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 半導体とは何か?
 半導体は、トランジスタや集積回路(IC・LSI)など、「産業のコメ」と言われるほど様々な電気製品を産み出している。半導体とは何だろう?

 文字通りの説明としては、半分導体の物質である。つまり、電気を良く通す良導体や電気を通さない絶縁体に対して、それらの中間的な性質を示す物質である。

 重要なのは電気を通すときの性質だ。まったく電気を通さないときは絶縁体と変わらないが、電気を通すとき様々な能力を発揮する。すなわち、電流の整流作用や電流の増幅作用をはじめ、レーザー光や紫外線を発したり、さまざまな波長の光を発するものもある。また、太陽電池のように光を電流に変える半導体もある。

 半導体というと、このような半導体を使用した「半導体デバイス」を指す場合が多い。今日数多く利用されているものには、トランジスタ、サイリスタ (SCR)、ダイオード(整流器)・発光ダイオード (LED) ・レーザーダイオード・フォトダイオード・太陽電池等の半導体素子やこれらの素子を組み合わせた集積回路(IC・LSI)などがある。

 ダイヤモンド半導体とは?
 ダイヤモンド半導体(Diamond semiconductors)とは、人工ダイヤモンドを使用した半導体のことである。現在主流のシリコン半導体に比べ、ダイヤモンドは物理特性に優れており、究極の半導体になると言われているが、1980年代後半、米国では研究を断念し、その実用化は技術的に実現不可能と思われてきた。

 この理由は、天然ダイヤモンドには不純物を含むものが多く、純粋な物質に微量の不純物をドープ(混ぜて)してつくる半導体には、不向きだったからである。

 しかし、近年産業技術総合研究所などの日本の研究グループや日本国内の企業などで高品質ダイヤモンド薄膜の合成に成功するなど、基礎技術が大いに発展がしてきたことにより、実用化の可能性が開かれてきている。

 現在、日本国内にて複数の研究機関、大学等で開発が進められているが、結晶サイズが1mm未満の多結晶ダイヤモンド薄膜が利用されている。今後は、この結晶サイズを大きくすることや、コストを抑えての更なる高純度化技術の開発が望まれる。

 また現在、ホウ素イオンなどをドープし、p型n型といった半導体物性を発現している。しかし、ダイヤモンド格子に不要な欠陥を与えずにこれらのイオンをドープする技術の開発が課題である。

 電極などの他の物質との接触部で、ナノレベルの不要な界面構造が生じる。これを完全に抑える事は困難である...などの問題もある

 ダイヤモンド半導体の開発
 産業技術総合研究所ダイヤモンド研究センターの大串秀世・副センター長がダイヤモンド半導体の本格的研究に取り組んだのは、1995年から。開始1〜2年後、高温高圧法で比較的短時間に、基板全体が原子レベルで平坦な、単結晶シリコン並みの高品質ダイヤモンド薄膜の合成に成功した。

 高温高圧法で合成した約4mm角の人工ダイヤモンド基板の上に、マイクロ波プラズマCVD(化学気相堆積)法で、メタンを分解して生じた炭素を雪のように降り積もらせた。この技術をベースにホウ素添加で作ったp型ダイヤモンド薄膜は、世界最高の電荷移動度を示した。

 さらに、こうして作った高品質(結晶性、電気光学的特性、簡単な電子デバイス特性が従来のものより一桁以上優れた)ダイヤモンド薄膜に室温で電子ビームを照射すると、波長235ナノm(1ナノmは10億分の1m)の紫外線を発光することを発見した。ダイヤモンドが紫外線デバイスに使えることがわかった。

 これまでの研究でダイヤモンド薄膜の室温紫外線発光は、ある電流値から急激に増大することから、高密度なエキシトン(負の電荷を持つ電子と正の電荷を持つ正孔を合わせ持ったもの)によるダイヤモンド固有の現象であることが分かった。

 今後、紫外線発光の出力を高めるために、エキシトン密度を高めることが重要で、それには素子を出来るだけ小さくすることが課題である。


参考HP 科学技術振興機構(JST)「夢ではないダイヤモンド半導体」・Wikipedia「半導体」「ダイヤモンド半導体」 

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