科学大好き!アイラブサイエンス!最近気になる科学情報を、くわしく調べやさしく解説!毎日5分!読むだけで、みるみる科学がわかる!
 暗黒物質を検出
 宇宙の「物質」の4分の1を占めるとされるが、影も形もない謎の「暗黒物質」の粒子が米国でついに検出されたらしい、との報道が英米の科学雑誌や研究施設の地元紙の電子版などで相次いでいる。暗黒物質の理解は宇宙物理の最も大きな課題の一つで、本当ならノーベル賞級の大発見となる。

 宇宙の構成は、我々の世界を作っていると考えられている素粒子は数%に過ぎず、7割強を未知の「暗黒エネルギー」が、2割強をやはり未知の暗黒物質が占めているとみられている。

 報道などによると、米ミネソタ大が運営する地下約700メートルにある施設CDMS2が暗黒物質の粒子を検出したという。17日ごろに「検出」を報告する論文を発表するという報道もあるが、研究チームはコメントを出していない。

 CDMS2
 この施設は、暗黒物質の粒子がぶつかってきたときに起きると予想されるわずかな温度上昇を極低温にした半導体で検出する。「検出」を示すには、まれにしか起きない反応を長期間観測する必要があるうえ、類似現象を確実に除外しなければならず、かなり難しいと考えられている。

 暗黒物質は2007年、米航空宇宙局(NASA)のハッブル宇宙望遠鏡が、50億光年離れた銀河団に存在しているのを見つけたが、地上で検出されたことはない。検出は各国の競争になっており、東京大宇宙線研究所も岐阜県・神岡鉱山に探索施設の「X(エックス)MASS(マス)」を建設している。

 以前、CDMS2のメンバーだった米ブラウン大のリチャード・ゲイツケル教授は「CDMS2の測定感度は2倍近くに上がったが、検出できる段階にはなっていないのではないか」と話している。(asahi.com 2009年12月11日)

 暗黒物質とは何か?
 暗黒物質(dark matter)とは、宇宙にある星間物質のうち自力で光っていないか光を反射しないために光学的には観測できない物質のことである。「ダークマター」とも呼ばれる。光や電磁波は出さないが、質量のあることはわかっている。

 アンドロメダ銀河の暗黒物質
 その事実を最初に証明したのは1970年代初頭、アンドロメダ銀河を観測していたアメリカの天文学者ヴェラ・ルービンである。銀河が回ると外側の天体は内側の天体よりゆっくり回ると考えられていた。しかし予想に反し、外側の天体も速く回っていた。その原因を探ると目に見えている天体以外に、目に見えない質量を持った物質が銀河の中に存在することがわかった。

光も出さず、電磁波も出さないので「暗黒物質」と名付けられた。

 銀河の泡構造
 1986年、宇宙の巨大構造が見つかった。ハーバード大学スミソニアン天文物理学センターのグループは、1100個の銀河を観測することで、銀河がまるでたくさんのシャボン玉がくっついたような不思議で美しい分布をしていることを見つけた。泡の膜を銀河がつくり、泡の中には銀河がない。これを銀河の「泡構造」と呼んでいる。

 このような銀河の泡構造はどのように生まれたのだろうか。宇宙誕生当時、ほぼ均一であった宇宙が、137億年前わずかにエネルギーの不均一(ゆらぎ)なところができると、物質が集まり重力が強くなったところにダークマターも集まった。さらにダークマターが重力源になることで、物質が集まって次々に銀河ができた。このようにダークマターと銀河の分布は、ほぼ一致すると考えられている。

 暗黒物質の空間分布
 2007年1月、日米欧の国際チームが、世界で初めて宇宙空間に広がる「暗黒物質」の立体的な構造を発表した。暗黒物質は光や電磁波は出さないので直接観察できない。いったいどうやって観測したのだろう?

 暗黒物質は直接観測できないが、存在するとその質量により光が曲げられる。もし暗黒物質が存在すると背後にある銀河などの形が歪んで見える。これを重力レンズ効果という。銀河の形の歪みから重力レンズ効果の度合いを調べ、そこから暗黒物質の3次元的空間分布を測定できる。

 暗黒物質の巨大リング
 2007年5月、米ジョンズ・ホプキンズ大学の研究チームがこれを利用して、ハッブル宇宙望遠鏡で暗黒物質の巨大なリング構造を確認したという。10億〜20億年前に2つの銀河団が衝突した痕跡で直径が約260万光年(銀河系の26倍)、衝突によりいったん中心部に集まった暗黒物質が、その後徐々に環状に広がっていったものとされる。

 検出器「XMASS」
 これまでのところ、暗黒物質の正体はわかっていない。それを探るのが「スーパーカミオカンデ」の1000倍の検出能力がある「XMASS」という検出器。何とこの中には、1t(トン)もの液体キセノンで満たされている。

 XMASSには、約−100℃に冷やした液体キセノンが詰まっており、ダークマターがキセノン原子核と弾性散乱する際に、エネルギーの一部をが発光する。発光した光は液体キセノンを囲んだ多数の光電子増倍管で捕らえるしくみだ。

 岐阜県飛騨市神岡町にある「神岡宇宙素粒子研究施設」には、ニュートリノなどを検出したスーパーカミオカンデがあり、素粒子物理学および宇宙物理学の研究を行っている。

 

宇宙を支配する暗黒物質(ダークマター)とは何か!?―人類起源から量子論まで、解かれざる謎に最新科学が挑む (PHPビジネスライブラリー)
大浜 一之
PHP研究所

このアイテムの詳細を見る
何が宇宙をつくっているか―暗黒物質からクォークまで (ポップサイエンス)

丸善

このアイテムの詳細を見る

ブログランキング・にほんブログ村へ  ランキング ←One Click please