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 宇宙で必要な物とは?
 これから人類が宇宙を旅行する時代になって、必要なものは何か考えてみよう。「地球」に住む私たちはふだん意識しないが、宇宙空間に出たとたん、何もない空間にいることを思い知らされる。燃料も食糧も水もないし、空気、光、温度もすべてコントロールしなければ一瞬たりとも、生きていけない空間なのだ。

 まず食べ物であるが、現在のところ宇宙食は、地球から持っていく。宇宙で食糧をつくることはできるだろうか?

 野菜などは少しのスペースがあれば、栽培できる。しかし、宇宙で動物性タンパク質である肉をつくるのは難しい。牛や豚を飼うには、広いスペースが必要だからだ。このためJAXAでは、宇宙船内で成長の早い、昆虫を育てて食べる計画をすすめている。

 ダイヤモンドより貴重な水
 次に燃料であるが、現在ロケットの燃料に使われているのは液体水素と液体燃料。これはどこで調達すればいいのだろうか?

 実は水があれば、分解して水素と酸素の両方が調達できる。学校で学んだ「水の電気分解」を思い出してほしい。水は飲料水としても必要であるが、燃料にもなるのだ。そして、電気分解して得た酸素は、呼吸にも使う。水素を燃やすと熱が発生するが、この熱は生活に利用できる。そして燃やしても、有用な水にもどる。

 こうしてみると、いかに宇宙で「水」が貴重であるかがわかる。宇宙ではダイヤモンドよりも貴重な物質なのだ。こうして、現在、宇宙基地が計画されている月では、「水があるのかないのか?あるとすればどこに一番あるのか?」が注目されている。

 「LCROSS」月面衝突
 今回、米航空宇宙局(NASA)の無人月探査機L(エル)CROSS(クロス)が10月9日4時31分(日本時間同日午後8時31分)に、氷の存在を調べるため、月の南極に近いクレーター「カベウス」に衝突した。

 LCROSSは、別の無人探査機ルナ・リコネサンス・オービター(LRO)と一緒に、6月18日にフロリダ州から打ち上げられたもの。

 燃料を使い切った2段目ロケットを、南極に近い「カベウス」クレーターにまず先に落下させる。あとを追う「観測役」探査機のカメラや分光計で、舞い上がった土砂を観測し、氷が含まれているかどうかを調べる。カベウスは、これまでの月周回探査機の観測で、氷がある可能性が高い地点として選ばれた。

 米国などは将来、月面基地を建設する計画を持っており、生命維持やエネルギー源確保に役立つ水の存在は計画実施の必須条件といえる。渡部潤一・国立天文台准教授(惑星科学)は「もし水蒸気が検出されれば、かなりの量の水が月にある可能性が高い。将来の有人月探査計画で、極地域に基地を作る大きな動機付けになる」と話している。

 これまでの調査報告
 月の水については、これまでにさまざまな調査が行われている。2008年10月24日、JAXA(宇宙航空研究開発機構)よる報告では、日本の月探査機「かぐや」が、月の南極点近くの「シャックルトン・クレーター」内部の撮影に世界で初めて成功。このクレーターには永久影があり、極低温となるため、水氷の存在の可能性が示唆されていた。その後、画像分析の結果、クレーターの表面には氷になった「水」の層を確認できなかった。

 「Nature」誌2008年7月10日号に掲載された論文の中で、ブラウン大学の地質学者Alberto Saal氏が率いる研究者たちは、米航空宇宙局(NASA)が「アポロ」ミッションの際に採取した小石の中を分析して、月に水の分子が存在する証拠を得たと発表。記事によると、月の石に46ppmのわずかな水を確認したという。この発見は、現在でも月の地中深くに水が存在することを示唆している。

 2009年9月24日「Science」誌に、米メリーランド大などが、「月の表面に微量の水が存在する証拠を発見した」という論文が掲載された。論文では、月面の砂の表面に結合する形で水が広い範囲にわたり存在しているという。この水は太陽からの水素イオンが、砂の中の酸素原子と結びついたもので、含有率は0.5%未満と極わずか。

 

参考HP アイラブサイエンス「探査機が月面に水を発見」・毎日新聞「無人探査機、月に激突成功 (2009年10月10日)」・asahicom「月面衝突の様子、ネット中継 NASAの無人探査機 (2009年10月7日)」 

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