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 最古の銀河22個発見!
 最古級の銀河22個 日米の国際研究チームが、約129億光年かなたにある最古級の銀河22個を、米ハワイ島の大型望遠鏡「すばる」で発見した。
 
 宇宙初期の銀河がこれほど大量に見つかったのは初めて。今の銀河より巨大な星が集まってできていた可能性があり、宇宙の進化過程を解明する手がかりになりそうだ。12月発行の米専門誌に掲載される。
 
 研究チームは、すばる望遠鏡に遠くの銀河を見分ける特殊なフィルターを取り付け、2006年から観測。宇宙誕生から8億年前後に誕生した銀河22個を見つけた。分析した結果、当時の宇宙を満たした紫外線量から推定されるよりも、星の総量が少なかった。

 チームを率いた米カーネギー研究所の大内正己特別研究員は「宇宙初期の銀河では、大量の紫外線を効率よく出す巨大な星ばかりが作られた可能性がある」と話している。 (2009年11月7日06時52分 読売新聞)

 129億光年先の銀河
 最古の銀河とは何だろう?実はこれは、最も遠い銀河のこと。宇宙を観測すると、遠くの天体ほど、光が地球に届くのに時間がかる。例えば129億光年の距離にある銀河は、129億年前の光を現在観測していることになる。

 2006年9月13日、国立天文台の家正則教授、東京大学大学院生の太田一陽氏、国立天文台の柏川伸成主任研究員らの研究グループは、すばる望遠鏡の主焦点カメラと微光天体分光撮像装置を駆使して、宇宙で最も遠い銀河の発見に成功した。

 この観測のために特別に開発したフィルターを用いて撮影された41,533個の天体の中から赤方偏移が7.0の銀河の候補を2つ発見し、確認のための分光観測を行ったところ、そのうちの明るいほうの天体が赤方偏移6.964、距離にして約128億8千万光年、ビッグバンから約7億8千万年後の時代の銀河であることが確認されている。(国立天文台 2006年9月13日)

 132億光年先の銀河
 またその後、2007年7月23日には地球から130億光年以上も離れた「最も遠い銀河」を見つけたと、米欧の観測チームが発表した。従来の「記録」は、日本の国立天文台などがすばる望遠鏡で見つけた約128億8000万光年先の銀河。宇宙誕生は約137億年前と考えられ、この発見が事実なら、誕生直後の宇宙を知る重要な手がかりとなる。

 発表したのは、米カリフォルニア工科大と英仏などのチーム。ハワイの米ケック望遠鏡で、星の形成が続いている「先例のない遠さ」の六つの銀河を観測し、地球からの距離を割り出した。リーダーのリチャード・エリス同工科大教授は「宇宙誕生からわずか約5億年後の銀河」という。 (asahi.com 2007年07月23日)

 初期宇宙「宇宙再電離」とは?
 約136億6千万年前にビッグバンとともに始まった宇宙は、爆発から約 40万年後には宇宙の温度が下がり、プラズマを構成する電子と陽子が結合して中性水素へ変わり、宇宙の霧が晴れた。

 その後、いつからか宇宙で星や銀河ができはじめ、それらがもたらす紫外線で再び電子と陽子が分かれたと考えられている。これが宇宙の歴史における最後の大イベント、宇宙再電離である。ビッグバンから約10億年後に宇宙再電離が終了したことは分かっているが、これがいつ始まってどのように進んだかなど、宇宙再電離は謎に包まれていた。

 銀河の明るさとその密度を測ることで、宇宙で星が作り出されるスピードがわかり、その星から出る紫外線の量から宇宙再電離が起こり得るかどうかを調べることができる。

 カギを握るのは紫外線
 国際研究チームは今回とこれまでの観測で得られた銀河を合わせることにより、どのくらいの紫外線が超遠方の宇宙で作り出されているかを計算した。観測で見つけられた銀河は予想以上に暗いものが多く、ビッグバン8億年後の宇宙では、銀河の中で星が生まれるスピードが急激に落ち込んでいることが分かった。

 この落ち込みのために、宇宙の紫外線量が著しく少なく、宇宙をやっと電離できるかできないかのレベルになっていることが分かった。

 「この紫外線量の少なさには非常に驚いた。というのは NASA の WMAP 衛星による宇宙背景放射の観測によって、ビッグバンから6億年経過するまでには宇宙再電離が始まったと言われているので、8億年後の宇宙で紫外線量が少ないというのはありえない話。」と大内研究員は話す。

 続けて「この一見矛盾する2つの観測結果を説明するためには、今回観測で見つかった超遠方銀河が、現在の銀河よりも効率的に紫外線を作り出していなくてはならない。

 宇宙初期にある銀河は、強力な紫外線を出す巨大な星々ばかりをものすごい勢いで作るなど、我々天文学者の常識を越えるものであったのかもしれない。」という。

参考HP 国立天文台「多数の超遠方銀河を発見 

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