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 ES細胞とは何だろう?
 ES細胞とは、胚性幹細胞(Embryonic stem cells)のことで、動物の発生初期段階である胚盤胞期の胚の一部に属する内部細胞塊より作られる幹細胞細のこと。英語の頭文字を取り、ES細胞(イーエスさいぼう)と呼ばれる。
  
 理論上すべての組織に分化する分化多能性を保ちつつ、ほぼ無限に増殖させる事ができるため、再生医療への応用に注目されている。また、マウスなどの動物由来のES細胞は、体外培養後、胚に戻し、発生させることで、生殖細胞を含む個体中の様々な組織に分化することができる。

 また、その高い増殖能から遺伝子に様々な操作を加えることが可能である。このことを利用して、相同組換えにより個体レベルで特定遺伝子を意図的に破壊したり(ノックアウトマウス)、マーカー遺伝子を自在に導入したりすることができるので、基礎医学研究では既に広く利用されている。 

 ES細胞をめぐる諸問題
 このようにES細胞の研究は進んでいるが、体細胞由来のiPS細胞とちがって、受精卵からできるES細胞を研究に使うには、倫理的な問題が大きかった。

 そのため、文部科学省は、ヒト胚性幹細胞(ES細胞)の作成、使用に関しては、研究機関の倫理委員会と国の二重審査を課していた。それが今回、ES細胞の研究に関しては、国に届けるだけでよいことに変更される。一方、ES細胞の作成については、従来通りの厳しい二重審査を維持する。(2009年8月21日 文科省)

 そして、ES細胞自体にもまだまだ謎は多く、例えば、なぜ1個のES細胞から、心臓の細胞や脳の神経細胞、皮膚の細胞などが分化するのか、そのしくみはわかっていない。

 ES細胞の分化
 今回、京都大学ウイルス研究所の小林妙子助教、影山龍一郎教授らがマウスのES細胞から、神経細胞を作る際、すべて神経系の細胞に分化させる方法を見つけた。

 ES細胞を同じ神経細胞に分化させたのがすごい。どうやって神経細胞だけつくることができたのか?また、ES細胞が少しでも残っていると、がんになるおそれがあるのだが、今回の成果はその解決策にもなるという。

 影山教授らは、Hes1という遺伝子が神経系の細胞に分化させる遺伝子群の働きを抑えていることを突き止めた。ES細胞でHes1の働きが強くなったり弱くなったりするなど3〜5時間周期で振動しており、Hes1の働きが弱い時に神経系の細胞ができやすいことも明らかにした。

 そこで、Hes1の働きを止めたES細胞に神経系の細胞に分化させる物質を加えたところ、6日目までにほぼ100%神経系の細胞に分化した。通常のES細胞は30%だった。「ヒトのES細胞や iPS細胞(人工多能性幹細胞)でも試してみたい」と影山教授は話す。(asahi.com 2009年8月17日)  
 

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