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地球上最古の化石?
2001年、名古屋大学の杉谷教授が、オーストラリア西部のピルバラ地域で、約30億年前のチャート(ケイ質堆積(たいせき)岩)を採取し、薄く削って顕微鏡で観察すると、見たことのない形をした化石のような構造がはっきりと見えた。

一般的に生命の起源は38億年以上前とされている。最古の生命とみられる化石は、ピルバラ地域の35億年前(太古代)のものがこれまで報告されていたが、これらは気泡ではないか?と反論されていた。

こうした状況から、教授はすぐに発表はせずに、化石である証拠を増やす必要があると判断。西オーストラリア地質調査所などの研究者らとともに8年間、共同研究を続けていた。

化石構造の化学組成を調べると、炭素のほか、生物に必要な元素の窒素や硫黄が含まれていることが判明。まわりの岩石をフッ化水素(フッ酸)で溶かし、実際に化石のような部分を取り出して詳しく観察するなど多角的に研究を積み重ね、これらは単細胞生物の化石であると結論。世界的な専門誌で発表した。(東京新聞 2009年4月28日)

30億年前にすでに多様な形
今回の化石群の大きさは、一つが数十から百マイクロメートル(0.1mm)と大きく、構造が比較的はっきりしている。これまで、太古代の地層から見つかる微化石は数マイクロメートル(1マイクロメートルは1000分の1mm)と小さいものがほとんどであった。

球状のものが多いが、シート状の組織に包まれたエダマメのような構造や、球が集まって「コロニー」を作っているものなど形は一様ではない。二つに分裂したり(二分裂)、多数の細胞を作ったり(多分裂)していると考えられるものも多数見つかった。

細胞分裂中とみられる構造がはっきり残っている太古代の化石の報告例は、これまでにないという。杉谷教授は「従来考えられていた以上に30億年前の生物は進化し、多様な生態系を構築していたことが示唆される」と指摘する。

オーストラリア・ピルバラ地域 
西オーストラリアのピルバラ地域には35億年前に形成された地層が分布する。ピルバラ地域は変成作用が弱く、生物の形状が明瞭に残っている。しかし、当時の生物は小さいので化石もミクロンサイズの微化石でしかない。発掘した資料を薄片にして顕微鏡で探すのだが、これには勘を養う必要があった。

東京大学の上野雄一郎教授らは、この地域で12年間も試行錯誤を行い、2〜3年前に独自の技術を編み出し、35億年前の微化石の中から、数々の生物の姿を、明らかにしている。

これらの微生物は、原核生物と考えられており、地表から地下1000mにある地下生物圏(石の割れ目)に生きる生物や、その直上で熱水の周りへばりついて生きている生物、まだ宇宙線が地表に届いている時代にもかかわらず、光の届く範囲内で細々と光合成を行っていた可能性のある生物など、35億年前でも生物は多様に分化していた様子が明らかになりつつあるという。

ではいつごろ、我々の直接の先祖である真核生物が現れたのか?これについては、27億年前の地層を中心に調査中である。

太古代(始生代)という時代
地質時代の年代区分のひとつ。おなじみの新生代・中生代・古生代の時代を顕生代というが、その前の時代を先カンブリア代という。先カンブリア代は、地球が生まれてから、冥生代、太古代、原生代の3つの順に分けられる。

時間的には、今から約38億年前から約25億年前。始生代ともいう。この頃全現生生物最後の共通祖先原核生物が現れ、約38億年前に、真正細菌と古細菌(後の真核生物を含む)の2系統に分岐したと考えられている。

微化石とは何か?
微化石(びかせき)とは、大きさが数mm以下の特に小さい化石を言う。大型の化石は一般によく知られているが、産出する数としては化石の中で最も多いものである。

地球上に存在した全ての生物の死骸は化石になる可能性があるが、実際に化石になることができるものは少ない。風化したり、地殻の変成作用を受け形の残らないものがほとんどである。

しかし、放散虫や有孔虫などの微小な生物や花粉などは、それ自体が堆積岩の粒子(砂や泥)の一部として堆積するため、より大型の生物遺骸が堆積した場合に比べて変形・破壊される可能性が少ないく、化石として残りやすい。

また材質的にも、珪酸や石灰質でできた硬い殻を持ったものが数多く、そのために成層過程を経てもなお極めて良好に原形をとどめているものが多い。

微化石の例
現在知られている微化石は、プランクトンなどの微生物と、多細胞生物の一部分(花粉や骨針など)とに大別される。普通の化石同様、微化石として残るのは主に珪酸質や石灰質といった硬質部分である。

珪酸質の殻を持つ微生物:放散虫(Radiolaria)先カンブリア時代から生存。 珪藻(Diatoms)1億8500万年前より生存。
石灰質の殻を持つ微生物:有孔虫(Foraminifera)カンブリア紀以降生存。
花粉(Pollen):花粉をつくる種子植物は古生代後半から生存。

今回、発見された微生物群は、海底に降り積もった、熱水噴出口由来の珪酸質の中に、残されたものであり、放散虫のものではないようである。

参考HP Wikipedia「微化石」「太古代」「珪藻」「有孔虫」
東京新聞「
多様な生態示す形 30億年前の微化石群を分析
理科ネットワーク「
固体地球のようす オーストラリア・ピルバラ
 

微化石の科学
ハワード・A. アームストロング,マーティン・D. ブレイジャー
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