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 硫黄鳥島はどこの島?
 硫黄鳥島はどこの島だろう?硫黄島というと小笠原にある、あの「硫黄島からの手紙」で有名になった、1945年2月から3月にかけて行われた太平洋戦争時、硫黄島の戦いを思い出す。1968年6月26日、小笠原諸島と共に日本に返還されたが、島内の地下には、今も無数の不発弾や一万柱を超える日本人兵士の遺骨が残され回収も困難な状態にある。また、未だ島民の帰島は実現していない。

 また、鳥島というとこれも小笠原にある、日本最南端の「沖ノ鳥島」を思い出す。第二次世界大戦の前には、最大2.8mの北小島を含め6つの島があったようだが、浸食されたのか、現在では北小島と東小島の2つのみである。このため日本政府は、半径200海里の排他的経済水域を失うことになるため、1988年から、これらの島に消波ブロック設置とコンクリート護岸工事を施し、チタン合金の金網を被せて保護している。

 温泉で海が酸性化
 硫黄鳥島は、この硫黄島でも沖ノ鳥島でもない。南西諸島の島で、沖縄県島尻郡久米島町に所属する。しかし久米島とは250kmも離れている。徳之島の西方約65km、沖永良部島北西約65kmに位置しており、むしろ鹿児島県、奄美諸島に近い。

 日本の気象庁により火山活動度ランクCの活火山とされている島で、名前の通り硫黄の取れる島である。北部にある硫黄岳と、南部にあるグスク火山の2つの火山が接合している。琉球王国の時代には硫黄の採掘が行われ、中国への進貢貿易に用いていた。1959年に噴火のおそれがあるとして、全島民が久米島へ移住。1967年にも噴火し、硫黄採掘の従事者も撤退。以降、完全な無人島となっている。

 東京大学・海洋調査探検部の学生8人がサンゴ礁の生態調査を実施した。8人は8月初旬、海岸にキャンプを張ってダイビングで周辺海域の生態調査を実施した。その結果、同島東側の温泉が噴出している海域では、海水が高温かつ酸性化しており、ソフトコーラルのウネタケの群生が多数見つかった。

 火山活動にともなう温泉によって酸性化した海域では、石灰質の骨格を持つ造礁サンゴが死滅し、骨格のないソフトコーラル(軟質サンゴ)が密生していることが分かった。調査隊長の井上志保里さんは「地球温暖化で海洋が酸性化すると、サンゴ礁がソフトコーラルに移り変わる可能性があることを、実際のフィールドで観察できた」と、その成果を語っている。

 CO2で海が酸性化
 現在、海水の水素イオン濃度はPH8.1の弱アルカリ性である。地球温暖化でCO2が増加すると、アルカリ性が弱まり、PHが低下する。大気のCO2濃度は現在3800ppm。産業革命以前の1800年頃は約2800ppmであった。海のPHは200年前に比べて0.1程度下がっている。このままいくと2100年にはPHは7.8〜7.9程度になる。

 サンゴは地球温暖化で海水温が30℃以上になると白化する現象も知られており、海の酸性化は造岩サンゴにとってダブルパンチの状況が心配されている。

 欧州地球科学連合は2008年、海の酸性化により、貝やサンゴの減少招くと警告した。世界のサンゴ礁がなくなったら、CO2がどの程度増えるのかその影響ははかり知れない。またサンゴと貝と関わりを持つ生物も多いと予想され、どんな影響があるのか研究段階にある。 

参考HP 東京新聞 2009年9月22日・朝日新聞 2009年9月4日科学欄 

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