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 シックハウス症候群とは何か?
 シックハウス症候群は、建築用語・または症候のひとつ。新築の住居などで起こる、倦怠感・めまい・頭痛・湿疹・のどの痛み・呼吸器疾患などの症状があらわれる体調不良の呼び名。

シックハウス症候群の原因は住居に使われる接着剤や防虫剤、防カビ剤などに含まれる有機溶剤や揮発性有機化合物などの「化学物質」である。

厚生労働省は、住宅内の空気質調査を行い、住宅内に多く見られた物質を中心として、化学物質の人体に対する影響を考慮して13種類の揮発性有機化合物について、濃度指針値を示している。これには次のような物質があげられている。

 厚生労働省による濃度指針値のある物質
 ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、パラジクロロベンゼン、クロルピリホス、テトラデカン、フタル酸ジ-n-ブチル、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル、ダイアジノン、フェノブカルブ

 化学物質過敏症(CS)とは何か?
 さまざまな種類の微量化学物質に反応して、例えば結膜炎、鼻炎、咽頭炎などのさまざまな症状が出て苦しむ病気。

 化学物質過敏症(CS)の代表的な症例が「シックハウス症候群」とされる。発症原因の半数以上が、これにあたる。これ以外には農薬や、シロアリ防除剤、庭・公園・街路樹の殺虫剤、タバコの煙などが原因になる。

 化学物質過敏症の発症者数は、全国で約70万人の成人がいると推計されており、子どもも含めれば100万人程度と予想される。重症になると、仕事や家事が出来ない、学校へ行けない…など、通常の生活が営めなくなる深刻な「環境病」であるにもかかわらず、これまでは一般的に、科学的・疫学的な立証を経たものではないとされ、正式な病名と認められていなかった。

 国が「CS」の存在を認める
 今回、厚生労働省と経済産業省の外郭団体・財団法人医療情報システム開発センター(東京都文京区)が、病名リストに、「化学物質過敏症(CS)」が新たに登録されることが6月11日明らかになった。

 このように、国が公式に「CS」の存在を認めるのは初めてである。健康保険で扱われる病名はこのリストに連動しており、改訂されれば、自己負担が原則だったCS治療に健保が適用されるため、推定約70万人とされる患者救済の大きな一歩となる。

 これまで、シックハウス連絡会(東京都)は厚労省にCSを公認するよう求めてきた。CSの一種の「シックハウス症候群」は既に健保の適用が認められている。しかし、シックハウス症候群がホルムアルデヒドやトルエンなど室内の空気汚染で発症するのに対し、CSは農薬散布やたばこの煙などが原因で室内外を問わない。このため、厚労省は「医学的に統一した見解が確立されていない」として健保の適用を原則認めなかった。

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「化学物質過敏症」、健保の適用対象に 10月、厚労省方針


 微量の化学物質に反応して頭痛などの症状が表れる「化学物質過敏症」について、厚生労働省は12日までに、健康保険で医療機関が診療報酬を請求する際に使う保険病名として初めて認める方針を固めた。

 治療は健康保険の適用対象となり患者の負担額が少なくなる。10月1日付で改定する保険病名リストで採用される見込みという。化学物質過敏症の患者数は全国で約70万人と推計されている。 (日本経済新聞 2009年6月12日) 

参考HP 化学物質過敏症支援センター

化学物質過敏症 (文春新書 (230))
柳沢 幸雄,石川 哲,宮田 幹夫
文芸春秋

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誰もがかかる化学物質過敏症 (FOR BEGINNERS SCIENCE)
渡辺 雄二
現代書館

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