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 触媒とは何か?
 触媒とは、特定の化学反応の反応速度を速める物質で、自身は反応の前後で変化しないものをいう。

 今日では反応の種類に応じてたくさんの種類の触媒が開発されている。特に化学工業や有機化学では欠くことができない。また、生物にとっては酵素が重要な触媒としてはたらいている。

 新しい触媒が開発されると、社会的にも非常に大きな影響を与えることがある。これまでどんな触媒が開発されたのであろうか?

 触媒の開発史
 ハーバー・ボッシュ法 - 史上初めて人工的に窒素をアンモニアへと変換した反応。二重促進鉄触媒を用いる。1918年ノーベル化学賞。

 チーグラー・ナッタ触媒 - ポリエチレンなど、優れた特性を持つ高分子の生産を可能とした。チタン錯体を触媒とする。1963年ノーベル化学賞。

 メタセシス反応 - 有機合成で極めて多用される、2つのオレフィンの結合を組み替える反応。ルテニウムを中心とするグラブス触媒が用いられる。2005年ノーベル化学賞。

 クロスカップリング反応 - 炭素-炭素結合を作るうえで欠かせない反応。多くの日本人化学者が関与した。鈴木・宮浦カップリング、右田・小杉・スティルカップリングなど、パラジウム錯体の用例が多い。

 不斉反応 - 対掌体の一方のみを選択的に得る。金属錯体を中心に、数々の触媒が開発されている。野依良治氏が2001年ノーベル化学賞を受賞。

 需要の高い白金触媒
 燃料電池 - 水素やメタノールを燃料として発電する装置。固体高分子型燃料電池 (PEFC) は室温付近の温和な条件で機能するが、2006年現在では、電極触媒として高価かつ資源量の少ない白金やCO耐性のある白金ルテニウム合金を使用しないと高い電力を取り出すことができず、普及には貴金属使用量の劇的な削減が必要である。

 さらに白金は、自動車には排気ガスの浄化触媒として多くの量が使用されている。また、その高い耐久性により自動車の点火プラグや排気センサーなど過酷な環境に晒される部品にも多用されている。

 誕生!白金のナノ金平糖
 このように、白金は触媒として大切なはたらきをするのだが、何といっても高価なことが問題である。少しでも貴重な白金を有効に利用したいところだ。

 今回、物質・材料研究機構などの研究チームが、白金でナノサイズの「金平糖」を作り出すことに、成功した。金平糖状にすることで、通常の粉末よりも表面積が広くなって、少ない量でも高い効果が期待できるという。

 「金平糖」は直径約20ナノメートル(ナノは10億分の1)。表面積は1グラムあたり55〜65平方メートルで、従来の白金材料の約2倍になる。界面活性剤の分子を鋳型のように使うことで、ナノレベルの複雑な凹凸を作り出す、優れた技術を開発した。

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「金平糖ナノ」?排ガス浄化効果期待 物材研など作成


 白金でナノサイズの「金平糖」を作り出すことに、物質・材料研究機構などの研究チームが成功した。白金は自動車の排ガス浄化用触媒などに広く使われており、金平糖状にすれば通常の粉末よりも表面積が広くなって、少ない量でも同じ効果が期待できるという。

 「金平糖」は直径約20ナノメートル(ナノは10億分の1)。表面積は1グラムあたり55〜65平方メートルで、従来の白金材料の約2倍になる。界面活性剤の分子を鋳型のように使うことで、ナノレベルの複雑な凹凸を作り出した。

 白金は燃料電池の電極などにも使われるが、希少で高価なため、使用量を減らす新技術が求められていた。

 同機構の山内悠輔・独立研究者は「日本は資源小国だが、この技術を使えば、わずかな金属資源から大きな価値を引き出すことが可能になる」と話している。米化学会の専門誌に、近く論文が発表される。(asahi.com 2009年6月24日)

参考HP 物質・材料研究機構 白金ナノ金平糖:微細構造を持つ白金ナノ粒子 

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