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 グッド・ジュピター
 グッド・ジュピター(良い木星)とは、太陽系の木星のような巨大ガス惑星で、生命居住可能な地球型惑星に悪影響を及ぼさないように規則正しく、恒星から十分遠く離れた位置で、内側の地球型惑星を保護するはたらきをする惑星である。

 もし、太陽系に木星がなかったらどうなっていただろう?

 巨大な太陽の引力によって、ちっぽけな地球型惑星は飲み込まれていたかもしれない。木星は地球が太陽に落ちないようにひっぱっているのだ。また、彗星や小惑星が外部太陽系から、内部太陽系に入り込み、地球型惑星に破壊的な衝突をおこしていたかもしれない。木星は太古の昔から現代に至るまで、彗星や小惑星をその巨大な引力で飲み込み続けている。


 木星がなかったら地球は現在のように、暑過ぎず寒過ぎず気候が安定し、生命のあふれる惑星にはならなかったであろう。我々はそんな木星のはたらきも知らずに、毎日生活しているが、自然の偉大さ、不思議さに畏敬の念を持たざるを得ない。

 この木星の偉大さを人類が初めて、目にしたのは1994年のことである。この年「シューメーカー・レヴィ第9彗星」が木星に衝突したようすがドラマチックに観測された。彗星は、木星の重力に捕らわれなければ地球軌道上に達しいていたかもしれない。

 シューメーカー・レヴィ第9彗星
 1993年3月24日8時ごろ(協定世界時)に「シューメーカー・レヴィ第9彗星」は、パロマー天文台で観測中のシューメーカー夫妻とディヴィッド・レヴィによっておとめ座に発見された。通常の彗星とは異なり、核は長さが1分ほどの棒状に見え、棒の中に幾つかの点が光って見えた。

 発見して間もなく、観測データから軌道を計算した結果、いくつかの興味深いことが判明した。この彗星は木星の周りを回る軌道をとっており、彗星が惑星に捕獲されていたのである。
 
 過去の軌道を計算すると1917年に土星に接近し太陽系のより内側へと軌道が変わり、1960年頃に木星に捕獲され、1992年7月には木星にその直径の1.2倍まで接近していたらしい。この木星への接近の際にロシュ限界を突破、潮汐力によって核が砕け、少なくとも21個の破片が連なっている。核が棒状に見えたのはこのためであった。

 1994年7月に木星に衝突したが、彗星の軌道を計算し、木星に衝突することを最初に予報したのは日本人の中野主一氏であった。彼はこの功績で後に文部大臣表彰されている。

 これは、人類が初めて目撃した地球大気圏外での物体の衝突の瞬間であった。この規模の彗星が木星に衝突するのは約1000年に1度の稀な現象であるとされる。木星に衝突した痕は、小型望遠鏡でも十分観測できた。木星表面には、ぽっかりと黒い穴があいているのが観察できた。

 木星に再び彗星衝突
 今回、7月19日夜、木星に彗星のようなものが衝突したような穴があいているのが発見された。米航空宇宙局(NASA)は「15年ぶりに木星に彗星が衝突した。ここ5年の惑星の出来事の中で、最もエキサイティングだ」と発表した。

 発見したのは豪州のアマチュア天文家アンソニー・ウェズリーさん。口径約40センチの望遠鏡で木星を観察中に、南極付近に黒い跡があるのを見つけた。ほぼ地球大の大きさがあった。

 NASAがハワイの赤外線望遠鏡で撮影したところ、近赤外線では光って見え、上空の大気が熱くなっていることが分かった。15年前の1994年7月に「シューメーカー・レビー第9彗星」が衝突した時には、小型の望遠鏡でも数週間観測できた。(asahi.com 2009年7月23日)

 7月23日、NASAは修理したばかりのハッブル宇宙望遠鏡で、さっそく木星を撮影。木星の南半球にある衝突痕がはっきりと写っている。
 

参考HP Wikipedia「グッド・ジュピター」「木星」「シューメーカー・レヴィ第9彗星」・朝日新聞

軌道決定の原理―彗星・小惑星の観測方向から距離を決めるには
長沢 工
地人書館

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渡部 好恵
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