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 セロトニンとメラトニン
 
先日、何度も同じ失敗をする人は、脳内の神経伝達物質「セロトニン」が不足しているという話題を提供した。

 セロトニンを増やすには、まずは生活習慣を改善することが第一であった。朝起きて太陽の光を浴び、適度な運動とバランスの良い食事を摂るなど、規則正しい生活をすることで、セロトニンは形成される。

 セロトニンはアミノ酸のトリプトファンから体内で合成されるので、トリプトファンをふくむ食品を取ることも大切であった。

 ところで、体内のリズムをつくる物質に「メラトニン」がある。メラトニンは脳の松果腺から分泌されるホルモン。アミノ酸のトリプトファンからセロトニンを経て合成される。

 ヒトの「メラトニン」は、昼間は血液中の濃度が低く、夜に濃度が高くなる。セロトニン同様、1日の生活リズムに関係している物質だ。また、抗酸化物質として働き体内の酸化を押さえるはたらきもある。

 生活のリズムと高血圧
 生活のリズムが健康に大切だということを再認識したわけだが、現実には何かと、雑用で忙しく、帰宅が遅くなる。生活のリズムが一定していない人が、多いのではないだろうか?

 京都大学の岡村均教授らは、24時間のリズムを刻む体内時計が乱れると、高血圧になりやすくなる仕組みがあることを解明した。

 治療薬の開発や高血圧が引き金となる病気の予防などにも役立つと期待される。医学誌ネイチャーメディシンに12月14日発表した。

 生体リズムの乱れは、肥満や高血圧を引き起こし、実際、昼夜交代勤務者に高血圧が多いことが知られている。しかし、詳しい仕組みはこれまで分からなかった。岡村教授らは、体内時計「Cry1」と「Cry2」の働かないマウスに、塩分の多い食事を与えると、高血圧になりやすいことを発見した。

 血圧を調整するホルモンが過剰に分泌されているためで、このホルモンの分泌には、副腎で作られる酵素が関与していることがわかった。酵素は体内時計で、朝低く夜高いように調整されているが、体内時計が働かないと、ずっと高いままだった。  

 人間でも生活リズムが崩れると、Cryが刻むリズムに乱れが生じる。副腎の酵素は人間にもあることから同じ仕組みが働いている可能性が高い。

 岡村教授は「実際の高血圧の患者で、体内時計や酵素に変化が生じているか調べて、薬などの開発に結びつけたい」と話している。 (2009年12月14日19時34分 読売新聞) 

 高血圧とは何か?
 高血圧とは、血圧が正常範囲を超えて高く維持されている状態である。高血圧自体の自覚症状は何もないことが多いが、虚血性心疾患、脳卒中、腎不全などの発症リスクとなる点で臨床的な意義は大きい。

 生活習慣病のひとつであり、肥満、高脂血症、糖尿病との合併は「死の四重奏」などと称されていた。これらは現在メタボリックシンドロームと呼ばれる。 

 日本高血圧学会では高血圧の基準を、収縮期血圧が140以上または拡張期血圧が90以上に保たれた状態であるとしている。

 規則正しい生活をすることが、セロトニン、メラトニンなどの体内ホルモンの濃度を一定にし、高血圧を防ぐことにもつながる。

 

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