氷河

 氷河は、山がちな、または傾斜した地形に、複数年にわたって氷や雪が堆積し、万年雪が圧縮されることでできる。下部には過去の氷期にできたものが融けずに残っている。

 地球の気温と氷河は密接な関係があり、海進、海退の原因となる。現在陸上に見られる氷河は、南極氷床、グリーンランド氷床を最大級として、総計1,633万km²に及び、陸地面積の約11%を覆う。近年は地球温暖化の影響でその縮小が激しく、問題となっている



 圏谷(カール)

 氷河はまた、侵食、堆積を活発に行い、独特な氷河地形を生む。圏谷とは、氷河の侵食作用によってできた広い椀状の谷のこと。山地の斜面をまるでスプーンでえぐったような地形であり、高山の山稜直下などに見られる。氷河が成長と共に山肌を削り、上からみると半円状ないし馬蹄形状の谷となる。

 成長期には形状を推し量ることはできないが、氷河の後退と共に地上に現れ谷となる。日本ではドイツ語のカール(Kar)と呼ばれることが多い。氷河によってさらに深く削られた谷が、U字谷で、見た目にわかりやすい氷河地形の一つである。


 氷体 

 立山連峰では、1905年(明治38年)に日本で最初に発見され学術的に記載された圏谷「山崎カール」がある。以後、多くの圏谷を含む氷河地形が国内で発見・調査され、日本に氷河時代が存在したことが証明された。

 これまで、氷河が過去にあったことを証明する地形は発見されたが、氷河自体は日本には発見されておらず、極東アジアの南限はカムチャツカ半島とされていた。

 ところが、立山の「御前沢カール」に、氷河の可能性のある「氷体」が発表された。今年9月に北海道大で開かれた日本雪氷学会で、立山カルデラ砂防博物館の福井幸太郎学芸員(36)が発表。話題を呼んでいる。


 国内初の氷河

 立山の主峰・雄山(標高3003メートル)の東側斜面に、国内で初めて氷河と認定される可能性のある氷の塊「氷体」を、立山カルデラ砂防博物館(富山県立山町芦峅寺)が突き止めた。

 「御前沢カール」と呼ばれる雪渓に広がる長さ700メートル、最大幅200メートル、厚さ30メートルで国内最大級。同博物館は実際に動いていることを確かめるため、10月から全地球測位システム(GPS)を使った測定を開始した。来年10月には氷河であるかどうか結果が分かるといい、新発見への期待が高まっている。

 同博物館の福井幸太郎学芸員(36)が今年9月に北海道大で開かれた日本雪氷学会で発表した。


 ムートン

 氷河は自重で斜面を滑り落ちるため、最低でも20メートルほどの厚さが必要だが、氷の厚さを電波で測る装置「アイスレーダー」で御前沢の雪渓を調べたところ、30メートルと十分な厚さがあった。また、氷が動くことで発生する「ムートン」という穴が数多く見つかったほか、氷体内にも氷河特有の斜めの断層が確認できた。氷体表面の傾斜は20度で、計算上は1年間で1メートル弱の速さで下流方向に流れていると考えられるという。

 ただ、ムートンなどは過去の動きの名残で、氷河の認定要件である「連続的な動き」が今は止まっている可能性もある。そのため、10月には氷体の表面に点在する20個余りの石塊にマーキングを施し、GPSで緯度・経度を確認。来年10月に再び位置を測定し、1年間の動きを割り出すことにした。


 連続的な動き

 極東アジアではこれまで、カムチャツカ半島が氷河の南限とされてきた。氷体は御前沢の近くの内蔵助カールのほか、北海道や長野県など国内の約10か所で見つかっているが、「連続的な動き」は確認されていない。

 御前沢は登山道から外れた急峻(きゅうしゅん)な地形で、調査のため現地入りすること自体が難しい。4月に国立極地研究所(東京)から同博物館に移った福井学芸員は9月中旬、山岳ガイドの協力を得て観測を決行した。

 福井学芸員は「江戸時代を中心に1400〜1900年ごろまで続いた寒冷期に形成された氷河が、日本最北の3000メートル級山地で豪雪地帯という立山の好条件で残ったのではないか」と推測する。日本雪氷学会長の藤井理行・国立極地研究所長は「氷河と確認されれば、極東アジアの南限が書き換えられる。温暖化が進んで氷が縮小する前に、いろいろ調べてほしい」と話している。(2009年11月21日 読売新聞)


参考HP Wikipedia「氷河」「圏谷」 


消える氷河―地球温暖化・アラスカからの告発
桐生 広人
毎日新聞社

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増沢 武弘
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