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 赤星選手引退
 阪神の赤星選手が引退を表明した。プロスポーツ選手というと、丈夫な体をもっているものと思っていたが、やはり生身の人間であったか。どのような病気で引退するのだろう?

 聞けば赤星選手にはもともと頸部にヘルニアがあったそうだ。背骨と背骨の間にある椎間板というクッションが潰れて形が変わり、近くにある脊髄を圧迫する。そこに9月12日横浜戦(甲子園)でダイビングキャッチを試みた事故でさらに悪くした。

 病気は中心性脊髄損傷。赤星氏は「言葉に表せないぐらいしんどかった。首の痛みで眠れなかった」と今でも両腕にしびれが残るという。医師からは「今度やったら、最悪命の危険もある」と言われ、報告を聞いた球団からはシーズン終了後の10月30日に引退をすすめられた。それでも現役をあきらめられず、いくつもの病院を巡ったが返ってくる答えは厳しいものばかりだった。

 赤星選手は福祉活動にも熱心な人で、自分の盗塁数の数だけ福祉施設に車イスを送っている。まさか自分が車イスを必要とするような、危険な状態に陥るとは思っても見なかったろう。

 脊髄損傷とは何か?
 車椅子マラソンをしている方のほとんどは脊髄損傷。脊椎とはいわゆる背骨のこと。背骨はドーナツ型になっていて、その中を通ってるのが脊髄(せきずい)。
背骨に守られるほどとても大切な脊髄は神経。

 脊髄を一度損傷すると回復はないと言われている。そこで研究されているのが、脊髄細胞に変化できると期待されるiPS細胞である。

 一番繊細に症状が現れるのが首。首は医学用語で頸部という。頸部にある脊髄なので頸髄(けいずい)という。その首の頸髄が損傷すると全身に症状が現れる。

 首の位置は頚椎(7つ)の位置から考えるとおおよそ説明できる。頭に近い1〜3番目の損傷だと呼吸に関係する筋肉が動かなくなる。(人工呼吸器が必要)5番目ぐらいでは肩がやっと動く程度。6番目で腕が曲がるだけ。7番目で肘が伸ばせる。(この位置からなんとか自分で車椅子がこげる)指が動くのはその次。

 もちろんそれより下の筋肉は動かないので座って体を支えることも困難。
腰髄の損傷でやっと体まで支えられますが両足は動かない状態。もちろん皮膚の感覚もないし、排尿・排便も自力ではできない。体温調節も難しい。

 だから、車椅子マラソンができるのは、損傷の程度が軽度でないとできない。軽いといっても車椅子生活しかできないという本当にツライ疾患なのだ。原因のほとんどは交通事故によるものである。(参考:日向亭 葵の「さぁ、こっち入りぃ」

 「MTBI」国内初調査
 本当に脳神経の怪我は怖いものだと思う。脊髄だけでなく脳についても損傷があれば、当然体に影響が出る。

 今回、交通事故や転落などで脳に特異な損傷を負う軽度外傷性脳損傷(MTBI)と診断された人が少なくとも、20都道府県で162人(3〜76歳)いることが分かった。茨城県下妻市の湖南病院、石橋徹医師らが調査した。

 世界保健機関(WHO)の基準に照らして調査されたのは初めて。MTBI自体が国内で認知されていないため救済措置がなく、労災や自賠責保険の認定基準も適用されない病気だ。

 原因では、162人中、交通事故の125人(77%)が最も多く、高所転落11人、落下物10人、転倒9人、スポーツ外傷4人、暴力3人。症状別では、記憶・注意力などが低下する高次脳機能障害85人、脳神経まひに由来するとみられる身体的障害(嗅覚(きゅうかく)54人、視覚68人、味覚66人、聴覚・平衡感覚68人、嚥下(えんげ)68人)、筋力低下などの身体まひ138人、排尿排便障害63人(重複あり)。

 軽度外傷性脳損傷(MTBI)とは?
 米国には患者を支援する外傷性脳損傷(TBI)法がある。米疾病対策センター(CDC)の報告(2003年)によると、年150万人がTBIと診断され、うち75%がMTBIとされる。高次脳機能障害に詳しい大阪府高槻市の山口研一郎医師(脳神経外科)によると、国内のTBI患者は推定で約30万人いる。
 
 頭部に物理的な力が加わり起きた急性の脳損傷を外傷性脳損傷(TBI)と呼ぶ。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されるが、国内では軽度の概念がない。欧米では7〜9割が軽度とされ、そのうちの1割が慢性化するとされる。原因は、脳の複数の神経線維が傷ついたびまん性軸索損傷と考えられている。米国では、イラクなどの戦場で爆弾攻撃を受けて重傷を負った帰還兵の52%がTBIと診断された調査結果がある。(毎日新聞 12月13日)
 

脊髄損傷マニュアル―リハビリテーション・マネージメント
神奈川リハビリテーション病院脊髄損傷マニュアル編集委員会
医学書院

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再起可能―脊髄損傷、両下肢完全麻痺からの生還
木村 和也
熊本日日新聞社

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