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 「2009年7月中国・九州北部豪雨」
 気象庁は7月27日、7月19〜26日に山口県や九州北部を襲った豪雨について「2009年7月中国・九州北部豪雨」と命名した。

 土砂災害が各地で発生し、死者・行方不明者が多数で、家屋の浸水被害が命名の目安である1万棟に近づいていることなどから、命名を決めた。豪雨の命名は昨年8月に愛知県や関東地方などで大きな被害を出した「2008年8月末豪雨」以来のことである。

 28日も篠栗町で1人、防府市で1人土砂崩れ現場から、遺体が発見された。これで、九州・山口の豪雨死者は計27人、ゆくえ不明者は1人になった。

 老人ホームを襲った悲劇
 今回の豪雨は1時間に100mmという記録的な豪雨であった。山口県の防府市では1か月分とほぼ同じ量の雨が、わずか半日で降ったという。梅雨の明けない九州北部では、今後も大雨が予想されている。

 7月21日、中国・九州北部に猛烈な雨が降り、各地で土石流や土砂崩れが発生した。山口県防府市の老人ホーム「ライフケア高砂」には土砂が流れ込み、入所者3人が死亡、4人が行方不明になった。山口県内では5人が亡くなり、11人の行方が分からなくなった。

 報道によると、この老人ホームは土砂災害警戒地域だったという。土砂災害警戒地域とは何だろうか?

 これは強い雨が降ったときに、土砂崩れが起きる可能性のある地域のことで、全国で何と13万ヶ所にものぼる。当時の防府市の防災体制は、どうなっていたのであろうか?

 想定外の100mmの雨
 いつも天気予報をだしている、地方気象台では40mmの雨を予報していた。ところが想定外の100mmの雨。防府市では1時間に100mmの雨の時、何が起きるかを想定していなかった。普通の人は想定できるわけがない。

 何しろ100mmの雨というのは、まず10m先がかすんで見えなくなるほどの雨だ。おまけに90db(デシベル)の騒音。人の声は叫んでも聞こえないほどの音だ。

 役所の防災課は県から、警戒レベル4になったことを受けて、避難勧告を出したが、避難勧告を知らせる市のスピーカーからの放送は、猛烈な雨音にかき消された。走って知らせに行こうと考えたが、すでに各地区からの被害報告の対応に追われてどうにもならない状態であった。

 それに対し、同じ山口県の下関市では、県からの警戒レベル3で、市内の土砂災害警戒地域に、避難勧告を出すことを決めていた。県からの報告からわずか30分で避難勧告を決定、速め速めの対応が被害を最小限度にとどめた。

 梅雨明けは8月?
 「今年の夏は異常だ」だれもがそう感じることになった、今回の集中豪雨。いったい何がどうなっているのだろう。ここ関東でも本当に梅雨明けしたの?と思うくらいよく降る。

 近畿や中四国地方などでは、梅雨明けの見通しが立たない。気象庁は「今後1週間ほどは同じ状況が続く」としており、梅雨明けは8月にずれ込む可能性が高まっている。7月14日、梅雨明けしたはずの関東甲信地方。これもあとで取り消されるかもしれない。

 いったい今回の集中豪雨の原因は何だろう、今年の梅雨はいつ終わるのだろう?

 集中豪雨の原因
 気象庁によると、今年は太平洋高気圧の勢力が弱く、梅雨前線が西日本を中心に停滞しているとのこと。この原因は、南米ペルー沖の赤道付近の海面水温が上がるエルニーニョ現象がその原因の1つになっている。

 今年は6月9〜11日に九州から東北まで相次いで梅雨入りしたが、西日本は6月末までは渇水の危機が迫るほどの空梅雨。一方、今月14日に梅雨明けが発表された関東甲信地方ではその後も曇りや雨の日が多く、異変続きとなっている。

 近畿地方の梅雨明けは平年、7月19日。記録的な冷夏で特定できなかった1993年を除いて記録があるのは、8月に梅雨が明けたのは唯一、2003年の8月1日のみ。この年にも、九州で集中豪雨による被害が相次ぎ、熊本県水俣市で土石流のため19人が死亡している。


参考HP 毎日新聞・NHKクローズアップ現代「気象異変の夏〜日本の空で何が〜 

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