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 放射性廃液漏れ事故
 静岡県御前崎市の浜岡原子力発電所 中部電力は1日、静岡県御前崎市の浜岡原発3号機で、濃縮廃液貯蔵タンクの点検作業中、補助建屋内の4カ所で、高濃度の放射性廃液53リットルが漏れる事故が起きたと発表した。

 中電によると、廃液から国への報告基準(370万ベクレル)の324倍にあたる12億ベクレルの放射能量が検出された。点検にあたっていた作業員4人と現場に駆け付けるなどした職員ら19人の計23人のうち、21人が最大0.05ミリシーベルト被ばくしたが、健康への影響はないレベル。放射線管理区域外への影響もないという。

 廃液漏れがあったのは同日午後4時15分ごろ。廃液の放射能を減衰させるため、一定期間保管する濃縮廃液貯蔵タンクの点検中だった。タンク内の廃水を配管を使って抜いていたところ、漏水を知らせる警報が点灯。作業員が確認すると、タンク周辺の4カ所の排水弁付近から漏水し、床面に廃液があふれた。建屋は地上3階、地下2階建てで廃液漏れは地下2階で起きた。

 中電によると、配管を流れていた廃液が何らかの理由で逆流し、排水弁からあふれたという。今後、逆流を起こした原因を詳しく調べる。中電静岡支店の広報担当者は「ご心配をおかけして申し訳ない。早急に原因究明と再発防止を図りたい」と話した。

 原子力発電所の事故なので驚いた人も多いと思う。しかし、経済産業省原子力安全・保安院によると「被ばく量は現場の日常作業と同程度で、安全確認の上での作業である限り、問題になるレベルではない。漏えいした廃液も放射線管理区域外に出ておらず、安全上ただちに影響を与える事象ではない」としている。(毎日新聞 2009年12月2日)

 海外の原子力発電所の事故
 1979年3月28日 スリーマイル島原子力発電所事故
 アメリカ・スリーマイル島原子力発電所の炉心溶融事故。レベル5の事故であり、不完全な設備保全、人間工学を重視していない制御盤配置、そして中央制御室運転員の誤判断等が重なって発生した。

 当初は外部へ放射性物質が大量に放出されたとの報道もあった。この事故の影響により、アメリカ政府は新規原発建設中止に追い込まれた。アメリカではこの事故を契機にトラブルや運転等の情報を共有する組織としてINPOが結成され、その後の原子力発電所の安全性向上に寄与することとなった。

 1986年4月26日 チェルノブイリ原子力発電所事故
 ウクライナ共和国チェルノブイリ原発4号機が爆発・炎上し、多量の放射性物質が大気中に放出されたレベル7の深刻重大な事件。事実上人類史上最悪の原子力事故である。

 無許可での発電実験中、安全装置を切り制御棒をほとんど引き抜いたために出力が急上昇して起こった。放射性物質は気流に乗って世界規模で被曝を齎した。直接の死亡者は作業員・救助隊員の数十名だけであるが、がんなどの疾病を含めると、数万から数十万にのぼるとされていた。

 しかし2005年に発表されたWHO等の複数組織による国際共同調査結果では、この事故による直接的な死者は最終的に9,000人との評価もある。だが、2000年4月26日に行われた14周年追悼式典では事故処理に従事した作業員85万人のうち、5万5千人が死亡したと発表されており、WHOの評価とは大きく食い違っている。この事故を契機に国際的な原子力情報交換の重要性が認識され、世界原子力発電事業者協会 (WANO) が結成された。

 日本の事故(INESレベル2相当以上)
 1978年11月2日 東京電力福島第一原子力発電所3号機事故
 日本初の臨界事故とされる。戻り弁の操作ミスで制御棒5本が抜け、午前3時から、出勤してきた副長が気付きゆっくり修正し終わる10時半までの7時間半臨界が続いたとされる。
 沸騰水型の原子炉で、弁操作の誤りで炉内圧力が高まり、制御棒が抜けるという本質的な弱点の事故。この情報は発電所内でも共有されず、同発電所でもその後繰り返され、他の原発でも(合計少なくとも6件)繰り返される。1999年志賀原発事故も防げたかも知れず、本質的な弱点なので、世界中の原子炉で起こっている可能性がある。

 特に重要なのが、1991年5月31日の中部電力浜岡3号機の制御棒が同様に3本抜けた事故である。中部電力は1992年にマニュアルを改訂した。「国への報告はしなかったが、他電力へ報告した。」と主張する。
 事故発生から29年後の2007年3月22日に発覚、公表された。東京電力は「当時は報告義務がなかった」と主張している。

 1989年1月1日 東京電力福島第二原子力発電所3号機事故
原子炉再循環ポンプ内部が壊れ、炉心に多量の金属粉が流出した事故。レベル2。
1990年9月9日 東京電力福島第一原子力発電所3号機事故
主蒸気隔離弁を止めるピンが壊れた結果、原子炉圧力が上昇して「中性子束高」の信号により自動停止した。レベル2。

 1991年2月9日 関西電力美浜発電所2号機事故
蒸気発生器の伝熱管の1本が破断し、非常用炉心冷却装置(ECCS)が作動した。レベル2。

 いわゆる「ギロチン裁断」問題。加圧水型原子炉(PWR)特有の弱点である。しかしながら、この問題はマスコミによって連日繰り返しオーバーに伝えられ、あたかもPWRがBWRに比べて危険な存在であるかのように印象付けた。

 その後も、制御棒の挿入方法や、日本特有の条件などを無視して、前述のスリーマイル島原子力発電所事故(日本のPWRはウェスティングハウス系なので本来TMI事故の原因とは無関係)とあわせ、「PWRはBWRより反応余裕度が少なく、ギロチン裁断の問題もあって危険」と断じる評論家が多い。

 1991年4月4日 中部電力浜岡原子力発電所3号機事故
 誤信号により原子炉給水量が減少し、原子炉が自動停止した。レベル2。

 1997年3月11日 動力炉・核燃料開発事業団東海再処理施設アスファルト固化施設火災爆発事故
低レベル放射性物質をアスファルト固化する施設で火災発生、爆発。レベル3。

 1999年6月18日 北陸電力志賀原子力発電所1号機事故
定期点検中に沸騰水型原子炉(BWR)の弁操作の誤りで炉内の圧力が上昇し3本の制御棒が抜け、想定外で無制御臨界になり、スクラム信号が出たが、制御棒を挿入できず、手動で弁を操作するまで臨界が15分間続いた。点検前にスクラム用の窒素を全ての弁で抜いてあったというミスと、マニュアルで弁操作が開閉逆だったと言うのが、臨界になる主な原因であった。

 所長も参加する所内幹部会議で隠蔽が決定され、運転日誌への記載も、本社への報告も無かったとされる。(当時の所長代理は、発覚時点で常務・原子力推進本部副本部長=安全担当、志賀原発担当。総点検の聞き取りに対しては事故を報告しなかった)

 原発関連の不祥事続発に伴う2006年11月の保安院指示による社内総点検中、報告が出た結果、2007年3月公表に至った。レベル1-3
日本で2番目の臨界事故とされる。
 日本原子力技術協会が、最悪の事態を想定して欠落データを補完した研究によると、定格出力の15%まで出力が瞬間的に急上昇した即発臨界であった可能性がある。ただし、燃料中のウラン238が中性子を吸収し、それ以上の事態になる可能性はなかったという。

 なお、この事故に関して、一部マスコミ等で「制御棒が落下した」「沸騰水型原子炉の制御棒は下から挿入されるので、水圧が抜けると落下する危険がある」との誤解があったが、実際は水圧装置の誤作動により、引き抜き動作が行われたであり、重力の影響で落下したのでないことに注意が必要である。

 1999年9月30日 東海村JCO核燃料加工施設臨界事故
日本で3番目の臨界事故で、作業員2名が死亡。レベル4。

 その他の有名な事故
 1973年3月 美浜原子力発電所燃料棒破損
美浜一号炉において核燃料棒が折損する事故が発生したが、関西電力はこの事故を公表せず秘匿していた。この事故が明らかになったのは内部告発によるものである。

 1974年9月1日 原子力船むつ 放射線もれ事故
1995年12月8日 動力炉・核燃料開発事業団高速増殖炉もんじゅナトリウム漏洩事故

 2次主冷却系の温度計のさやが折れ、ナトリウムが漏洩、燃焼。レベル1。この事故により、もんじゅは10年以上経った2008年4月現在も停止したままである。

 1998年2月22日福島第一原子力発電所
第4号機の定期検査中、137本の制御棒のうちの34本が50分間、全体の25分の1(1ノッチ約15cm)抜けた。

 2004年8月9日 関西電力美浜発電所3号機2次系配管破損事故
2次冷却系のタービン発電機付近の配管破損により高温高圧の水蒸気が多量に噴出。逃げ遅れた作業員5名が熱傷で死亡。レベル0+。

 2007年7月16日 新潟県中越沖地震に伴う東京電力柏崎刈羽原子力発電所での一連の事故

 同日発生した新潟県中越沖地震により、外部電源用の油冷式変圧器が火災を起し、微量の放射性物質の漏洩が検出された。なお、この地震により発生した火災は柏崎刈羽原子力発電所一カ所のみであるとされる。

 また、震災後の高波によって敷地内が冠水、このため使用済み燃料棒プールの冷却水が一部流失している。
全ての被害の詳細は2007年10月現在もなお調査中である。この事故により柏崎刈羽原子力発電所は全面停止を余儀なくされた。

 2007年11月13日、経済産業省原子力安全・保安院はこの事故をレベル0-と評価した。(出典:Wikipedia) 
 

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