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 不安な輸入ワクチン
 現在、国内4つのワクチンメーカーが、フル稼働で新型インフルのワクチンを生産中だ。しかし、鶏卵でウイルスを培養する旧式な生産法のため、来年3月までに確保できるのは約1800万人分。必要なワクチンは約5400万人分なので遠くおよばない。そこで、日本政府は、海外からワクチンを輸入する方針を打ち出した。

 ところが海外製のワクチンは昆虫の培養細胞を使った新しい製造法で、しかも免疫力を高める物質が入っているため、安全性の確認が不十分という問題がある。

 大阪市立大医学研究科の広田良夫教授(公衆衛生学)は「摂取から10〜20日後に神経症状などが出てくる可能性もある」と注意を促す。

 国立感染症研究所感染症情報センターの岡部信彦センター長も「海外で使われているからといって、そのまますぐに日本でも承認したのでは安全性は担保されない。少数でもいいから日本人でも調査を行うべきだ」と指摘する。

  日本政府の方針
 政府は輸入に向け欧米の製薬会社との交渉に入っている。しかし、製薬会社は輸入したワクチンで副作用が起きても、責任を取らないことなどを契約の条件に挙げているという。厳しい条件提示の背景には、世界的なワクチンの品薄状態があるとみられる。

 舛添要一厚生労働大臣は8月27日、「輸入ワクチンについては、国内で小児らを対象に100例程度の臨床試験を実施して、安全性を確認する」との方針を示した。しかし、その程度の規模で十分な安全性が確認できるのか疑問は残る。

 1回で効果 輸入ワクチン
 英製薬大手グラクソ・スミスクライン社は9月14日、日本政府が輸入を検討している新型インフルエンザワクチンについて、18歳以上なら1回接種で十分な免疫効果が得られるとする臨床試験の結果を発表した。

 同社のワクチンは昆虫の培養細胞を使って製造。免疫を高める添加剤を加える一方、ウイルス成分の含有量を約4分の1に減らし、短期間での大量生産を可能にしている。免疫添加剤を使わない国産ワクチンとは製法が異なる。

 ドイツ国内で18〜60歳の健康な130人を対象に試験を行った結果、1回目の接種から3週間後、98%の人に十分な量の抗体ができていた。添加剤を加えず、ウイルス成分を減らさなかった場合は95%で、ほぼ同じ効果だったという。

 新型インフルエンザはほとんどの人に免疫がないため、ワクチンは当初、2回接種する必要があると考えられていた。(2009年9月15日19時32分  読売新聞)

 昆虫細胞培養法
 それにしても昆虫細胞からどうやってワクチンをつくるのだろうか?ピンとこない。そんなもの体内に入れて大丈夫なのか不安は残る。

 実は、この技術日本のベンチャー企業でも取り組んでいて、現在、鳥インフルエンザ用のワクチンを製造している。昆虫細胞を使う利点は、ワクチンが従来の三分の一に当たる2カ月で製造できること。そして、ウイルスそのものを用いず、遺伝子を昆虫細胞に組み込んで使うので安全で、大量生産が可能な点にある。

 このベンチャーは、横浜市に拠点事務所を構えるUMNファーマ(本社・秋田市)。
米国のベンチャー企業「PSC」(本社・コネティカット州)から、細胞培養法によるインフルエンザワクチンの国内での開発製造などの権利を取得。 H5N1型を材料に、大流行に備えてワクチンの臨床試験を進めている。

 ヘマグルチニンの遺伝子を組み込む
 国内で許可されている鶏卵培養法は、大量の有精卵の確保が必要で、製造には約6カ月が必要。今回のケースが示したように、新型ウイルスは瞬く間に世界に広がる。被害拡大を防ぐには、できるだけ早いワクチン製造が求められている。

 細胞培養法の最大の特長は製造期間の短さ。ウイルスそのものの入手は必要なく、公開された遺伝子情報から免疫にかかわるウイルスの表面タンパク「ヘマグルチニン」を作る遺伝子を作成する。

 それを運び屋となる「バキュロウイルスベクター」に組み込み、ガ(ヨトウガ)の幼虫から得られた培養細胞に導入。増殖させて大量にヘマグルチニンを作り、精製してワクチンとする。

 卵の代わりに昆虫細胞
 「鶏卵培養法での生産量は入手できる卵の数によって決まるが、細胞培養法では培養タンクの数を増やし、細胞を培養すれば短期間で大量生産ができる」。UMNファーマの上村謙吾・研究開発企画担当部長はその利点を強調する。

 昨年6月から、20−40歳の健康な男性125人に3週の間隔を置いて製造したワクチンを計2回投与。基本的な有効性と安全性を確認した。2月に開かれた世界保健機関(WHO)の新型インフルエンザワクチンの評価会議でも、その成果を報告した。

 年内に2回目の臨床試験を始める予定で、2011年半ばの製造販売承認申請を目指す。工場用地は秋田市に取得済み。約20億円かけて工場を建設する計画で、技術開発に合わせて資金調達を進めている。(東京新聞 2009年5月26日)


参考HP  読売新聞(2009年9月15日)・東京新聞(2009年5月26日)・株式会社UMNファーマ・アイラブサイエンス「ヘマグルチニン

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