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 若田さんの宇宙滞在記録
 若田さんが7月31日午前10時30分(日本時間31日午後11時48分)、宇宙から帰ってきた。ずいぶん長いこと宇宙にいたが、どのくらい宇宙にいたのだろうか?

 正解は約138日、正確には137日と15時間である。3月15日(同16日)、シャトル「ディスカバリー」で出発し、国際宇宙ステーション(ISS)に約4か月半滞在。そして「エンデバー」に乗って、7月最後の31日に帰還した。

 宇宙ステーション滞在中は、日本実験棟「きぼう」をロボットアームを使って完成させたり、「宇宙でこんなことしたらどうなるの?」という「おもしろ宇宙実験を」披露して、私たちを楽しませてくれた。残念ながら、宇宙から日食を見ることはできなかったが、月の影が地球にできていたのは確認したそうだ。


                                     
 何で立って歩けるのか?
 何よりも驚いたのは、着陸後わずか4時間の記者会見に、しっかり歩いて笑顔で答える若田さんの姿であった。「立って歩けるの?」そう思った人も多かった。何しろ長期滞在では、無重力の生活の間に骨や筋肉が細くなってしまうからだ。

 しばらくは歩けない飛行士も多いのに、若田さんはなぜ、元気なのか。若田さんの滞在は138日に及んだが、元気そのもの。宇宙機構の立川敬二理事長らを見つけて、駆け寄ろうとした。

 着陸後に若田さんを診察した宇宙機構の嶋田和人・宇宙飛行士健康管理グループ医長は「国際宇宙ステーションの新型の器具による運動が効果的だったのか、今回が3度目の飛行で慣れていたから」と分析する。無重力で骨が弱るのを防ぐため、骨粗しょう症の治療薬を実験的に服用したのが効いた可能性もある。

若田さんは今後45日間、米航空宇宙局(NASA)の手順に従って毎日、マッサージや水中運動などを2時間程度こなし、医学検査も受ける。これらのデータの分析から、宇宙で健康に暮らすための秘訣(ひけつ)が見えてくると期待される。

 若田さんの言葉
 「地球に帰ってきてハッチが開いた後、草の香りがシャトルの中に入ってきた時に、優しく地球に迎えられた感じがした。体調は非常に、思ったよりいい状態」

 「(日本の実験棟の)きぼうの組み立てを、この素晴らしいクルーと一緒に完了することができた。そのことが帰ってきて、一番大きな喜びになっていると思います」

 「明日(8月1日)は46歳の誕生日です。すしとケーキを食べるのが楽しみです。」

 「宇宙は素晴らしい所だ。色んな国の人が協力し、人間に夢を与えてくれる。どんな夢でも目標でもそれに向かってがんばって下さい。」

「におわない下着の着用実験は成功した」「1か月間着用し続けたのに、仲間は気が付かず、文句も言われなかった」

 宇宙線の被爆量
 そして、もう一つ心配なのが若田さんの宇宙線被爆量だ。放射線は自然界に存在し、大地から1年間に0.46mSv(ミリシーベルト)また、宇宙からの放射線(宇宙線)で1年間に0.38mSv、その他空気からなど1.56mSv程の被爆を受けており、合計2.4mSvになる。

 若田さんは宇宙ステーションで地表の40年分相当の被爆を受けたという。その量は2.4mSv × 40年 = 96mSv。1回のCTスキャンによる撮影被爆量約20mSv、レントゲン胸部で0.1mSv、胃透視で15mSv。年間の最大許容被曝線量は50mSvであるから、若田さんは、年間許容量の約2倍の量を4ヶ月半の長期宇宙滞在中に受けたことになる。

 今後人類は、1週間程度の月ミッションで、致死量の宇宙放射線を計算上浴びることになり、宇宙線の対策をどうしていくかが課題だ。

参考HP 読売新聞・朝日新聞・毎日新聞

宇宙に暮らす―宇宙旅行から長期滞在へ (ポピュラー・サイエンス)
松本 信二
裳華房

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