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 世界ジオパーク

 ジオパークとは、科学的に見て特別に重要で貴重な、あるいは美しい地質遺産を複数含む一種の自然公園である。ジオパークでは、その地質遺産を保全し、地球科 学の普及に利用し、さらに地質遺産を観光の対象とするジオツーリズムを通じて地域社会の活性化を目指す。

 2004年にユネスコの支援で設立された世界ジオパークネットワークにより、世界各国で推進されている。世界遺産のように国際条約で認められているプログラムではないが、現在もユネスコの地球科学部門の支援を受け続けている。

 世界遺産との違い
 世界遺産に比べて、まだあまり知られていないが、世界遺産との違いは、地質に関する自然遺産を保護するだけでなく、それを教育や地域の活性化に積極的に生かしていこうとする点にある。

 ジオパークは世界遺産と比べるとまだまだ歴史が浅いため、世界全体を見渡しても、現在18ヵ国57ヵ所が指定されているに過ぎない。また、その大部分はヨーロッパと中国に集中している。アメリカにはまだない。

 日本初!ジオパーク認定
 中国は国家を上げてジオパークに取り組んでいる。中国がジオパークの設立に積極的な理由は、その広い国土に類まれな自然遺産があるということと同時に、ジオパークへの認定が地域経済と雇用の促進へと結びつく可能性があるからだ。

 日本も負けてられない。2008年に国内の認定機関として日本ジオパークネットワーク (JGN) が発足。JGN が認定した地域を、日本ジオパーク委員会 (JGC) が 世界ジオパークネットワーク(GGN) に対して申請する仕組みが整えられた。2009年8月22日、洞爺湖・有珠山(北海道)、糸魚川(新潟県)、島原半島(長崎県)の3か所がGGNよりジオパークとして認定された。

 糸魚川フォッサマグナ
 糸魚川のフォッサマグマミュージアムは、フォッサマグマの地質学がわかる科学博物館だ。そこへ行くとジオパークとは何かがわかる。糸魚川周辺に出土する宝石「ヒスイ」や、フォッサマグナで出土するさまざまな鉱物、古生代や中性代の地層から発見された化石など、どこで何が見られるか一目で分かるようになっている。

 市をあげて「地質学の公園(ジオ・パーク)」にしようという、意気込みが感じられる。この博物館には毎年訪れているが、博物館の人達も親切だ。学芸員さんに聞くと、拾ってきた石の名前を1つ1つていねいに教えてくれる。休みに親子で、近くの海岸でヒスイを探し、学芸員さんに見てもらうのもOKだ。ただし、人気があるので、順番待ちをすることもある(1人10個まで)。

 今回、世界ジオパークに認定された地域の見どころをあげると...

 洞爺湖有珠山ジオパーク
 2000 年に噴火した有珠山とその被害遺構、1944-45 年にできた昭和新山、約10 万年前の大噴火で 形成されたカルデラ湖である洞爺湖がみどころ。2000 年噴火に伴う地殻変動を目の当たりにできる。 「変動する大地との共生」がテーマ。

 糸魚川ジオパーク
 5 億年に渡る様々な時代の多様な岩石・地層、日本を二つに分ける大きな断層「糸魚川静岡構造線」 と地下の大きなへこみ「フォッサマグナ」がみどころ。縄文文化と関わりが深いヒスイ、断層と塩の道など、ジオと人に関わるテーマが豊富。

 島原半島ジオパーク
 1990-95 年に噴火した雲仙普賢岳とその被災の遺構と、「島原大変肥後迷惑」と言われる1792 年の 噴火の遺跡、雲仙地溝の活断層地形がみどころ。火砕流の恐ろしさとともに火山の恵みを学 べる。

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洞爺湖有珠山など3地域世界ジオパークに認定


 洞爺湖有珠山、糸魚川、島原半島の3地域が22日、中国泰安市で開かれた世界ジオパークネットワーク事務局会議で、世界ジオパークに認定された。

 ジオパークは地域の地史や地質現象がよく分かる地質遺産と考古学的・生態学的あるいは文化的な価値も併せ持つ地域。これまで18カ国58地域が、ユネスコの支援で2004年に設立された世界ジオパークネットワークを構成している。日本の地域が世界ジオパークに認定されたのはこれが初めて。

 洞爺湖有珠山は、2000 年に噴火した有珠山とその被害遺構、1944-45 年にできた昭和新山、約10万年前の大噴火で形成されたカルデラ湖の洞爺湖を含む地域。糸魚川は、日本列島を二分する「糸魚川静岡構造線」と地下の大きなへこみ「フォッサマグナ」で特徴づけられる地域で、5億年にわたる時代の多様な岩石・地層が見られる。島原は1989-95 年に噴火した雲仙普賢岳とその被害の遺構と、その前1792 年の 噴火の遺跡など火砕流の恐ろしさと火山の恵みを併せて知ることができる地域となっている。

 ジオパークとして認められるには、地質学的な価値を持つだけでは不十分で、公的機関・地域社会や民間団体によるしっかりした運営組織と運営・財政計画を持つことに加え、ジオツーリズムなどを通じて、地域の持続可能な社会・経済発展を育成すること、さらに物館、自然観察路、ガイド付きツアーなどにより、地球科学や環境問題に関する教育的な役割を果たしている区域であることなどが求められている。(サイエンスポータル 2009年8月24日)

参考HP ナショナルグラフィック「ジオパーク」・日本地質学会「ジオパークとは」・Wikipedia「ジオパーク」 

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