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 修理完了!ハッブル望遠鏡
 米航空宇宙局(NASA)は、スペースシャトルで修理したハッブル宇宙望遠鏡の調整作業を終え、最新の観測機器で撮影した鮮明な画像を公開した。

 解像度などの性能が約10倍アップしたといい、地球から3800光年離れた「バタフライ星雲」の画像では、消滅する恒星がチョウのようにガスを発する様子が分かる。

 ハッブル宇宙望遠鏡は、2009年5月13日スペースシャトル「アトランティス」号が接近、ロボットアームでつかみ、シャトルの貨物室に固定するのに成功した。

 その後14日朝から6時間以上の船外活動を5日連続で行い、部品の修理や交換を行った。宇宙望遠鏡は、1990年にシャトルで宇宙へ運ばれたが故障が目立ち、これまで4回の修理が行われてきた。シャトルは来年退役する予定で、今回が最後の修理になる。

 今回、この修理を完結するために、乗組員は1年以上、延べ400時間に及ぶ訓練を受けたという。今回の修理で、初めて装備が完全になり、寿命は2014年まで延びる。

 「宇宙のチョウ」の正体
 この蝶が羽根を広げたような美しい星雲は、「NGC 6302(バグ星雲、バタフライ星雲)」といい。惑星状星雲のひとつである。「NGC6302」は天の川銀河内のさそり座にあり、地球から約3800光年離れたところにある。

 惑星状星雲は恒星がその死の間際に膨張し、ガスを放出することで形成される。
ガスは約2200年間にわたり放出されており、時速96万キロ以上の速さで広がり続け、その長さは太陽とアルファケンタウリ間の半分に相当する2光年以上におよぶ。

 中心部にある星は白色矮星になっていると考えられている。

 中心部の星の表面温度は約22万度にもなり、確認されている星の中では最も高温の部類に入る。

 2009年9月9日、新カメラ「ワイドフィールドカメラ3(Wide Field Camera-3、WFC3)」や分光器が設置されリニューアルされたハッブル望遠鏡により撮影された鮮明な画像がNASAより公開された。

 ハッブル宇宙望遠鏡とは?
 
ハッブル宇宙望遠鏡(HST)とは、地上約600km上空の軌道上を周回する宇宙望遠鏡である。長さ13.1メートル、重さ11トンの筒型で、内側に反射望遠鏡を収めている。主鏡の直径2.4メートルのいわば宇宙の天文台である。大気や天候による影響を受けないため、高い精度での天体観測が可能。

 ハッブル宇宙望遠鏡と国際宇宙ステーション(ISS)を比べると、上空600kmという高さは、地上400km上空を周回する国際宇宙ステーションより外側である。そのスピードは国際宇宙ステーションが、地球1周約90分であるのに対し、ハッブルは地球1周97分であるから、相当なスピードだ。

 また、宇宙望遠鏡の周回軌道は、国際宇宙ステーションとドッキングする通常の飛行と違い、宇宙に漂うゴミ「スペースデプリ」の多い空間である。宇宙ステーションと違って、避難場所がないため、万が一衝突した場合には、別のシャトルが救援機として打ち上げられる予定だ。

 ハッブル宇宙望遠鏡の成果
 ハッブル宇宙望遠鏡は、宇宙の謎を解くために、素晴らしい活躍をしてきた。どんな発見がこれまで、なされたのだろう?

・1994年、シューメーカー・レヴィ第9彗星が木星に衝突する様子を克明に捉えた。
・太陽系外の恒星の周りに惑星が存在する証拠を初めて得た。
・銀河系を取巻くダークマターの存在を明らかにした。
・宇宙の膨張速度が加速しているという現在の宇宙モデルはハッブル宇宙望遠鏡の観測結果によって得られた。
・多くの銀河の中心部にブラックホールがあるという理論は、ハッブル宇宙望遠鏡の多くの観測結果によって裏付けられている。
・1995年12月18日〜28日、おおぐま座付近の肉眼でほとんど星のない領域について十日間にわたり観測を行い、「ハッブル・ディープ・フィールド」と呼ばれる1500〜2000個にも及ぶ、遠方の銀河を撮影した。
・1998年、これに続き、南天のきょしちょう座付近において「南天のハッブル・ディープ・フィールド」 (Hubble Deep Field - South) 観測を行った。 双方の観測結果は非常に似かよっており、宇宙は大きなスケールに渉り均一であること、地球は宇宙の中で典型的な場所を占めていることを明らかにした。
・さらに2003年、探査領域はろ座の1度ほどの領域を、微光天体カメラおよび赤外線カメラを用い、撮影された画像には、1万個以上の誕生後4、5億年の銀河が映し出されている。「ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールド」と呼ばれている。

参考HP Wikipedia「ハッブル宇宙望遠鏡」「ハッブル・ディープ・フィールド」 ・NASA mission_pages 

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