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 第2波に備えよ
 新型インフルエンザの国内感染者は、6月18日現在32都道府県に広がり685人となった、宮崎県で感染者が初確認されたほか、埼玉、神奈川県などで新たな感染が判明した。実際の感染者はもっと広がっていると思われる。第2波に関して準備が必要である。

 厚生労働省は6月18日、新型インフルエンザで懸念される秋以降の流行「第2波」に備え、原則として全医療機関で新型患者を診察し、軽症者は自宅療養とするなど、対策の運用指針の改定案を固めた。患者発生をゼロに抑える「封じ込め」が困難になったため、重症者を可能な限り減らすことに重点を置く。

 新型インフルエンザの姿・形
 ところで、新型インフルエンザはどのような姿をしているのだろうか?

 東京大医科学研究所の河岡義裕教授らの研究で、新型インフルエンザのウイルスは細長いインゲンのような形をしていることがわかった。米疾病対策センター(CDC)が公表した電子顕微鏡写真は球形だったが、撮影前の遠心分離器による処理でちぎれたウイルスの断片をとらえていたという。6月15日付の英科学誌ネイチャー(電子版)で発表した。

 ウイルスの形は3つに大別
 ウイルスは、RNAまたはDNAのどちらかと、タンパク質あるいはそれに脂質または炭水化物がくわわった保護殻からなり、光学顕微鏡では観察できないほど小さい。すべて細胞内に寄生して増殖する。ウイルスの殻をカプシドとよぶ。

 ウイルスのカプシドの大きさと形はさまざまだが、3つに大別できる。対称性のある球状と、細長い棒状と、頭と尾をもつオタマジャクシ形(ある種のバクテリオファージ)である。最小のウイルスは正二十面体で、直径は18〜20nm(ナノメートル:10億分の1m)である。最大のウイルスは棒状で、長さ数マイクロメートル(µm:100万分の1m)に達するものもある、幅はふつう100nmにみたない。

 ウイルスの発見と歴史
 1892年、ロシアの植物学者ドミトリー・イワノフスキーがのちにタバコモザイクウイルスといわれる細菌濾過(ろか)器を通過する微粒子を発見し、ウイルスの存在が確認された。98年にはオランダの植物学者マルティヌス・ベイエリンクによって、これらの感染症をひきおこす粒子にウイルスという名前がつけられた。数年後には細菌に感染して成長するウイルスが発見された。これらのウイルスは、カナダ生まれの細菌学者デレルによってバクテリオファージ(バクテリアを食うもの)と名づけられた。

 その後、1935年にアメリカの生化学者スタンリーがタバコモザイクウイルスを結晶化した。このウイルスは遺伝物質であるRNA(リボ核酸)とタンパク質の殻だけでできていることが判明した。40年代に電子顕微鏡が開発されて、ウイルスを視覚的にとらえることが可能になった。つづいてウイルスの濃縮と精製につかわれる高速遠心分離機が開発された。50年代には、試験管内でウイルスを複製させる細胞の培養法が開発され、動物ウイルスの研究は新しい時代に入った。その後、多数のウイルスが発見され、それらの物理的および化学的特徴が次々に分析された。

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新型インフルウイルス、実は細長いインゲン形


 新型の豚インフルエンザのウイルスは細長いインゲンのような形をしていることが、東京大医科学研究所の河岡義裕教授らの研究でわかった。米疾病対策センター(CDC)が流行後に公表した電子顕微鏡写真は球形だったが、撮影前の遠心分離器による処理でちぎれたウイルスの断片をとらえていたという。15日付の英科学誌ネイチャー(電子版)で発表した。

 ウイルス以外の物質を取り除くため、CDCは遠心分離器にかけていたが、河岡さんらはかけずに撮影したところ、長さ1千分の1ミリほどの細長い形をしていた。遠心分離器にかけると、ウイルスの大部分が不純物と一緒に除去され、残った断片が球状に写ったという。

 他の種類のインフルエンザのウイルスには球形や細長い形など、さまざまなタイプが知られる。

 河岡さんらはまた、新型ウイルスが人の鼻やのどの粘膜から体内に侵入しやすいよう、すでに変異していることも突き止めた。

 インフルエンザウイルスは表面のHAというたんぱく質が人の鼻やのどの粘膜にある受容体にはまって、体内に侵入する。HAと受容体は鍵と鍵穴のような関係で、ぴったりはまるほど感染力が増す。豚のウイルスに由来するHAの一部が、人の受容体にはまりやすいよう変異していたという。 (asahi.com 2009年6月15日)

参考HP Wikipedia・MSNエンカルタ「ウイルス」・岡山環境保健理センター 

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