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季節はずれのインフルエンザ
メキシコでインフルエンザが発生した。ずいぶん暖かくなってからのインフルエンザである。このインフルエンザ、通常は豚にかかるインフルエンザであるが、人から人への感染を確認、流行している。

現地メキシコでも3月から発生したようだ。4月25日現在、メキシコシティーでは10日間の公共活動停止を宣言した。死亡者は60名、感染者は1000人以上になっている。米国でも感染者が発見され、感染が広がっている。

テレビのニュースでは成田空港で、メキシコから帰国した人達が体調を聞かれ、体温をサーモチェックされ、検疫を受けてから「初めて流行を知った」と言っていた。

新型インフルエンザ対策行動計画
厚労省の難波吉雄の新型インフルエンザ対策推進室長は「正しい情報に基づいた冷静な対応をお願いしたい」と呼び掛けている。全国の検疫所に対しては、多数の死者が出ているメキシコからの入国者についてサーモグラフィー検査などで健康状態のチェックを徹底するよう要請した。

政府の新型インフルエンザ対策行動計画によると、海外で新型インフルエンザ発生の疑いが生じれば世界保健機関(WHO)の宣言がない段階でも、関係閣僚会議を開いて行動計画に基づく「第1段階(海外発生期)」の態勢を取る。

その際、発生国から航空機の到着は成田・関西・中部・福岡−−の4空港、客船は横浜・神戸・関門−−の3港に集約され、発症が疑われる入国者は隔離される。発生国からの外国人来日はビザ発給が制限され、発生国への出国についても渡航延期の勧告が出される。

H1N1型インフルエンザ
メキシコシティーのエブラルド市長は、感染防止措置として、向こう10日間にわたり、すべての公共活動を停止すると宣言した。市内では薬局でマスクが品切れとなるなど、社会への影響が広がっている。

メキシコのコルドバ保健相は、これまでの死者が通常のインフルエンザと異なり、25−45歳の青壮年に集中しているなど、特異な状況を指摘した。感染は同国全土に拡大しているが、在メキシコ日本大使館では、死者や感染の疑われるケースに日本人は含まれていないとしている。

一方、米国内での感染者はカリフォルニア、テキサス両州で8人が確認された。米疾病対策センター(CDC)は、いずれも豚との接触がないことで「人から人に感染した」と発表。メキシコ、米国の感染者から見つかったウイルスは、遺伝子構造が同じA型ウイルス(H1N1型)と確認された。

インフルエンザ・フェーズ「3」
世界保健機関(WHO)のマーガレット・チャン事務局長は25日、専門家による初の緊急委員会をジュネーブで開き事態は「深刻な状況だ」との認識を表明した。米国で人から人への感染が確認されたことを踏まえ、委員会では新型インフルエンザの大流行に備える6段階(フェーズ)の警戒レベルを、現行の「3」(人から人への感染がないか限定的)から、人から人への感染拡大の兆候があるとする「4」に引き上げる措置などを協議した。

AP通信によると、緊急委員会を前に、チャン事務局長は「感染は急速に拡大している」と述べ「推移を密接に監視すべき深刻な状況だ」と指摘した。ただ、最も懸念される世界的大流行の可能性はあるものの、今後の推移については不明とし、最終的な情勢分析には数日かかるとの見方を示した。

豚インフルエンザ
今回のインフルエンザは通常、豚の間で流行するインフルエンザ。1930年に米アイオワ州で初めて見つかった。現在よく流行する、Aソ連型と同じA型インフルエンザで、H1N1型である。

このため、世界中の人がこの型のウイルスに対して免疫を持つ。この点が人が免疫を持たない型(H5N1型)の鳥インフルエンザとは異なる。またH1型のウイルスは、強毒性のH5型に比べ毒性が低かった。これが人にうつり、毒性の強い型に遺伝子変異したものと考えられる。

しかし今回のインフルエンザは、死亡率の高さから大槻公一・京都産業大鳥インフルエンザ研究センター長(獣医微生物学)は「従来の豚インフルエンザの範ちゅうを超えており、これまでにないウイルスになっている可能性がある。H5N1型に限らず、別の型でも鳥から豚に感染し新型インフルエンザとなって感染が広がる可能性がある」と話す。

WHOは、動物由来で人から人に感染する新型インフルエンザの大流行への警戒度を6段階で示している。現在は動物から人への感染はあるが、人から人への感染は非常にまれな「フェーズ3」。新型インフルエンザが発生すると「フェーズ4」になり、世界的な大流行状態は「フェーズ6」となる。

今回の流行が、どうなるか予断を許さない状況だ。

参考HP 毎日新聞 豚インフル:「深刻な事態」・・・WHOが緊急委」

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