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 恐竜に関する謎
 恐竜に関する謎は多い。絶滅の理由、生活の様子、鳥類への進化、体温、皮膚の色...。

 何しろ、今から約65000万年前、白亜紀末期に忽然と姿を消してしまったので、データが圧倒的に少ないのだ。巨大隕石の落下が絶滅の原因だとされるが、なぜ同時期に存在していた両生類や爬虫類などが絶滅を免れたか、また、なぜ非常に多様な進化を遂げた恐竜が、全て絶滅してしまったかなど、説明されていない。

 現在、鳥類は恐竜の子孫であるという見方が一般的だ。最初期の鳥類の始祖鳥は、19世紀にドイツのジュラ紀の地層で発見された。始祖鳥の発見以降は鳥類の化石はほとんど見つからず、鳥類の起源については諸説が乱立していた。

 しかし、1990年代以降、中国の白亜紀の地層で羽毛をもった恐竜の化石が相次いで発見され、鳥類と恐竜の系統関係が明らかになってきた。 羽毛をもった恐竜には、シノサウロプテリクス・プロターケオプテリクス・カウディプテリクス・ミクロラプトル・ディロングなどがある。

 これらの発見から、従来は鳥類の固有の特徴と見られてきた羽毛が恐竜にも存在していたことが分かり、この羽毛をもった恐竜のグループから空を飛ぶ鳥類が進化したことが明らかになった。現在では、鳥類の先祖は恐竜の獣脚類の一種であることがほぼ定説である。

 鳥に近い最古の恐竜化石
 では、いつごろ恐竜から鳥類が進化したのだろうか?

 今回、鳥類の近縁とされるアルバレツサウルス類の恐竜としては最も古い化石を、米ジョージワシントン大と中国科学院古脊椎動物・古人類研究所のチームが中国新疆ウイグル自治区のジュラ紀後期(1億6000万年前)の地層から発見し、1月29日付の米科学誌サイエンスに発表した。

 アルバレツサウルス類はこれまで、最古の鳥類である始祖鳥が現れた時期より遅い白亜紀後期以降の化石しか見つかっていなかったため、鳥類との関係を疑問視する声もあった。今回の発見は鳥類が恐竜から進化したことを示す有力な証拠となり、この疑問が解消されることになる。

 化石は1億6120万〜1億5870万年前の地層からほぼ完全な形で見つかり、「器用でシンプルな形の手」を意味する「ハプロケイルス・ソルラス」と命名された。従来考えられていたよりも6300万年前にアルバレツサウルス類が存在していたことになる。全長は欠損した尾の部分を入れると190〜230センチと推定される。(2009年1月29日 読売新聞)

 恐竜は恒温動物?
 鳥類が恐竜から進化したとなると、疑問が浮かんでくる。爬虫類は変温であるが、鳥類は恒温である。いったいいつから恐竜は恒温動物に変化したのだろう?

 おそらく、羽毛には保温の目的があるから、羽毛恐竜ではすでに恒温性を獲得していたと予想できる。すると羽毛の有無が、恒温か変温かの区別になるのであろうか?

 初めて恐竜が見つかった時には、爬虫類であることも踏まえて変温動物と考えられていた。それに異を唱え、「恐竜は恒温動物である」とした研究者にはジョン・オストロムや彼の弟子のロバート・T・バッカーなどがいる。

 彼らを含む研究者の一部は、恐竜を含む主竜類、特に小型の獣脚類は温血動物であったと主張している。しかしながら脳の発達の程度、骨に年輪が見られることなどから恒温性を否定する研究者も多く、最終的な同意はとれていない。また大型の竜脚類などでは「慣性恒温性」で体温を保っていたとする主張もあり、現在も研究が続けられている。

 恐竜の色はわからない?
 恐竜がどのような色をしていたのかは明らかではない。 図鑑などに載っている恐竜の色は現世動物をもとに推測したものであり、以前は爬虫類と同様の茶色やくすんだ緑色など地味なものが多かった。 その後、鳥類との関係が認知され、羽毛をもつ恐竜が発見されるに従い、カラフルな恐竜の復元画も登場してきている。

 2008年、ヤコブ・バンターらは恐竜の羽の化石中に含まれるメラニン色素を解析することにより、オリジナルの色がどのようなものであったか判別することに成功した。

 研究によると、1億年前の恐竜時代の羽の化石を分析した結果、化石の中にメラニン色素を含む細胞「メラソーム」を発見した。これは、当初は化石化したバクテリアだと思われていたもの。

 さらにこのメラソームを分析した結果、メラニン色素の構造は、化石化すると数百万年から数億年経過してももとの形を保つことが可能であることを発見した。また、この化石化メラソームの構造を分析し、化石になる前のもとの色がどのようなものだったかを判別することができるという。

 今後、羽に覆われた保存状態のよい皮膚組織の化石が発見されれば、恐竜がどのような色をしていたのか解明することが可能と主張している。(2008年07月21日 読売新聞)

 恐竜の色がわかった!
 中国東北部・遼寧省で発見された白亜紀前期(1億2000万〜1億2500万年前)の恐竜の羽毛に2種類のメラニン色素が存在することを中国科学院などの研究チームが突き止めた。電子顕微鏡で、メラニン色素の化石をとらえ、化石の構造から体色が栗色であることがわかった。 

 恐竜の色を初めて科学的に確かめた画期的な成果だ。英科学誌ネイチャー電子版に1月28日発表する。

 チームが電子顕微鏡を使って化石を調べた結果、羽毛恐竜「中華竜鳥」では、赤茶色の色素「フェオメラニン」が首筋から背中にかけてと、尾の羽毛から見つかった。尾は、しま模様だった可能性がある。ほかの羽毛恐竜からは黒色の「ユーメラニン」も確認できた。

 これらの色素が入った粒は直径が1000分の1ミリ・メートル以下と微細なため、従来の研究では汚れなどと区別するのが難しく、恐竜の色は現在の動物などから類推するしかなかった。

 鳥類はメラニン色素以外の色素も使い多彩な体色となっている。恐竜もメラニン色素だけで体色を確定できないが、国立科学博物館の真鍋真研究主幹は「恐竜の色は分からないという常識を覆した」と意義を語る。(2010年1月28日  読売新聞) 

 

参考HP Wikipedia「恐竜」「始祖鳥」 

恐竜はなぜ鳥に進化したのか―絶滅も進化も酸素濃度が決めた
ピーター・D. ウォード
文藝春秋

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