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 観天望気
 「夕焼けの次の日は晴れ」「太陽や月に輪(暈)がかかると雨か曇り」誰もが聞いたことのある天気のことわざである。このような天気のことわざを観天望気(かんてんぼうき)という。

 昔の人は、気圧計やレーダーなどがなかったから、天気がどう変化するかは、空のようすを観察して予測をするしかなかった。現在、船舶免許の試験で「現代においては天気予報が発達しているため、出航にあたり観天望気の必要はない。○か×か?」という問題が出されることがある。正解は「×」である。

 現在でも観天望気は重要視されていて、科学的にも正しい、例えば「夕焼けの次の日は晴れ」は、天気が西から東へ移動するためであるし、「太陽や月に輪(暈)がかかると雨か曇り」などは、温暖前線の接近に伴う巻層雲のためである。

 雲の観測
 気象庁の「気象観測の手引き」によると、雲の観測は,�@雲量�A雲形�B雲の高さ�C雲の向き�D雲の状態について行う。雲の観測は、今のところ雲の高さなどを除いて機器による観測は難しく、ほとんど目視による。

 このため、観測者の習熟が必要である。季節や気象条件で出現する雲の特徴を理解し、前回の観測時と観測時の間にも雲の状態の変化、天気の推移を把握しておくことが望ましい。また、夜間の観測では、とくに闇に目を慣らすことが大切である。雲量の観測では、星の見え具合を利用するのも一つの方法である。

 雲量
 雲量は、全天空に占める雲に覆われた部分の割合をいい、0から10までの整数で表す。ただし、雲が全天空をほぼ覆っていてもすき間がある場合は、完全に10でないという意味で10− と表し、また、雲はあるがその量が1とするに足らない場合は、0より少しあるという意味で0+と表す。0、0+、1・・・9、10−、10の13段階で観測する。

 濃霧のため空が全く見えない場合は、これを雲と同様にみなして雲量10とする。もし、霧を通し、あるいは霧のない部分から天空あるいは雲が見える場合は、その程度に応じて雲量を決める。

 煙霧、黄砂、降灰、煙などが天空の全体又は一部をおおい雲を判別できない場合は、濃霧の場合と同様そこに雲があるものとみなして雲量を決める。こうして得られた雲量は天気を決める要素にもなる。

 雲形
 雲形は10種類に分けて観測する。観測結果は英字略語(同表中の雲名称の後ろカッコ内2文字)を用いて記録すると簡単である。それぞれの雲の解説を載せるが、気象庁が発行した雲を観測するための写真集「雲の観測(地上気象観測法別冊)(1989)」は、後述の雲の状態の観測にも役立つ。

 巻雲(Ci) 繊維状をした繊細な、離ればなれの雲で、一般に白色で羽毛5〜13�qCirrus 状かぎ形、直線状の形となることが多い。また、絹のような光沢を持っている。
 上層巻積雲(Cc) 小さい白色の片(部分的には繊維構造が見えることもある)
Cirrocumulus が群をなし、うろこ状又はさざ波状の形をなした雲で、陰影
はなく一般に白色に見える場合が多い。大部分の雲片の見かけの幅は1度以下である。
 巻層雲(Cs) 薄い白っぽいベールのような層状の雲で陰影はなく、全天をおおうことが多く、普通、日のかさ、月のかさ現象を生ずる。
 高積雲(Ac) 小さなかたまりが群をなし、斑状又は数本の並んだ帯状の雲2〜7�qで、一般に白色又は灰色で普通陰がある。雲片は部分的に毛状をしていることもある。規則的に並んだ雲片の見かけの幅は、1度から5度までの間にあるのが普通である。
 中層高層雲(As) 灰色の層状の雲で、全天をおおうことが多く、厚い巻層雲に似ているが日のかさ、月のかさ現象を生じない。この雲の薄い部分ではちょうど、すりガラスを通して見るようにぼんやりと太陽の存在が判る。
 乱層雲(Ns)  ほとんど一様でむらの少ない暗灰色の層状の雲で、全天をおおい雨又は雪を降らせることが多い。この雲のいずれの部分も太陽を隠してしまうほど厚い。低いちぎれ雲がこの雲の下に発生することが多い。
 層積雲(Sc) 大きなかたまりが群をなし、層又は斑状、ロール状となって地面付近にいる雲で、白色又は灰色に見えることが多い。この雲には毛状の外観はない。規則的に並んだ雲片の大部分は見かけ上5度以上の幅を持っている。
 下層層雲(St) 灰色の一様な層の雲で霧に似ている。不規則にちぎれている場合もある。霧雨、細氷、霧雪が降ることがある。この雲を通して太陽が見えるときはその輪郭がハッキリ判る。非常に低温の場合を除いては、かさ現象は生じない。
 積雲(Cu) 垂直に発達した離ればなれの厚い雲で、その上面はドームの形をして隆起しているが、底はほとんど水平である。この雲に光が射す場合は明暗の対照が強い。積雲はちぎれた形の雲片になっていることがある。
 積乱雲(Cb) 垂直に著しく発達している塊状の雲で、その雲頂は山又は塔の形をして立ち上がっている。少なくとも雲頂の一部は輪郭がほつれるか又は毛状の構造をしていて普通平たくなっていることが多い。この雲の底は非常に暗く、その下にちぎれた低い雲を伴い、普通雷電、強いしゅう雨、しゅう雪、ひょう及び突風を伴うことが多い。

 雲の状態
 世界気象機関「WMO」では、気象資料の交換にあたって個々の雲形でなく空全体の特徴を表すものとして「雲の状態」を観測し、通報することとしている。

 雲の状態は、下層雲の状態、中層雲の状態並びに上層雲の状態から各一つを選定する。観測結果は先頭に示した記号を用いて表記する。

 層積雲(Ac)、層雲(St)、積雲(Cu)及び積乱雲(Cb)の状態(CL
C-0 層積雲(Ac)、層雲(St)、積雲(Cu)、積乱雲(Cb)のいずれも存在しない状態
C-1 発達していない扁平な積雲(Cu)のある状態
C-2 並又はそれ以上に発達した積雲(Cu)のある状態
C-3 積雲(Cu)が積乱雲(Cb)に変って間もない状態
C-4 積雲(Cu)からひろがってできた層積雲(Ac)がある状態
C-5 積雲(Cu)からひろがってできたものでない層積雲(Ac)がある状態
C-6 層雲(St)又は層雲(St)からちぎれた雲片が存在しているか,若しくはそれらが共存している状態
C-7 高層雲(As)又は乱層雲(Ns)が空をおおい,その下にちぎれ層雲(St)又は積雲(Cu)のある状態
C-8 積雲(Cu)及び積雲(Cu)からひろがってできたものでない層積雲(Ac)が共存している状態
C-9 雲頂が明らかに巻雲状(Ci)をなし,多くは,かなとこ状を呈している積乱雲(Cb)のある状態

 高積雲(Ac)、高層雲(As)及び乱層雲(Ns)の状態(CM
CM-0 高積雲(Ac)、高層雲(As)、乱層雲(Ns)のいずれも存在しない状態
CM-1 薄い高層雲(As)がある状態
CM-2 厚い高層雲(As)又は乱層雲(Ns)がある状態
CM-3 薄い高積雲(Ac)が単層をなして存在している状態
CM-4 レンズ型をした高積雲(Ac)が散在して存在している状態
CM-5 帯状又は薄い層状をなし,次第に天空にひろがり,通常全般的に厚さも増していく高積雲(Ac)のある状態
CM-6 積雲(Cu)又は積乱雲(Cb)からひろがってできた高積雲(Ac)のある状態
CM-7 二重の層をなした高積雲(Ac)、高層雲(As)をともなった高積雲(Ac)又は部分的に高積雲(Ac)の特徴を示す高層雲(As)
のある状態
CM-8 塔状を呈してつらなった高積雲(Ac)又は房状の高積雲(Ac)がある状態
CM-9 種々の高さに雲片が散在する高積雲(Ac)で、通常ところどころに濃い巻雲(Ci)も見られる状態

 巻雲(Ci)、巻積雲(Cc)及び巻層雲(Cs)の状態(CH
CH-0 巻雲(Ci)、巻積雲(Cc)、巻層雲(Cs)のいずれも存在しない状態
CH-1 繊維状の巻雲(Ci)が分散していて増加しない状態
CH-2 積乱雲(Cb)から生じたものでない濃い巻雲(Ci)のある状態
CH-3 積乱雲(Cb)から生じたもので、通常かなとこ状を呈している巻雲(Ci)のある状態
CH-4 厚みを増しながら増加しているかぎ状又は房状の巻雲(Ci)のある状態
CH-5 巻雲(Ci)及び巻層雲(Cs)又は巻層雲(Cs)のみの層であって、次第にひろがってきているが、まだ地平線上45度に達していない状態
CH-6 巻雲(Ci)及び巻層雲(Cs)又は巻層雲(Cs)のみの層であって、次第にひろがってきて、地平線上45度を超えている状態
CH-7 巻層雲(Cs)が全天をおおっている状態
CH-8 巻層雲(Cs)が増加せず全天をおおっていない状態
CH-9 少量の巻雲(Ci)又は巻層雲(Cs)を伴うこともあるが,主として巻積雲(Cc)のみが存在する状態

参考HP Wikipeia「天気記号」「観天望気」・気象庁「気象観測の手引き

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