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 ゲノムプロジェクトとは?
 2003年に世界で初めて、ヒトゲノム完全解読がされてから、さまざまな生物について、ゲノムの全塩基配列を解読することを目標としたゲノムプロジェクトが実施されている。

 このプロジェクトで解明されるのは、ゲノム配列の決定であり、内容の解読は完了していないので、「ゲノムプロジェクト」ではなく、ゲノムシーケンシングプロジェクト、あるいはゲノム配列決定プロジェクトともいう。

 全ゲノム情報の解明は生命現象の理解の基盤となるものである。しかし塩基配列を読み取っただけでは生命現象の理解には不十分で、個々の塩基配列の機能や役割、発現したRNAやタンパク質の挙動などを幅広く検討していく必要がある。

 ヒト・ブタ・ウマのゲノム
 2003年に終了したヒトゲノム計画ではおよそ10年で、1千億円以上も費用がかかたとされる。今回、米企業の研究者らが、一人分わずか40万円で解読できる新技術を開発し、11月5日付の科学誌サイエンス(電子版)に発表した。技術の進歩で近い将来、15分、1千ドル(約10万円)程度にできると予測する企業もあるという。

 また、米イリノイ大や英サンガー研究所、農業生物資源研究所(つくば市)などの国際チームは、ブタのゲノム(全遺伝情報)の解読に成功したと発表した。ブタは、ヒトの病気のモデル動物としても使われており、新たな医療研究や、家畜の増産法の研究に役立つという。

 また、JRA競走馬総合研究所(宇都宮市)を含む国際研究チームが、馬の全遺伝情報を高精度で解読した。優秀な競走馬の秘密の解明だけでなく、ヒトゲノムとの比較による医学への応用も期待される。

 ゲノムとは何か?
 ゲノムはある生物のもつ全ての遺伝情報のこと。 ゲノムには、タンパク質のアミノ酸配列をコードするコーディング領域と、それ以外のいわゆるノンコーディング領域に大別される。

 ゲノム配列解読当初、ノンコーディング領域については、その一部が遺伝子発現調節等に関与することが知られていたものの、大部分は意味をもたないものと考えられ、ジャンクDNAとも呼ばれていた。

 現在では、遺伝子発現調節のほか、RNA遺伝子などの生体機能に必須の情報が、この領域に多く含まれることが明らかにされてきている。

 塩基対とは何か?
 塩基対とは、デオキシリボ核酸の2本のポリヌクレオチド分子が、アデニン (A) とチミン (T)(もしくはウラシル (U))、グアニン (G) とシトシン (C) という決まった組を作り、水素結合で繋がったもの。この組み合わせはジェームズ・ワトソンとフランシス・クリックが発見したもので、「ワトソン・クリック型塩基対」と言う。

 1本のDNAには、ヒトゲノムは約30億塩基対ある。体細胞では2倍体であるため約60億塩基対のDNAを核内に持っていることになる。大腸菌では480万塩基対(4.8Mbp)、ウニの塩基数は8億1400万対(814 Mbp)、ヒトゲノムの塩基対は、30億塩基対(3Gbp)などとあらわす。Mbpはメガベースペア、Gbpはギガベースペアと読む。

 DNAとは何か?
 デオキシリボ核酸(DNA: Deoxyribonucleic acid)は、核酸の一種。高分子生体物質で、地球上のほぼ全ての生物において、遺伝情報を担う物質である。

 DNA はデオキシリボース(五炭糖)とリン酸、塩基 から構成される核酸である。塩基はアデニン、グアニン、シトシン、チミンの四種類あり、それぞれ A, G, C, Tと略す。
 
 1個のデオキシリボースと、1個の塩基が結合したものをデオキシヌクレオシド、このヌクレオシドのデオキシリボースにリン酸が結合したものをデオキシヌクレオチドと呼ぶ。

 ヌクレオチドは核酸の最小単位であり、これがいくつもつながって、DNAはできている。つまりDNAは、デオキシヌクレオチドの高分子である。核酸が構成物質として用いる糖を構成糖と呼ぶが、構成糖にリボースを用いる核酸はリボ核酸 (RNA) という。

 遺伝子とは何か?
 遺伝子(いでんし)は生物の遺伝情報を担う主要因子である。全ての生物でDNAを媒体として、その塩基配列にコードされていると考えられている。

 古典的には遺伝子は、ゲノムもしくは染色体の特定の位置に占める遺伝の単位であり、その位置は変わらず、構造も変化しないと考えらていた。しかしトランスポゾン(可動性遺伝子)が発見され、抗体産生細胞で多種の抗体を作り出すために遺伝子を再編成していることが明らかにされている。
 

参考HP Wikipedia「DNA」「遺伝子」「塩基対」「ゲノム」・
朝日新聞 「ブタのゲノム、解読に成功 日米英などの国際チーム(2009年11月3日)」 ・ 「ウマのゲノム解読、医学に応用も JRAなど国際チーム(2009年11月6日)」・「40万円でヒトゲノム解読 米企業が新技術(2009年11月6日)」 

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