
環境にやさしい「風力」「波力」「水力」
エネルギーとは仕事をすることのできる能力のことであった。近年、石油・石炭などの化石燃料の燃焼で出てくる、化学エネルギーや熱エネルギーを、うまく利用することで人類は発展してきた。
しかし、これには二酸化炭素による地球温暖化や、大気汚染などの環境問題を引き起こしてしまった。そこで現在、環境にやさしいエネルギーの利用がさかんに考えられている。
環境にやさしいエネルギーとして注目されているのが、風力や波力、水力を使った発電である。これらのエネルギーは環境にやさしいということ以外に、共通点がある。それは何だろうか?
力学的エネルギーと力学的エネルギー保存の法則
正解はどれも力学的エネルギーであるということである。力学的エネルギーとは何だろう?
力学的エネルギーとは、運動エネルギーや位置エネルギーのことを指す。理想的な場での物体の運動は、力学的エネルギーすなわち、運動エネルギーと位置エネルギーの和は一定になる。これを、力学的エネルギー保存の法則と言う。
これを式で書くと次のようになる。ただし、運動エネルギーを K 、位置エネルギーを U 、力学的エネルギーを E とする。
E = K + U
実際にエネルギーは、摩擦力などを通して、熱エネルギーなど他のエネルギーに変わることがある。この場合、力学的エネルギーの保存は成立しなくなるが、エネルギー全体としては保存している。より広義の意味で、エネルギーは保存しているので、これをエネルギー保存の法則という。
運動エネルギーとは何か?
運動エネルギーとは、運動している物体が持つエネルギーのことである。質量mの物質が速さVで運動しているとき、この物体が持つ運動エネルギーは K は次のように表される。
K = 1/2 mV2
位置エネルギーとは何か?
位置エネルギーとは、物体が「ある位置」にあることで物体にたくわえられるエネルギーのことである。力学ではポテンシャルエネルギー(potential energy)ともいう。質量mの物質が高さhの位置に置かれているとき、この物体が持つ位置エネルギーUは次のようになる。
U = mgh
上の図は落下する物体のエネルギーの移り変わりを表している。h は物体のある高さ、t は時間、Epot は位置エネルギー、Ekin は運動エネルギー、Etot は力学的エネルギーである。物体の落下にともなって、位置エネルギー(黄色い部分)は減少し、運動エネルギー(青い部分)は増加する。
ここで重要なのはボールが落下している間、力学的エネルギーはつねに一定で変わらないということである。物体が動くときには、エネルギーの種類は変わるがその総量は増えたり減ったりしない。この法則を力学的エネルギー保存の法則と呼ぶ。
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