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 生物多様性条約
 名古屋市で2010年にCOP10が開かれる。COPというと、コペンハーゲンで開催されたCOP15を思い出す。この場合のCOPは「気候変動に関する国際連合枠組条約」のことであるが、名古屋で開かれるのは「生物多様性条約第10回締約国会議」。COPは国際間に条約のある締約国会議(Conference of Parties)のこと。他には、ラムサール条約についてのCOPもある。

 名古屋の「生物多様性条約第10回締約国会議」では、絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)やラムサール条約のように、特定の行為や特定の生息地のみを対象とするのではなく、野生生物保護の枠組みを広げ、地球上の生物の多様性を包括的に保全することを目的にする。また、生物多様性の保全だけでなく、「持続可能な利用」を明記していることも特徴の一つである。

 さて、今年の干支である「トラ」はご存じのように絶滅危惧種である。これまで、バリトラ、ジャワトラ、カスピトラなどの種がすでに絶滅している。他のトラはどうなっているだろうか?

 激減100年で20分の1
 アジアを中心に世界各地で生息する野生のトラが、20世紀初頭に比べ推定で3〜5%程度にまで激減している。国際自然保護連合(IUCN)や世界自然保護基金(WWF)などがまとめた。WWFは3月まで、ホームページ(http://www.wwf.or.jp/da/)でトラがすむ森林の保全を目的とした寄付を募る。

 WWFなどによると、20世紀の初めには世界で約10万頭のトラが生息していたが、現在は推定で3千〜5千頭とみられるという。トラには中国南部からインド周辺に生息するベンガルトラや、極東ロシアに生息するアムールトラなどの亜種があるが、いずれも絶滅の危機に直面している。バリトラやカスピトラ、ジャワトラは、すでに絶滅したと考えられている。

 トラが激減した原因は、毛皮をとったり剥製をつくったりするための狩猟とともに、トラの生息地となる森林の破壊が考えられている。野生生物取引の監視団体トラフィックイーストアジアジャパン(東京都港区)は「東南アジアを中心に、今も密猟や生息地の破壊が続いている」と指摘、「中国などにはトラの骨を薬の原料として用いる習慣がまだ残っており、密猟を誘発する一因になっているようだ。

 野生のトラの頭数は、いまや米国と中国で飼育されている数よりも少ない」としている。(asahi.com 2009.1.1)

 トラとは何か?
 トラは、哺乳類ネコ目(食肉目)ネコ科ヒョウ属に分類される食肉類。全長・体重は、北に分布する亜種の方が大型になる傾向がある(ベルクマンの法則)。また、メスよりもオスの方が大型になる。現存する種はシベリアトラ、アモイトラ、インドシナトラ、ベンガルトラ、スマトラトラがいる。

 森林や藪地などに生息する。地表棲。夜行性だが、昼間に活動することもある。群れは形成せず、繁殖期以外は単独で生活する。オスは数十平方キロメートル、メスは20平方キロメートルにもなる縄張り(縄張りの規模は獲物の量などで変動がある)を形成して生活し、オスの縄張りの中に複数のメスの縄張りが含まれることもある。縄張りの中を頻繁に徘徊し、糞や爪跡を残す、尿を撒くなどして縄張りを主張する。温暖な地域に生息する個体は避暑のため水浴びを好み、泳ぎも上手く、泳いで獲物を追跡することもある。

 食性は動物食で、主に哺乳類(小型から中型のシカ、イノシシ)などを食べるが、大型のシカやガウル、アジアゾウやサイの幼獣などの大型の獲物、昆虫や果実、種子を食べることもある。家畜や人間を捕食することもある。縄張りを徘徊し獲物を探す。獲物を発見すると茂みなどに身を隠し近距離まで忍び寄る。その後獲物に向かい跳躍して距離を詰め、獲物の側面や背面に肉薄した状態から前肢で獲物を押さえつける。小型の獲物に対しては咽頭部を噛み続けることにより窒息死させ、大型の獲物は頸部に噛みつき倒す。獲物は茂みの中等に運んでから食べる。大型の獲物は数日に分けて食べる。

 絶滅危惧種を救え!
 開発による生息地の破壊、薬用や毛皮用の乱獲、害獣としての駆除などにより生息数は激減している。19世紀における生息数は約100,000頭と推定され、20世紀に入ると3亜種が絶滅し1970年代における生息数は約5,000頭と推定された。亜種ごとの生息数に関する調査では

亜種シベリアトラの1998年における生息数は360-460頭(1994年における飼育個体は632頭)と推定
亜種アモイトラの1999年における生息数は20-30頭と推定
亜種インドシナトラの1999年における生息数は1,025-1,785頭と推定
基亜種の1999年における生息数は2,797-4715頭と推定
本種のために自然保護区を指定したり、獲物も含めた生態に関する調査などの保護対策が行われている。(出典:Wikipedia) 

 

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