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 新生代の足跡化石
 人類の出現はラミダス猿人の発見により、260万年前からやがて440万年前に書き換えられるであろう。この人類の時代を、新生代・第四紀という。

 その人類の出現からさらに1360万年さかのぼる。今から1800万年前の新生代・新第三紀・中新世の地層から、動物の足跡化石が650個も発見された。

 2010年1月、岐阜県可児市下切の可児川左岸の河原の新生代の「瑞浪層群平牧累層」(約1800万年前)から、大型哺乳(ほにゅう)動物や鹿、鳥のものと見られる足跡化石約650個が見つかった。この時代の足跡化石としては国内最大規模とみられ、9月の日本地質学会で発表される。

 発見したのは同県関市立寺尾小教頭の藤岡比呂志さん(50)。岐阜聖徳学園大非常勤講師の鹿野勘次さん(62)と調査し、11日に現地で発表した。

 足跡化石は約300平方メートル(長さ約20メートル、幅約15メートル)の範囲に集中。ゾウの仲間とみられる足跡は長さ約35センチ、3本の指が確認できるサイの仲間とみられる足跡は約25センチ、鹿の仲間とみられる足跡は12センチ。鳥は約6センチで、いずれも深さは約1〜5センチ。鹿野さんは「動物や鳥が集う湿地帯だったのでは」と推測している。

 新生代の地層からは、兵庫県三田市で国内最古とみられる約3700万年前の足跡化石、福井市内からは約300個の足跡化石が見つかっている。(2010年1月11日  読売新聞) 

 新生代・新第三紀・中新世とは?
 さて、この新生代・新第三紀・中新世という時代の動物とはどんな動物だろう?

 今回発見されたのは、サイなどの奇蹄類や鹿などの偶蹄類、その他も含めた哺乳類の化石だが、この瑞浪層群の平牧累層では、これまでも象や馬、サイ、バクなどの体の化石が見つかっているという。

 新生代・新第三紀・中新世では、一般的に温暖であったが、南極大陸には氷床が発達・拡大していた。中新世の終わりには氷床は大陸のほとんどを覆うようになっていた。

 この時代の生物は、海と陸の生物相はより現代に近づいた。オオカミ類、ウマ類、ビーバー類、シカ類、ラクダ類、カラス類、カモ類、フクロウ類、クジラ類、メガロドンなどは、中新世にはすでに存在していた。しかし、地球の寒冷化による環境の変化で多くの種が絶滅した。

 現在の象、サイや鹿、ウマやバクなどはその生き残りである。調べてみるとこの時代、これらの哺乳類の祖先達が、多種多様に存在しており、姿も大型で、現在とは違ったものが多かった。どんな哺乳類がいたのだろう?

 アエピカメルス
 アエピカメルス (Aepycamelus ) は、中新世後期から鮮新世後期にかけての約2,000万年前〜200万年前に生息していたラクダ科の一種。アエピカメルスは、北アメリカの大草原に生息していた。肩高はおよそ2m、頭頂高約3mになった上にS字に曲がった長い首を持っていたことから、高い枝の木の葉を常食とするキリンのような生態であったと考えられている。指先の二つの蹄は小さく、その後ろに大きなパッドが発達していたと思われる。

ラクダ類の特徴的なものとしては側対歩という、同じ側の前後の脚を同時に動かす歩き方が挙げられるが、中新世の地層にもそうした足跡が残されていた。その事から、かれらも現代のラクダと同様の歩き方をしていたのではないかと推定されている。

 シンテトケラス
 シンテトケラス(Synthetoceras)は新生代中新世後期の北アメリカ大陸に生息していた草食獣。哺乳綱 - 鯨偶蹄目 - ラクダ亜目(核脚亜目)- プロトケラス科に属する。

 頭胴長約2m、頭骨長約45cm。頭部に角を持つ、外観の印象としてはシカに似るが、実際はラクダ科の姉妹群であるプロトケラス科である。かれらは同科の後期に現れ、また最大の属であった。吻上部にY字型、側頭部には上方に湾曲した一対の角を備えていたが、シカの様な骨質が剥き出しになった形の角(アントラーという)ではなく、キリンに似てその表面は皮膚で覆われていた(オッシコーン)と推定されている。このうち吻上部の角は、オスにのみ存在した。

 モロプス
 モロプス (Moropus) は新生代中新世の北アメリカ大陸及びヨーロッパに生息した、ウマに似た草食動物。奇蹄目 - カリコテリウム科に属する。学名は「遅い脚」を意味する。

 肩高約1.8m - 2.4m。大型のウマほどの大きさのであった。頭骨はウマに似る。しかし歯は低歯冠であり、柔らかい植物を食べていたとされる。胴体は四肢に比して短い。四肢は後肢に比べてやや前肢が長く、胴体は後傾する。前後とも三本の趾を持つが、前肢には大きな鉤爪があった。

 これは、同科のカリコテリウムなども同様の形態であった。しかしモロプスはカリコテリウムに比べて首が長く、オカピに似た体型であった。歩く際は鉤爪を地面に触れない様にしていたのであろうが、ナックルウォーキングをしていた訳ではないらしい。

 マクラウケニア
 マクラウケニア (Macrauchenia)は、新生代中新世末期から更新世末期の700万年前〜2万年前の南アメリカに生息した哺乳類の絶滅した属。滑距目・マクラウケニア科。学名は大きな(あるいは長い)ラマの意。命名者はリチャード・オーウェンであるが、発見者は若き日のチャールズ・ダーウィンであった。骨格はややラクダに似るが遠縁。南アメリカ独特の有蹄哺乳類で、最後まで生き残ったものの1つ。

 体長約3mとラクダほどの大きさ。比較的小さな頭部や長い首など、骨格もラクダに似た特徴を持つ。そのためダーウィンも当初はグアナコの祖先と考えた。しかし脚先には趾が三つあり、これはバクなど奇蹄目に似る。また、頭部は鼻孔の位置が背側に寄り、眉間の頭骨上部に存在するという特徴は、ゾウ程ではないにせよある程度長い鼻を持っていた可能性を示唆する。

 デスモスチルス
 デスモスチルス(Desmostylus)は、中新世中期から後期にかけて生息した半海生の哺乳類。束柱目・デスモスチルス科。その歯の特徴から、ギリシア語で「束ねられた(デスモス)柱(スティルス)」を意味している学名を与えられた。束柱目の名もここからきている。

 かつては束柱獣(たばはじゅう)とも呼ばれた。目の名の元となった生物であるが、進化過程としては最後期に現れた属である。体長約1.80m、体重は約200kgと推定される。ずんぐりとした体躯と頑丈な四肢を持っており、頭部はやや細長く、上部に鼻孔、眼、耳が並ぶ。

 その姿はカバに似るが、同様に半水性であったと考えられる。ただし、四肢はやや外に張り出している上、前腕の尺骨と橈骨が癒合して前肢端の向きを変える事が出来ないなど、陸上での動きは鈍重であったと思われる。

 ティラコスミルス
 ティラコスミルス (Thylacosmilus) は新生代中新世後期から鮮新世後期の約700万年前〜300万年前の南アメリカに生息した肉食有袋類。哺乳綱・有袋上目・ティラコスミルス科(ボルヒエナ科とされることもある)。学名は「ポケットナイフ」の意。スミロドンら剣歯虎に酷似し、同様に長大なサーベル牙を持つ。

 全長約1.2m〜1.7m、頭骨長約20〜23cm。上顎にはサーベル状、下顎には釘状の犬歯を持つ。この特徴はスミロドンに似た特徴である。同様にこの牙を獲物に打ち込むために顎は120度まで大きく開き、頸椎には筋肉の付着点が発達していた。また、獲物を押さえるための前肢も強力である。しかし最大の相違点は、この牙が一生伸び続ける無根歯だという事である。また、下顎には切歯を持っていない。顎先近くの下顎骨が下方に伸び、サーベル犬歯を保護する「鞘」の様になっていた。この「鞘」はスミロドンには存在しないが、それ以前のマカイロドゥスは持っていた。

 デイノテリウム
 デイノテリウム (Deinotherium) は新生代中新世中期から更新世前期にかけての約2,400万 - 約100万年前に生息した、絶滅したゾウの属。哺乳綱 - アフリカ獣上目 - ゾウ目 - デイノテリウム科に属する。下顎から下方に向かって生えた牙が特徴の一つ。「ディノテリウム」あるいは「ダイノテリウム」と呼ばれる事もあるが、正しい呼称ではない。

 初期の種は比較的小型であったが時代とともに大型化し、肩高は最大種 D. giganteum で約4m、体長は約5mに達した。既知のゾウ目では最大級、陸生哺乳類でもインドリコテリウム(パラケラテリウム)に次ぐ大きさとなる。しかし、形態自体はデイノテリウム属の歴史を通じて変化は無かった。最大の特徴は下向きやや内側に向かって生えた一対の下顎切歯であるが、これは現生のゾウの様な柔らかい象牙質ではなく硬い材質であった。

 

参考HP Wikipedia「アエピカメルス 」「シンテトケラス」「モロプス」「マクラウケニア」「デスモスチルス」「ティラコスミルス」「デイノテリウム」 

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