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ウイルスの感染するしくみと感染しないしくみ
現在、これまでにはなかった新型インフルエンザウイルスが、世界的に広がっている。日本でも国内感染者が発見され心配であるが、今のところ、猛毒性はないので、これまでと同様に、あわてずに対処することが大切である。

今回のインフルエンザ、豚にしか感染しないタイプが、人に感染するタイプに変わったという。ところで、インフルエンザは牛や馬、犬や猫に感染するのであろうか?きっと、まったく感染しない動物もいるはずである。

インフルエンザと無縁の動物、当たり前といえば当たり前だが、なぜ感染する動物と感染しない動物がいるのだろうか?これまで病原体は、感染するしくみが研究されてきたが、感染しないしくみを研究していけば、インフルエンザも撲滅できるかもしれない。

世界で初めて発見されたウイルス
インフルエンザウイルスは非常に小さく、人の細胞を利用して増える。他のウイルスについても同じで、自ら細胞を持たずに、他の生物の細胞を利用して増える。現在の生物の定義では、細胞を持たないので生物に含まない。核酸とわずかなタンパク質からできている、物質にすぎない。

では、世界で初めて発見されたウイルスは何だろう?

正解は、タバコモザイクウイルス(TMV)である。タバコモザイク病は、タバコモザイクウイルスによる植物の病気で、タバコなどの葉にモザイク状の斑点ができ葉の成長が悪くなる。

1892年、ドミトリー・イワノフスキーにより、また1898年にはマルティヌス・ベイエリンクによって、細菌を「ろ過」した抽出液にも依然として感染性因子を含んでいることが示された。これが、ろ過性病原体すなわちウイルスの最初の発見である。

1935年、ウェンデル・スタンリーがこのウイルスの結晶化に成功し、電子顕微鏡観察で初めて姿をとらえた。そして結晶化後も活性を失わないことを示した。このことから、ウイルスは生物というより物質に近いことがわかった。彼はこの業績により1946年度ノーベル化学賞を授与された。

タバコモザイクウイルス(TMV)に感染しないトマトのしくみ
さて、このようにウイルスは動物だけでなく、植物にも感染する。ほとんどすべての農作物はウイルスにより収量低下等の被害を受ける。

タバコモザイクウイルス(TMV)は、タバコに感染するウイルスである。だから、タバコ以外の植物には感染しない。しかしなぜ、タバコと同じ「ナス科」のトマトに感染しないのか?しくみはよくわかっていなかった。

今回、農業生物資源研究所は、トマトのtm-1遺伝子による、tm-1というタンパク質が、タバコモザイクウイルス(TMV)の複製に必要なタンパク質に結合し、その機能を阻害することを明らかにした。その証拠に、tm-1遺伝子を組込んだタバコは、TMVの発現がなくなった。

複数のウイルス増殖抑制機構
さらに、トマトにはtm-1タンパク質による複製の阻害に加えて、タバコモザイクウイルス(TMV)が植物体の中で増え拡がることを抑制する別の機構が存在することも示唆された。複数のウイルス増殖抑制機構が同時に存在することは、ウイルスが容易に宿主生物種以外に感染できるよう変異しないことを説明できる。

この研究によって、非宿主生物の細胞中に、ウイルス因子に結合してその機能を阻害するようなタンパク質が存在すること、一方でウイルスがある生物種で増殖を遂げるためには、そのような阻害因子から逃れるように適応する必要があることが初めて明らかになった。

これまでのほとんどのウイルス研究は、着目するウイルスが増殖可能な宿主を用いて行われてきたために、このような阻害機構は知られていなかった。今後、非宿主生物種に着目することによって、これまでに有効な抵抗性遺伝子が見つかっていないウイルスに対しても、そのウイルスに有効な阻害因子を発見することができるのではないかと期待される。

インフルエンザウイルスなども、将来、この方法で撲滅することができるかもしれない。

参考HP Wikipedia「タバコモザイクウイルス」 ・農業生物資源研究所「ウイルスが決まった植物にしか感染しないしくみ」 

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