iPS細胞:「遺伝子なし」で作成…米独チームが新手法
さまざまな細胞に分化できるマウスの人工多能性幹細胞(iPS細胞)を、遺伝子を細胞内に入れずに作る新手法を米独の研究チームが開発した。遺伝子の影響で起きうる細胞のがん化を防ぎ、治療に使える安全なiPS細胞の作成法につながる重要な成果で、世界の研究者が目指していた「遺伝子ゼロ」のiPS細胞が初めて実現した。24日、米科学誌「セル・ステムセル」で発表した。

米スクリプス研究所のシェン・ディン准教授、独マックスプランク分子医薬研究所のハンス・シェラー教授らのチームが開発した。

山中伸弥・京都大教授が開発したiPS細胞は、ウイルスを使って4つの遺伝子を細胞の核に入れて作られた。しかし、遺伝子や導入に使うウイルスが予期せぬ働きをして、細胞ががん化する恐れが高く、遺伝子やウイルスを使わない方法が模索されてきた。

米独チームはまず、大腸菌を使って4遺伝子から、それぞれたんぱく質を作成。このたんぱく質にアミノ酸の一種のアルギニンを11個つなぎ、細胞膜を透過しやすい性質を持つように改造、ウイルスを使わずにマウスの胎児の細胞内に入れた。

その結果、たんぱく質が細胞核に入り、iPS細胞ができた。心臓、肝臓、生殖細胞などへの分化も確認。4つのたんぱく質は細胞の核に入って48時間後まで存在するものの、その後は自然に消滅するため、がん化の心配が少ないという。

チームはたんぱく質(プロテイン)の頭文字を取り、「piPS細胞」と命名した。今後、同じ手法がヒト細胞でも可能かどうか、できた細胞の性質の詳しい検証などの研究が続くとみられる。(毎日新聞 2009年4月24日) 

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